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シリーズ作文 紙屑や否や その2 [シリーズ作文]

別の話題にしたかったけれど作文が芳しくなく、
仕方ないので書けてるヤツからアップすることにします。



まずはこれ。

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ビクターレコードのヴァージン・オリジナル・シリーズ、
その第3期10タイトルを紹介するB5チラシ('81年)です。
レコ屋に置いてあるチラシは大抵このB5サイズだった気がします。
第3期ってくらいですから当然1期と2期があった訳ですが
第1期は'79年、第2期は'80年のリリースだったようで、
要するに年イチの企画だったんですね。

これは流れ的には
キングのユーロロック・コレクションとは別のところにあって、
やはりこの企画に多くのライナーノーツを寄せた阿木譲方面から
出て来たシリーズだと思われます。

本チラシによると10タイトル中
実に7作が初めての国内盤リリースと書かれています。
ふーむ、“Clearlight Symphony”('73)って
国内盤になったのは結構遅かったんだなぁ。
GONG人脈の絡みで選ばれたのでしょうが、他と並べるとちょっとだけ異質だよな。

裏面、予約票部分を塗りつぶしたのは小僧だった僕が記入しているからです。
どうやら当時の僕はCaptain Beafheartを買おうとしていたみたいで
えぇっ!なんでぇ?と、ホントに買わなくて良かったw
間違いなく当時の僕にはよく分からない世界で、
きっと大いに落胆したでしょうから。
今聴くとインストゥルメンタルは大変面白いのですが
Don Van Vlietの歌声が乗るとやっぱりプログレって感じからは遠退く印象です。



続いては

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キングレコードのユーロロック・コレクションがそのパート7において
新規にイタリアのレーベルと契約した旨を告知する、
こちらも'81年のB4二つ折チラシです。
予約票の役割は負っておらず、純粋なパンフレットとして配布されたものです。

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見開き左面には新規契約となったSTUDIO GのMagma/Grogレーベルを紹介する文、
右面はパート1~6のカタログが記載されています。

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そして裏面には当時最新となるパート7の6タイトルと、
NEW TROLLSの“FS”が紹介されています。
“FS”は'81年リリースの新譜であったため
廉価再発シリーズに組み込むことが叶わなかったようです。

同シリーズの販促物については
Europian Rock Handbook(B6版の小冊子)がつとに有名ですが
店頭配布ではなかった(幾らか分の切手を送るとモノが帰って来る)
ことに加えて他でも散々取り上げられているのでここでは省きます。

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うちには「2」しかないってのも理由のひとつであります。



恐らく店頭配布だったと思われるものがあと一つ、
それ以降はまた毛色の違うアイテムに話題を移そうと考えています。

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だって見つけてしまったんだ [シリーズ作文]

2024年前半の我がブログは
なんとはなしに昔話を多く書く流れになっているようです。
物持ちの良いおたくのアーカイブとして
割と(自分で書いていても)面白いので普通に続けていきたいところ。
これもひとつの終活ということで間違いありますまい。

先日いつもの面子(仲良し中学同級生3人組)で飲んでいる際に
キングレコード、ユーロピアン・ロック・コレクションの話題が出ました。
まぁいつもの話っちゃいつもの話なのですが
キングレコード以外のレコ社も似たようなのを
やってたよねって話になったところで僕はふと思い出したのです。
そう言えば実家からそれ関連のチラシやらをサルベージした気がするな、と。

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家に帰ってちょっと探したらごそっと出てきました。
その中から今回はポリドールがリリースした
イタリアン・プログレッシブ・ロック・コレクション('82)、
同じくユーロピアン・ロック・コレクション('83)のチラシを
眺めてみましょう。

先ずはちょっとした前段。
キングレコードのユーロピアン・ロック・コレクションが
(マニアックながらも)商業的な成功を収めたことは
業界的に割とインパクトがあったのだと思われます。
それ以前にも英国プログレ(一部非英国を含む)を廉価シリーズとして
リリースすることはありましたがユーロピアン・ロック・コレクションでは
権利だけはあるものの一般には全く無名の、
しかも非英国産の旧譜をシリーズ化して
定期的(とは言い切れないかも…)に発売、
その結果びっくりするような枚数を売っちゃった訳ですから。
この流れに他社が追随したのは至極当たり前で、
各社それぞれのカタログから選りすぐりのタイトルを
リリースしたのです。

で、チラシの話に移ります(まだ前段)。
当時レコードを買うとなったら
レコード屋へ出向くというのが当然でありまして、
それが発売前のタイトルとなれば店舗で予約するというのが
通常の段取りだったのです。
この店頭予約、店舗にとっては仕入れ数を間違えるリスクが減ること、
そしてレコ社にとっては生産数を以下略ということで
両者に大きなメリットがあったのですな。
なのでこの店頭予約を促進するためのSPツールとして
チラシの役割ってのが今よりとてもデカかったんだよね。
チラシの一部が予約票を兼ねていて、そこに記入してその場で
或いはチラシを読み込んでから改めて予約しに行くってのが
レコードを買う際の正しいマナーのひとつであった訳です。



さて、ではそれぞれ見てみましょうか。
アップロード出来るフォトサイズの関係から
それぞれの細かい文の内容までは判別出来ないと思います。
雰囲気を楽しんでいただくということでご容赦いただければ。

