フランス、おフランス [新譜]

腐乱臭という酷い字を当てたのは江口寿史だっけ?
あれ、鴨川つばめでしたか?
…うーん、どうでもいいことだけは
いつまでもハッキリ覚えている自負があったのですが
もはや全然駄目だなぁ。



前作〝Saison 8”('18)は結局感想がまとまらないまま。
その前の〝Nos Ames Saoules”('16)も
'16年2月9日のエントリーをよく読むと
バンドについて書いているものの
実はアルバム自体には殆ど触れていないのでありました。
やっぱり〝Tant Que L'Herbe Est Grasse”('14)が
頭抜けて優れたアルバムだったので、
あれを踏み越えるのはとても難度が高いわねぇ。

んー、では今般の新作はどうか?

Le Fantastique Envol De Dieter Bohm / LAZULI / 2020
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このバンドの歌メロはかなり特徴的で、所謂ヴァースとブリッジは
概ね表情、起伏に乏しい(ある種呪術的な)のだけれど、
コーラスでバーンと弾けるのです。
で、それが凄く気持ちいいのだ。
そうした点を含め総じて基本路線に大きな変更はありません。

正直些か手慣れてしまった感もありますが、
どうやらこの人達は新機軸に向かうことよりも
〝Tant Que L'Herbe Est Grasse”で到達したスタイルの練度を
徹底的に磨き上げる方向を選択したようです。
結果アウトプットはすっかり王道のロック感を纏い、
殊本作については「一皮剥けた」という印象です。

バンドの音楽的変遷を辿ってきた聴き手としては
このサウンドに対して単純に
うひょー!カッコいー!!って
はしゃいでいいものかどうか逡巡するところもありますが、
例えば本作を入り口にしてLAZULIを聴き始めるという道筋は
大いにアリ線で、それほどに完成度の高い1枚だと言えましょう。



Pendellosung / BEND THE FUTURE / 2019
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歌入り(英語)のジャズロック。
4リズム+サックス、ボーカルはギターと兼務の5人編成。
去年1月に結成して11月の末には本作をリリースってことで、
ちょっと常軌を逸したスピード感ですこと。
僕は、
おっ、なんかバンド名がカッコイイじゃん、
ってんでなんとなく買っちゃいました。

RiOからは距離のあるアウトプット、
カンタベリーサウンドの影響もあんまり無さそうです。
同邦CARPE DIEMの名前を挙げるのは…うん、間違っていないかも。
けれどあそこ迄華奢な印象はなく、
うーんコレ何に例えたら分かり易いんだろう?



自己紹介文には東ヨーロッパの音楽と
'70年代プログレ、ジャズ、ファンクの要素を取り入れた
とありますが、うん、まぁそうなのでしょう。
アルバム全6曲には短期間で仕上げたとは思えぬ統一感があって
この、なんとも言えない正体不明感を個性として確立するのか、
それとも別のベクトルに向かうのかは
次作以降を聴いて判断するしかなさそうです。



なんだか2枚とも曖昧な感想になっちゃったなぁ。
どっちも良いアルバムだし、好きなのですけれどねぇ。
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