随分手の込んだ企みで [新譜]

…あ、コレ ↓のことです。

Worlds of Yesterday -A Retrospective 1971-1992 / MOONSHOT / 2020
Worlds Of Yesterday: Moonshot Retrospective 1971-1992

Worlds Of Yesterday: Moonshot Retrospective 1971-1992

  • アーティスト: Moonshot
  • 出版社/メーカー: Plane Groovy
  • 発売日: 2020/02/14
  • メディア: CD

元々MOONSHOTってのはTim Bownessが考えた架空のバンドでありまして、
そのMOONSHOTのベスト盤という体裁で制作されたのが本作だそうです。
実際の演奏はMAMAというバンドによるもので、
これがやっぱりというかなんというか
GENESISのコピーを出発点とする人達なんですって。

-で、このMOONSHOTの楽曲ってのは
当然Tim Bowness(とStephen Bennett)によって
書かれている訳ですが、実は'17年リリースの ↓

Lost in the Ghost Light / TIM BOWNESS / 2017
Lost in the Ghost Light

Lost in the Ghost Light

  • アーティスト: Bowness, Tim
  • 出版社/メーカー: Imports
  • 発売日: 2017/02/24
  • メディア: CD

に全曲収録されていたりするのですな。
こちらはTim Bowness人脈(HENRY FOOL、NO-MAN系列)に加えて
David Rhodes(渋!)やIan Andersonを客演に迎えて演奏されており、
まぁ、アレだ、そんなもん聴き較べてみなきゃしょうがないでしょうよ。
しかしこれ、どこかまだ売ってるか?って思って探したら
去年暮れにバッチリ再発されていました。
うーん、なんか、そこはかとない意図を感じます(笑)。

で、更に調べてみたら本作〝Lost in the Ghost Light”は
3部作のトリに当たるのだということで、
えー、さすがに今回そこ迄遡るのは止めておきます。
ざっくり、所謂ロック黄金期である'70年代を通過した
ミュージシャンの生涯を描いたコンセプト作だってさ。
あー、その人の居たバンドがMOONSHOTってことね。

サウンドについては全般にモダンテイストが支配的で
ゆったり聴けちゃういつものアレ、って感じなのですが
そこここに効果的に配されたフルート
(Ian Andersonの他 Andrew Keeling、
Kit Watkinsという人のクレジットも有)が
俄然聴き手の寂寞たる気分を掻き立てます。



かー!エエ曲や(何故か関西弁)。

このアルバムをTim Bownessの企画意図に乗って一言で評するならば
優れた現代的解釈によって再生されたMOONSHOTに対するオマージュ、
ってことになりましょうか。

一方の本家MOONSHOT(中身はMAMA)ですが、
その出自から聴き手が期待するところと寸分違わぬアウトプットを
ガンガンぶちかましてくれます。
21年の(架空の)楽曲リリース期間を考慮して曲毎の出音
(楽器の音色やエコー処理など)をいちいち変えているのが
実にプログレマニア的で、こういうのをニヤニヤしながら聴ける人
(含む僕)には堪らんでしょうよこんなもん。

Phil Collinsそのものな節回しの歌い手も、
これはもはやもの真似の域を超えてるよなぁ。



同じ曲を貼れば比較し易かったのでしょうが無いんだもんしょうがないよ。

こちらTim Bownessは演奏に関与せず、
アレンジメントも基本バンド任せみたいです。
ちょっとねぇ、これはただ者じゃない感が漂いますよねぇ。

-加えて。
〝Lost in the Ghost Light”に未収録の3曲がまたどれも素晴らしい。
特に'80年代半ば頃のGENESISを想定した
〝Stupid Things that Mean the World”は白眉。
コンピ盤としてのリアリティを増すのに
大きな役割を果たしていると思います。

そして〝Before that Before”は唯一MAMAのオリジナル曲。
これがPhil Collins全盛期のソロっぽい感じで
(Rhodesサウンドが効いているのだ)、もの凄く良いのよ。



http://www.moonshotband.co.uk/

ちゃんと公式ページもあるようで、
Tim Bownessが詳細にバンドを紹介しています。
'67年結成、翌年にはジャズの影響を受けた
デビュー作を出しているのだそうです(笑)。

まぁなんだ、徹底的にやればいいと思います。
こちらも手品のタネは分かった上でまるっと乗っかる所存です。
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