勿論こっちにゃFASTが居ない [泡沫盤]

Pete Wayがアルバムデビュー前にFASTWAYを離脱、
結局UFO繋がりでPaul Raymondと組んだのが…

Vices / WAYSTED / 1983
waysted.jpg
アルバムの出来からすると'85年の“The Good the Bad the Waysted”について
書いた方がいいんでしょうけれど、個人的思い入れで言えば
断然このデビュー盤ということになります。

基本な~んの工夫もないハードロックです。
FASTWAYよりも更に古い根っ子を持っていると言えましょう。
“Night of the Wolf”という曲はなかなか渋いメタルでしたが、
ありゃたまたま書けちゃったのだとしか思えません。
だって、バンドのキャリアを通してメタルと言えるのは本当にそれだけなんだもん。
このバンドの本質が、サイケのサの字もなくただただスリージーに演奏される
“Somebody to Love”のカバーとか、そっち方面にあるのは間違いないでしょう。
えーと、僕、JEFFARSON AIRPLANEなんて殆ど聴いたことありませんけど。

で、そんな僕が本作に思い入れるのはこれまた突然変異的な
“Women in Chains”という曲の存在に依ります。
無理からのオカルト風味でズルズルと演奏されるこの曲は
ANGEL WITCHの出来損ない(?)のようでもあり、
訳の分からん歌詞と相俟って“Somebody …”よりも
よっぽどサイケデリックだったりします。
実際はそういう路線もこれ1曲だけですから、
バンドの魅力を伝えるという意味では全く役に立ちませんが。

…要するに方向性の定まらない、とっ散らかったアルバムなのですが
Fin Muirという人の皺枯れ声が全編を一貫することで
なんとか成立しているんですね。
このボーカルにはちょっと抗えない魅力があります。

本来は安いロケンロールなのに、
本格派っぽい渋味と雰囲気を加えてしまうトリックスターとして
大変に優れた歌い手だと思います。
当時、酒井康が「どうしようもない」と一言で切って捨てたのは
今もって全く意味不明で、あれは一体どういう意図だったんだろう?
まぁ、どうでもいいか…。

無理目のベクトルを収束させて、得意のロケンロールに徹した
セルフタイトルのミニアルバム('84)は如何せん曲が地味過ぎて失敗、
Paul Chapmanを加えて半ば焼け糞気味の演奏を詰め込んだ
“The Good the Bad …”で漸くバンドのステータスを確立するものの、
今度はFinが脱退してしまいます。
売れないB級バンドにはありがちな話ですが、
まるっきりFASTWAYと似たようなドタバタ振り。

中庸で毒にも薬にもならない後任を迎えて
産業ロックみたいな事を演り始めたというのもFASTWAYと同じで、
だったら一緒に演りゃいいじゃん…
なんて思ったものです。

そんなこんなの紆余曲折(UFO再編とかMOGG / WAYとか色々ありましたねぇ)、
結局2005年頃にFinが復帰して、'07年には“Harsh Reality”という
アルバムをリリースしましたが……完全に枯れちゃってました。
次があったとしても、多分聴くことはないと思います。

Pete Wayに関しては、今後もUFOへの出入りを
延々繰り返してりゃいいんでしょうが(苦笑)、
Fin Muirのボーカルが衰えちゃったのはとても悲しいことです。
長いブランクと年齢の割には…なんてぇ擁護もできなくはないけど、
今も魅力的なボーカリストだとは決して言えないよなぁ。
-残念。

“Vices”のCDは何度か再発されていますが、
'09年にボーナスディスクを加えてリリースされた2枚組最新版も現在は廃盤のようです。
僕は東芝EMIが初CD化をした時('93年)に手に入れて、未だにそれを聴いています。

どうにも上手くまとまらないな、作文…。
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