今日もイタリア2タイトル [新譜]

Stranger Skies / ELLESMERE / 2024
elsmr4.jpg

こりゃ年初から物凄ぇのが出たな。
4枚目にして飛躍的ブレイクスルーを果たした傑作だと思います。

Roberto Vitelli(ベースとキーボード)が書いた曲を
多数の客演によって具現化するスタイルは'15年のデビューから変わらないものの、
1stアルバムはやや茫洋とした雰囲気モノの域にあって僕の耳の反応は鈍かったのだ。
なんか、超薄味のASTURIASみたいだなぁって思った記憶が…。

まぁでも2枚目、3枚目も買って聴いてはいたのです。
作を重ねる毎に楽曲の輪郭はクッキリと際立つようになり
ロックのダイナミズムも感じられるようになりました。
特に3枚目からMattias Olssonをドラムに迎えたのは大きかったと思います。
リズムのバリエーションが格段に増え、
剛直な質感がアウトプットされるようになったのは前向きな変化でした。
インストゥルメンタルメインから、徐々にボーカル曲が増えていったのも
「ロックバンド感」の創出に一役買ったところでしょう。
ただ、何度も繰り返して聴くようなアレでもなかったんだよね。
常に平均点はクリアしつつ、ちょっと典型的過ぎてあんまり面白くないイメージが…。

-で、本作です。
イントロダクション、オケ(疑似)の高揚感でいきなりん゛っ!と力が入ります。
間髪を入れずの7拍子は、なるほどRoberto VitelliがRUSHの名前を挙げるのも頷けます。
そしてなにより驚いたのはいきなりのボーカル曲だということ。
その歌声は実にPhil Collinsっぽくて、あ、やっぱりGENESISにも言及してるのねw
てかこれ歌ってるのJohn Wilkinsonじゃねぇの?
…調べてみたらやっぱりその通りでした。
なんとアルバム全6曲中、インストゥルメンタルは1曲のみで
残りは全てJohn Wilkinsonのボーカルが響き渡ります。
SWAN CHORUSに続いてここでも大活躍だ。

僕が気に入ったのは2曲目 ↓



ちょっと往年のポンプロック風味が薫るのが嬉しい。
アルバム終盤(共に10分超え)の2曲も素晴らしく、
いやこの2連発はうるさ型のプログレファンも舌を巻く完成度だと思います。

実際、やっていることは前作とそんなに変わらなかったりするんだよな。
なのになんなんだろう、この一皮剥けた感じ。
先達の模倣を突き詰めて突き詰めて、その果てに獲得した清々しさ、かなぁ。
多分本作を聴いてアレとコレの真似、っていう人はもはや居ないと思います。
ただただ良く出来たアルバムですよコレは。



前々回Andrea Orlandoの作文でちょっと悪く書きましたが
ams1月のリリースはELLESMEREと並んでこちらもなかなか。

Guardate Com'e Rossa La Sua Bocca / FABIO CINTI & ALESSANDRO RUSSO / 2024
fbcntalrs.jpg

ピアノをバックに訥々と歌われるのは
イタリアの大御所カンタウトーレAngelo Branduardiの楽曲群。
プログレ的にはどうしてもFranco Battiatoの陰に隠れがちで
正直僕も殆ど聴いてこなかったのですが、
良いメロディを書く人なんですねぇ。



ボーカルのFabio Cintiは
どうやらFranco Battiatoの人脈から出て来た人のようで、
それがなんでAngelo Branduardiなのかはちょっとよく分かりませんが。

良く晴れた冬の午後、暖房の効いた部屋でぼんやり聴くのにとてもイイ1枚。
コメント(0) 
共通テーマ:音楽

エアコンはまだ冷房 [新譜]

月が変わった途端に色んな情報がわーっと出て来てちょっと混乱気味です。
今年は年末にかけて割と忙しいことになりそうな予感。

まんずまんず(何故秋田弁?)、
なにはともあれPALLASの新譜が遂に正式アナウンスされました。

The Messenger / PALLAS / 2023
pallas tmsngr.jpg



“The Dreams of Men”('05)以来18年振りに
Alan Reedがボーカルに復帰しての8枚目。
Paul Mackieが歌った'10年代の2枚を悪く言うつもりはないのですが
やっぱりもう、全然って感じだよな。
ドラムの打ち込みはちょっとだけ残念ですが、
Graeme Murray、Ronnie Brown、Niall Mathewsonの3人と
Alan Reedが再び一緒に録音したという事実だけでぼかぁ大変満足です。

