我が脳味噌はつくづくシングルタスク [シリーズ作文]

息抜きの作文は我ながらいまいちだった(苦笑)。
ここのところマジでFishばかり聴いているので
モードが他に切り替わらないのですよ。
ARMORED SAINTの新譜とか
BLACK OATHの最初のEP(新装再発版)とか、
良さそうなのがぼちぼち届いてはいるんだけれど
今聴いても頭に入ってこなさそうでねぇ。



FISHのソロ その5

前回の終わりに書いた通り、諸々ひと段落ついたことで
Fish自身色々整理できたのでしょう。
1995年のリリースは2枚の連作によるキャリア総括でした。
MARILLIONの楽曲も含めて自らの創作を顧みた訳ですが、
単なるベストアルバムにしなかったのは
やはり過去所属したレコ社に対する意地と怨念ですかねぇ。

Yin / 1995
f5yin.jpg

ジャケットデザインに明らかな通り〝Yin”は「陰」です。
なのでもう1枚は当然「陽」であります。
このアートワーク、あんまりそれっぽくありませんが
お馴染みMark Wilkinsonの手によるものです。

なにしろ2枚で26曲もあるので
各タイトルともトピックのある曲を抜き出して書きます。
…18曲あるんだよね(汗)。

1.Incommunicado
いきなりMARILLIONの曲ですが'95年に録り直されたものです。
オリジナルよりアグレッシブに聴こえるのは
わずかなテンポアップと、元気に歪んだギター2本による
新たなアレンジに起因するものだと理解します。

3.Just Good Friends
〝Internal Exile”収録曲の'95リレコ版.。
Sam Brownとのデュエット。
こんなの良いに決まってるよな。



シングルカットにPV制作と、実に力の入ったリーダートラック。

5.Institution Waltz
'95年新規録音、これは元々MARILLIONの曲です。
バンド初期のライブで演奏されていたことは確認できますが
スタジオアルバムには終ぞ収録されなかった未発表曲で
本作目玉トラックのひとつと言えましょう。

7.Time and a Word
Steve Howeの客演については前にも触れましたが
よくよく考えてみれば「時間と言葉」のYESに
Steve Howeはまだ居なかったんだよね。

9.Incubus
〝Incommunicado”と同様MARILLION曲の再録音。
オーケストラルなアレンジはオリジナルよりゴージャス、
そしてここでもツインギターが効いています。
逆にFishの狂気はかなり控え目になりました。
長尺(なんなら元のより長い)ですが
不思議とあんまりプログレっぽい雰囲気はありません。

11.Favourite Stranger
〝Internal Exile”収録曲の再録音2曲目。
オリジナルは「その2」に貼りました。
こちらベースがフレットレスではなく、
やっぱり全体にギターが目立つ感じ。
ただ歌ものとしてのオシャレ感はこっちの方が上かと思います。

12.Boston Tea Party
本家SAHBのZal CleminsonとChris Glen、
そしてHughとTed McKenna(兄弟ではなくいとこですって)を
客演に迎えて演奏を録り直したもの。
あー、そう言えばTed McKennaって去年亡くなったんだよね。

-続いて、

Yang / 1995
f5yang.jpg

1.Lucky
〝Internal Exile”収録曲の再録音はこれで3曲目。
この曲に限ったことではありませんが
Foss Pattersonはオルガンの使いかたがとても巧いですね。
Mickey Simmondsが得意とするピアノとは
全く異なる個性があって大変興味深い。

2.Big Wedge
オリジナルをそこそこ大胆にリミックス。
後半、よりダンシーな雰囲気を醸し出しているのは
昔懐かしの12"Mix風を狙ったのでしょうか。

3.Lady Let It Lie
アルバム〝Suits”より。
こちらもリミックスですが直近作からということもあり
元から大きく変わった感じはありません。
歪みギターが少し前に出ているくらい?

4.Lavender
MARILLION楽曲のリレコーディング。白眉。
'16年7月19日の作文にも記しましたが再度書いておきます。
元々同一のテーマメロディを持つ“Lavender”と
“Blue Angel”を繋げてひとつにまとめたことで
互いに落差の大きい歌詞がドラマチックな物語を
オリジナルよりもストレートに提示します。
アコースティックからエレクトリックへ劇的に展開する演奏も抜群。

5.Credo
〝Internal Exile”からの再録音、4曲目。
なんとアルバムのほぼ半数を録り直したことになります。
創作面でやり直したかったというのは、そりゃ勿論そうなのでしょう。
しかしもうひとつ、Polydorに流れる金を減らすためという推測も
これまた成り立っちゃうんだよね。

7.Kayleigh
まぁ、この再録音は聴き手も期待しますわな。
MARILLION最大のヒット曲にして
Fishの代表曲でもありますから当然と言えば当然ですが。
ボーカルメインのアレンジで単曲としての独立性を高め、
元がコンセプトアルバムのパーツであったことを感じさせません。

8.State of Mind
記念すべき最初のソロシングルも再録音されました。
発表当時イギリス労働者層から空前の不人気を囲った
Margaret Thatcherに対する気持ちを歌った曲ですが、
'95年時点(John Major政権時)でも
状況は大きく変わっていなかったってことですかね。

9.Somebody Special
アルバム〝Suits”から。
こちらは〝Lady Let It Lie”とは違い録り直しです。
オリジナルはエキゾチックですが、
こちらはよりオリエンタルといったところでしょうか…分からんか。

10.Sugar Mice
MARILLION時代の曲。リレコです。
これも〝State of Mind”と同様のプロテストソング。
失業者が仕事を探して米国へ渡るという歌詞は
さんざん搾取された挙句アメリカツアーを組まれて呆然とした
当時のFishの心情を暗に示したものだと思われ、
ゆったりとしたバラード調ながら相当に呪詛めいた曲であります。

11.Punch & Judy
上に同じく。
この連作2枚で都合6曲がセルフカバーされた訳ですが、
アルバムクレジットにはMARILLIONに対する謝辞が記されており
バンドに対するFishの心情に変化があったことを聴き手に確信させます。
ただ実際にメンバーとの再会を果たすのは
これよりもさらに後、'99年のことだったようです。

13.Internal Exile
「その1」で触れたDX盤ボーナストラックと同じバージョン。
ここが初お目見えでした。

斯様、僕がこれをただのベスト盤ではないと言うことに
ご納得いただけたかと思います。
実にFishらしい、丁寧かつ執拗なスタイルでのキャリア総括は
大変に聴き応えのあるものです。
なぜ2枚組ではなくシングルアルバムの連作としたのかは
今も大いなる謎ですが。

この2枚については'02年にChocolate Frogから
1回再発されたきりでバリエーションはありません。
上記のうち幾つかは以降再々発された
各タイトルのDX盤にも収録されましたが
MARILLIONのリレコ等他では聴けないものも多く、
僕はといえば'95年のポニキャン国内盤を今も大切に聴いています。



本作リリースの1995年は
Fishにとってツアーの年でもあったようです。
東欧や南米、そして東南アジアなどを含むワールドツアーは
MARILLIONの脱退後最も大規模なものでした
(香港まで来ていたんなら日本にも寄ればよかったのに…
呼び屋が呼ばなきゃ無理だってのは分かっちゃいるけどさ)。
このツアーの途中David Patonが離脱するという
ハプニングがありましたが、概ね良い演奏旅行だったようです。

しかし続く'96年は完全なる沈黙。
これはビジネス面での不調を懸念させるもので
なんだかちょっとイヤな感じでした。

次回に続く。今回はちょっと書くのがしんどかったなぁ。
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