12月15日リリース。banndcanpでプレオーダーが始まっています。
このバンドは長らく手売りのみですが
36pハードカバー仕様の限定版デジブックCDは既に売り切れているようで、
これは大口の注文があったってことですかね。
国内専門店もさすがにこれは仕入れるんじゃないかなぁ。

勿論本作についてはリリース後に改めて作文したいと思っています。



-続きまして。

King of Israel / Auld Lang Syne
WYTCH HAZEL / 2023
wytchzl ep23.jpg

6月にリリースされた新譜“IV: Sacrament”が
(我が国以外で)大好評のWYTCH HAZELですが、
クリスマスに向けてチャリティシングルを出しました。

“IV: Sacrament”では
従来通り'60~'70年代英国ハードロックの真髄を追求しつつ
更にもっと別の領域を模索し始めたバンドですが、
このシングルでその可能性を具現化しつつあります。
本リリースについてのバンドのステートメントにはWISHBONE ASHと共に
STEELEYE SPANの名前が挙げられており、
あぁ、なるほどそういうことか、と膝を打った僕。



そこまでいなたいって訳ではありませんが
いわゆるフォークロックってものを
現代に蘇らせようという試みはなかなか興味深い。
カップリングの“Auld Lang Syne”もスコットランド民謡だし
(マイナーアレンジされているので「蛍の光」には聴こえませんが)、
実に渋い線を突いたものです。

これはプログレの人達も聴いておいた方が良いと思うのですが…。
フィジカルはアナログ7"のみなのでちとハードルは高いけど。



もひとつ。

The Serpent's Here / PER WIBERG / 2023
prwbrg23.jpg

'21年のEPから2年、ソロ名義では2枚目のフルアルバムとなります。
あ、最初のソロアルバムについても作文してましたね。
僕ってばこの人のことが相当好きなんだな。

音楽的には前作EPの流れ上にあるのは間違いなく、
前回作文と同様人気無きジャンルのアレであります。
ノーフィジカルだし、わが国では余計に厳しいわな。



滅茶苦茶カッコイイのになぁ。
コメント(0) 
共通テーマ:音楽

人気無きジャンル [新譜]

Reign of the Reaper / SORCERER / 2023
srcr23.jpg

スウェーデン産、欧州ドゥームメタル王道中の王道が放つ最新作。
このバンド、僕は結構昔に聴いていたのに
それをすっかり忘れていてなんともはやって感じです。

結成は'88年とのことで相当な古株ながら
当時はレコーディングの機会に恵まれず、
'95年にやっとリリースされたアルバム“Sorcerer”は
'89年と'92年に録られたデモ音源の編集盤でした。
結局この後バンドは一度解散したようです。
時代を下って'10年、ライブ出演をきっかけとして再結成を果たし
翌'11年には上記“Sorcerer”をリマスター再発します。
僕はこれを聴いていたのですが…ほぼ記憶がありませぬ…。

その後も少し間が空きますがバンドは突然大手metal blade Recordsと契約、
'15年に真正1stアルバムをリリースして以降は順調に作を重ねており
本作は4枚目ってことになります。

で、僕がこのバンドに再度注目するようになったのは2年前、



これをたまたま見つけて、その選曲の渋さ
(え、“Diary of A Madman”じゃなくてこっち!?という驚きがあったの)
に痺れて慌てて他を聴き漁ったのです。
因みに上掲は単曲での発表でしたが同じ'21年には“Gates of Babylon”、
“When Death Calls”、“Crusader”と都合4曲のカバーをリリースしています。
元がどのバンドの曲なのかは面倒なのでいちいち書きません(意地悪)。
因みにこの4曲については欧州限定版デジパックのオマケ盤に収録されている他
bandcampのデジタル版にシークレットで追加されています。
bandcampの方は期間限定とか、なにかしら縛りがあるかも知れないので悪しからず。

あー、なんかそう言えば“Sorcerer”でもRAINBOW(“Stargazer”)やってたよな
なんて思い出して、俄然気にるバンドと化したのです。



歌声は圧倒的にTony Martinを彷彿とさせる訳ですが
なにしろこの血沸き肉躍る高揚感。
ツインギターはややピロピロが過ぎるきらいもありますが
ソロの捻くれたコード進行はMERCYFUL FATE的だったりして、
要するに僕にとっては辛抱堪らん大好物ってことなのです。

まぁこれをドゥームメタルのジャンルに括っちゃうと
日本で話題になることは全く期待できなくなる訳ですが、
勿体ないよなぁ、これ凄くイイのにねぇ。



Glass Future / HOWLING GIANT / 2023
hwlgiant.jpg

一方こちらは以前にイントロダクションを書きましたが
SORCERERと同日無事にリリースされたということで。
これがまた素ん晴らしいのだ。



ふわふわとたゆたうようで、しかし演奏自体は恐ろしくシャープ。
かかか、カッコイイ!

コメント(0) 
共通テーマ:音楽

2人とも70超え [新譜]

遡ること3年前、僕は
この人もそろそろキャリアの総括云々…
なんて書いてしまった訳ですが、いやもうホント申し訳ありませんっ。

i/o / PETER GABRIEL / 2023
ptgbrl23.jpg

今年の頭からポツポツと(概ね月イチで)新曲が発表され、
年末12月にそれ等をまとめて新作アルバムとしてリリースしますよと。
現状まだ発表されていない11、12月分を併せて全12曲。
更に面白い試みとしてSpike Stentによる「ブライトサイドミックス」、
Tchad Blakeによる「ダークサイドミックス」を併売するのですと
(CDは2枚組、DL版も両ミックスをセットで頒布)。
米国の超メジャーどころを数多くプロデュースするSpike Stentと
捻くれマニアックなミュージシャン達に好んで起用される
Tchad Blakeの対比ってのは非常に興味深いですな。

パッと聴いた感じ、やっぱり僕はダークサイドが好みのようです。



しかしなんつうか、どの曲も物凄く良い。
リズムセクションはManu KatcheとTony Levin、
そしてギターがDavid Rhodesだぜ?あ、あとEnoも。
馴染みの凄腕と、ってのがまた僕を興奮させるのだ。
そんなのさぁ、そんなのイイに決まってるわぃな。
いやーコレ2023年の最後に途轍もないのが出ちゃう感じですよ。



Moving Fragments / ACQUA FRAGILE
aqfegl23.jpg

前のアルバムは…'17年だから6年振りということになりますか。
Bernardo Lanzettiとリズム隊は前作同様オリジナルメンバー、
ギターとキーボードが入れ替わっております。
Bernardo Lanzettiがメインで作曲しているのは変わらないと思われますが
新しい鍵盤奏者がそこそこ絡んでいる様子も伺われ、
やはりノスタルジックではあるもののキーボードサウンドの多彩さが
かなり前面に押し出されている印象です。
極々私的な好みとしては前作の素朴なサウンドに
よりイタリアンカンタウトーレとしての魅力を感じますが
プログレ観点ではやはり本作に軍配が上がると思います。

Bernardo Lanzettiはまだまだ張り艶のあるボーカルを唸っており、
やっぱりずっと現役で歌い続けるってのは凄いことだなぁ、と。
コメント(0) 
共通テーマ:音楽

買うのと、買わないのと [新譜]

Roger Watersの「狂気」録り直し版について、
結論から申し上げれば買っていません。
ちょっと迷うところもあるのですが
オリジナルを超えることは絶望的に無理だろうし、
製作意図についてもなんかごちゃごちゃ言うてますが
僕としてはえっ、何言ってんだコイツ?って感じだし。

僕はPINK FLOYDが“The Wall”から
どんどんおかしくなっていく過程にあって
常にRoger Waters擁護派でありましたし今だってそうです。
Dave GilmourのPINK FLOYDは見に行っていないけれど
Roger Watersはちゃんと生で見ましたしね。

だけどさぁ、だけども今更「狂気」をやり直すってのは
さすがに蛇足なんじゃねぇの?って思っちゃう訳ですよ。
Roger Watersも年食ってヤキがまわっちゃったのかなぁ、なんて。

コロナ禍にあって



色々と過去を振り返っているうちに
じゃあいっそのこと…
って思うのは、それは人情として仕方がないと思うのですよ。
しかしそれにしたって「狂気」をやるってのは、それはどうなんだ?
勿論これを録り直すことで今更この人の晩節が汚れることもないでしょうし
実際はそこそこ持ち上げられたりもするだろうしね。
ただ厳しいこと書いちゃうと、
もうこの人には往年の「怒り」成分が無くなっちゃったんだと思います。
世界に対するシニカルな視線がすっかり弱くなってしまったのはしかし、
年齢を考えればやはり致し方ないところなんだよな。

まぁそういうことなのでコレ僕は聴かないよ、ガッカリしたくないからね…
という決意表明文だったのかこの枕は、と
ここに至って気づいた僕であります(苦笑)。



一方、



なんてこった。実に40年振りの新譜ですって。
…ん?ちょっと待ってくださいよ、Eddy Malm居ないの!?
僕はHEAVYLOADのボーカル持ち回りにおいてRagne Wahlquistの方が好きなので
文句言うのも変なのですが、やっぱりEddy Malmの
思いっきりリキんだ歌声もないとそれはそれで寂しいじゃないか。

Eddy Malmは



こっち一本でやっていくってことなのかしら。
うーん、それにしてもこのセルフカバーは素晴らしいよな。



欧州盤CDが平気で¥3,000を超え始めてうひょ~とか声を出しつつ、
しかし僕が中学生の頃の欧州盤レコードも同じような値段だったよな、
なんて思い出したりもして。

つーか、案の定枕の方が長かったw

コメント(0) 
共通テーマ:音楽

Fredric Brownは結構タイトルがヤバい [新譜]

ゲーム熱は全然落ち着くことなく2周目に突入しております。
キャラクターのスキルが全然埋まっていないし
1周目でこなせなかった事がアホほど残っているのです。
周回プレイをさせるのに全く違和感のない
バックグラウンドとストーリーはかなり巧妙で、
いやコレ僕は思わず唸っちゃいました。



まぁゲームとしてはスペースオペラ型Falloutに
No Man's Skyの要素が混じった…という乱暴な括りも出来ますが
思いの外ゴリゴリのSFでおぉっ!?てなるんだよね。
僕の世代だとやっぱりFredric Brownの「発狂した宇宙」を
思い出したりします。



While The War Began / I SPY / 2023
ispywtwb.jpg

'88年と'91年にアルバムをリリースしたオランダのバンド、
32年振りの3rdアルバムは全20曲(フィジカルは2枚組)の力作です。
…と、言われてもわたしゃ以前のアルバムなんて
聴いたこともないし覚えてもいない。
どうやら概ねプログレとは捉えられていなかったようで、
ざっと浚ってみると'80年代ニューウェイブの残り香漂う
ポップロックって感じですかね。
デビュー作からのシングルカットが
オランダチャートのトップ40に食い込んだのだとか。
一方2枚目の“Kite”('91)は結構PINK FLOYDっぽい感じもあります。

本作については1~5曲目に“Unforgotten”、6~11曲目には“Fearless”、
12~15曲目に“War”そして17~20曲目に“Odyssey”と
それぞれテーマ設定がされていて、
これは恐らくレコードの各面に対応しているものと思われます。

アルバム冒頭の入りが実にGENESISなので
あぁ、そうねぇwって感じなのですが



なんか突然VOI VODを彷彿とさせるような不穏な歪みギターが爆裂して
僕はギョっとしちゃったのです。
おいおいおいこのバンド一癖あるじゃん、と。



曲毎の表情には相当の振れ幅があります。
アルバム全体の印象としては管(客演)をとり入れたアレンジが
とても上手いと感じました。
さすがメインストリームの曲作りを知っているってところでしょうか。

しかし本アルバムはプログレとして聴くのになんの疑問も無く、
実際相当良く出来ています。
オランダのプログレシーンにまたもや気鋭現るってところですな。

コメント(0) 
共通テーマ:音楽

そぞろに書いてるのがバレバレだぁ [新譜]

相変わらずず~っとゲーム。実に寝不足…いい大人がナニやってんだか。
しかし改めるつもりなんかこれっぽっちもありませぬ。
ハハハ、ざまぁ見ろ(?)。
しかしなんだ、毎度ベセスダのゲームは
セーブデータが度々ぶっ壊れるので遊んでいて非常に緊張します。
まぁこれでもバグは少ない方だとは思いますが、
ちょいちょいおかしな事象が発生するので気ぃ抜けないのよね。



リリースは来月末ながら

Glass Future / HOWLING GIANT / 2023
hwlgiant.jpg

BARONESS、ELDERの系譜にまた一つ注目(耳)すべきバンドが。



フルアルバムとしては2枚目、しかし最初のEPは'15年に出ているみたいなので
既にそこそこのキャリアはあるようです。
こんな音出しているのにテネシー州ナッシュビル出身ってのがまずもって異色。
大方の楽曲はSFやファンタジーに題を採っているようで
これはこの手のバンドとしては常套的ではあるものの、
やっぱりナッシュビルって聞いちゃうと、ねぇ。

そしてここのベーシストはSebastian Baltesという人で
'19年の1stアルバムから演奏していますが、
なんとPeter Baltesのご子息だそうでこれまた吃驚ですわ。



せっかくだから新しいの貼っておきましょうか。
父ちゃんもすこぶる元気ってことで。
しかしここも今やボーカルとドラムが親子だもんな。

…話がズレました。
バンドはキーボード奏者も正式メンバーとする4リズム、
そして他の3人は全員歌えるのでバンドアンサンブルがかなり凝っているんだな。
いやー、これはとてもイイですよ。
僕は今慌てて過去作に遡っています。
だって、これは全部聴いておいた方がいいと思うんだ。



一方のプログレ方面、実家でかなり珍なカセットテープ
(買った覚えが全然無い上にに聴いた記憶もまるでないんだなコレが)を
発掘したのです。これが割と面白かったのでなんか書こうと思っていたら
先日同じバンドの中古CDを発見したのでこれをポチって現在到着待ちです。
一通りまとめて聴いて、その上で作文しようかと。
国産、フュージョン寄りですかね。まぁ、そのうちに。

コメント(0) 
共通テーマ:音楽

お察しの通り(?) [新譜]



先週末から ↑コレ始めちゃったので音楽自体あんまり聴いていないのです。
なんつうか、なんつうの?Fallout 3以来、久々にベセスダのゲームに激ハマり。
この、ズブズブと足を取られていくようなぬかるんだ没入感が堪らんのですわ。



ーなどと言うていても詮方ないので短めに。

Hypnagogia / PIXIE NINJA / 2023
pxnj3.jpg

前作で僕を虜にしたノルウェー産バンドの3枚目。
これまた見事に前作を超えてきたので大層嬉しくなっちゃったのです。
前作にあってはやや抑制されていたユーロロック的リリシズムが
幾らか解放されたことで単純に音楽としての分かり易さが増したこと、
一方でサウンドテクスチャーは大幅に現代側に寄せてきており
オールドスクールなインストゥルメント(メロトロンだの管楽器だの)との
ミクスチャーは特異なアウトプットを形成しています。
まぁこれを一言に要約すると「オリジナリティ溢れる」ってことになりましょう。

僕は前作についての作文でGOBLINの名前を書きましたが、
それはPIXIE NINJAがANIMA MORTE辺りの流れに属するものとして
整理できるのではないかと思っていたからですが
もはやそんな単純な解釈では収まらない処へ飛躍していると思います。
或る切り口から見れば今最もプログレッシブな音楽と言い換えても
あながち間違いではないんじゃないかと…んー、まぁそこまでではないかw



しかしこのベクトルを徹底的に突き詰めていけば
いずれこの人達がプログレの特異点たりうる可能性ってのは、
それは否定できないと僕は考えるのです。

なにしろ本作が現代型オカルトロックの
先鋭的ポジションに位置しているのは間違いなく、
僕はそういうのが大好物なのよ。

前作はH.P.Lovecraftから題を採った曲がズラリと並びましたが
本作はそこまで具体的という訳ではないようです。
しかし「半覚醒状態」というアルバムタイトルにはやはり
(メンタルな部分に訴えかける)そこはかとない不気味さが漂っていて、
僕はふと木々高太郎の名前を思い出したりもしました。
勿論この人達が木々高太郎を読んでいる筈もないでしょうが。

フィジカルはレコード、CD共に数は限られているようですが
1stアルバムが暫く間を置いて再生産されている事実に鑑みても
そんなに慌てなくても大丈夫な気はします(勿論断言はいたしませんが)。
コメント(0) 
共通テーマ:音楽

空梅雨なんですかね… [新譜]

五十歩百歩に大差は無いが五十符百符は一翻違う、という
名言を吐いたのは僕の尊敬する先輩だったような気がしますが、
よくよく考えると五十歩百歩も一歩1mとして50mの差ってのは
そんなに小さくないよなぁ。
…なんて、いつも通り訳の分からない導入。
正直作文ネタがあまりないのです。
ジャズロック方面でBEND THE FUTUREHOMUNCULUS RES
ここではお馴染みの人達が立て続けに新譜を出したのですが
改めて書くことがあんまりなくてですね。
いや、勿論両者とも楽しく聴いたのですが、
前作からの地続き感が強くて新たな言葉が見つからないのです。
まぁ暫くしたら突然なんか作文するかもしれませんが。



Impermanence / DOMINIC SANDERSON / 2023
dmncsndrsn.jpg

若きイギリス人ギタリスト(兼ボーカル兼メロトロン)の初アルバム。
ソロ名義ではあるものの8人もの客演を迎えて概ねバンド仕立てとなっており、
これが実に秀逸な内容なのです。

オールドスクールなプログレの影響を隠すことなく、
加えてもっとモダンな要素を巧くミックスしている感じ。
本人はSteven WilsonやMARILLIONの名前を挙げていますが
(いや、MARILLIONはもはや新しいとは言えないのか?)、
僕としてはもうちょっと違う趣を感じます。
ズバリ、北欧のどんよりサイケスタイル
Per WibergのソロとかHenrik Palm)に通ずる
なんとも言えないドス黒さがあると思うんだよね。



もっと静謐で穏やかな曲もあるのですが ↑この路線が実に僕好みなもので。
イタリアンヘヴィシンフォとも少しノリが違うし、かなり独特ではあるよな。
本作以前にリリースしている2つのEP(うち一つはアコギのライブ)も
基本同じ路線で、音楽的スタイルは既に確立されているものと思われます。
うん、これはこの先かなり楽しみな人が出て来たなぁ。

因みに手売りのフィジカル100枚はかなり早い段階で売り切れたようですが
追加するからちょっと待っててねとアナウンスされています。



やっぱり短かったのでちょっと無理筋ながら ↓貼っておきます。



僕はNeal Morseの熱心なリスナーという訳ではなく(むしろほぼ聴かない)、
じゃなんで?って感じではありますが。
いやぁだってこれFRONTIERS MUSICが出すの?という。
INSIDE OUTじゃないんだなぁって思ってなんとなくPV見てみたら
あれコレ結構面白そうかも…って思っちゃったのです。
8月リリース予定。アルバム買うかどうかはまだ決めかねますが。

コメント(0) 
共通テーマ:音楽

カンロ「ラムネのビー玉」(飴)がうまい [新譜]

ユニバーサルの、
“Tublar Bells”50周年記念盤を売るに当たってのコピーが
「プログレッシヴ・ロック/ミニマル・ミュージックの金字塔」
って書いてあってちょっとばかり首を捻ったのです。
確かにオスティナート技法が採り入れられた曲でありますし、
近いところにDavid Bedfordも居ましたから
ミニマルと呼ぶのも間違いではないのかも知れませんが…
いやしかし、やはりあれだけ見事な起承転結をもって
聴き手の心を大きく揺さぶる音楽をミニマルミュージックと言うのは
やっぱりなにか違っている気がするし、僕としては小さくない抵抗があります。

-という些細な文句から。



Threnody for A Dead Queen / COMEDY OF ERRORS / 2023
cmdoerrs7.jpg

このバンドについては結構しつこく書いています
前作について書いた作文終わりに、次は難しいかも…と記しました。
元々楽曲のバリエーションがそれほど豊かとは言えないので
もしかしたら飽きちゃうかも知れないと思ったのです。
結果としてはまぁ、やっぱりなんとなく聞き覚えのあるメロディが
そこここから聴こえてきます。
然るに何故か僕の耳を捕らえて離さない不思議な魅力は健在で、
聴き飽きるって感じは全然ありませんでした。
これはなんだろうな?
朴訥でやや頑固、しかしどこかしら楽観的で
決して完全なネガティブ方面に向かわないのが性に合うのかしら。
一貫してスペーシーな音響空間の演出もドンピシャリ僕好みだしな。

前作から1年空けず(9カ月弱)のリリースは長尺2曲を頭に置いて
このバンドとしては珍しくやや重厚な滑り出し。
勿論意図があっての曲順でしょうが…
本格派を強く主張したかったのかなぁ。
その後小曲(言うても3分4分ありますが)を3つ挟んで
再び12分半の長尺はアルバムのタイトル曲。「亡き女王のための頌歌」
(「哀歌」って訳すと逆翻訳で「エレジー」が頭に浮かんでしまうので)
は緩やかに回る走馬灯のようなインストゥルメンタルを約10分聴かせた後に
情感を爆発させるなかなかの聴きモノ。
アルバムとしては間違いなくここがクライマックスで、
後に続く2曲のインストは概ね余韻と考えて間違いないと思います。

毎度この人達らしい、分かり易いテーマに沿ったアルバムですが
もはやその完成度は円熟の域に達していると言っていいんじゃないかと。



ん、ちょっと短いけれど今日はこれにて。

コメント(0) 
共通テーマ:音楽