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ポリドールのチラシはA4サイズを3つ折りにした形で店頭に置かれたもので
片面1/3を予約票として切り離せるようになっています。
こちらはイタリアン・プログレッシブ・ロック・コレクション('82)。
「完全オリジナルジャケット仕様」を謳っているのは
キングレコードとの差別化という点で
絶対に外せないセールスポイントだったからでしょう。
そしてこの企画を紹介する前文が北村昌士によって書かれています。

全6タイトルのアルバムがリリースされ、
僕はLOCANDA DELLE FATEの「妖精」を(多分予約せずに)買ったんだよね。
この6枚は全てとても良いアルバムでどれを聴いてもハズレ無しでした。

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一方こちら翌'83年リリースのユーロピアン・ロック・コレクション。
イタリアン…と同じ仕様で、やはり北村昌士が寄稿しています。
ぐぐっとアヴァン方面に寄せたと思しき5タイトルはしかし、
なんだかちょっと統一感に欠けるラインナップ。
「完全オリジナルジャケット仕様」としつつもFAUSTの1stが
普通の紙のジャケットに黒盤レコードだったというのもアレでしたわね。
チラシをよ~く見ると凄ぇ小さい字でその旨注記されてはいるのですがw

個人的にはBurt Alcantaraの“Zygoat”('74)なんていう奇盤が
混じっているのが興味深いところで、これは未だCD化されていないよね?
どっか出さないかなぁ。



-と、今回はこんなところで。
まだ幾つかモノがあるのでこれもシリーズ化かな。
そんなに長くは続かなさそうですが

シリーズ作文 紙屑や否や その1

とでもしましょうかね。
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長い雑談に加えて [シリーズ作文]

昔、僕がCHERRY RED RECORDSって言われてパッと思い浮かぶのなんて



これくらいのもので、なにしろ僕にとっては縁遠いレコ社だった訳です。
…んー、なんで俺ぁTracy Thornなんて知ってるんだろう?
因みに上掲曲については後にTHE ROOSTERZもカバーしていて
僕はそっちのがかなり好きです。

しかし今やCHERRY REDは幾つものレーベルを傘下に収め
各ジャンルの再発屋として一大勢力を誇る大手と化しています。
LEMON RECORDINGSは割と横断的な取り扱いだったもののそこから細分化が進み、
ここのブログでもお馴染みのESOTERIC RECORDINGS(プログレ)や
HNE(HEAR NO EVIL RECORDINGS-メタル)が
僕好みの(或いは僕好みでない)再発を行っています。
'21年にDISSONANCE PRODUCTIONを吸収したことでメタル関連がHNEと並立、
加えて未だにちょこちょこLEMON RECORDINGSが絡んできたりもするので
(TKOの5枚箱が6月にLEMONから出るってさ)、それ等を合わせると
相当な数のタイトルが五月雨式にリリースされているのだ。
僕の可処分所得がそこそこCHERRY RED RECORDSに吸われるようになるなんて
昔は考えもしませんでしたねぇ。



これ要るかなぁ(自問)?…やっぱ要るな(自答)。
それとさぁ、ESOTERICが初期PALLAS7枚箱を出すってアナウンスもあってさぁ…
そんなの一応一通り中身を確認しなきゃ気が済まないじゃないか。



で、上記からは全く無関係の

シリーズ作文 盤無き好作 その7

The Exit / EXIT / 2024
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スウェーデンから、リズムセクションに2ギター+キーボードの5人組。



これは…ジャジーなモダンポップ風味のプログレ、って感じでしょうか。
大衆音楽として前衛とはハッキリ一線を隔しているところに
バンドの譲れないアイデンティティを感じます。
そしてあんまりカンタベリーっぽくないのが特徴ですかね。
路上ライブの映像なんかを見た感じ随分若いバンドのようですから
もしかしたらカンタベリーを通っていないのかも知れません。
逆にふとした瞬間北欧らしいドリーミーなメロディが出てくるのが新鮮です。

アンサンブルを引っ張るのは基本的にリズムセクションで
上モノは(リードギターが結構頑張るものの)全般にやや控え目。
これは若いバンドにありがちな個々の技量の差によるものだと思われます。
この先リードギターとキーボードがもっと演奏者としてのエゴを押し出してきたら
また違った面白さがありそうで、この点次以降に期待したいところです。
そういう意味では各メンバーが管楽器を兼務するより
メイン楽器でいかにアレンジするかを突き詰めていく方がいいのではないかと、
老婆心ながらそんな風に思ったりもします。

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この週末桜はいかがなものかしら? [シリーズ作文]

天気はいまいちっぽいけど…

前回作文ではBAD OMEN RECORDSの7"について書きましたが
他もこの春は良いアルバムがたくさんでぼかぁ嬉しいです。
dying victims PRODUCTIONSから出たIRON CURTAINの新譜とか
COLTREの1stフルアルバムなんてちょっとトリ膚もののカッコ良さだもの。

-言うても今日の作文は全然別の話です。



シリーズ作文 盤無き好作 その6

From Sand To Stardust / FROM SAND TO STARDUST / 2024
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フランスはリヨンのトリオが放つデビュー作は全4曲で30分弱。
リヨンって聞くと僕はどうしてもMARILLION“Bitter Suite”の一節を
思い出してしまうのですが、まぁそれはこの際どうでもいいわな。
アートデザインを見れば
あ、こいつまたドゥーム、サイケ方面推してきやがった!
ってなりましょうかねぇ。えーと、半分正解です。
当然僕もそっちを期待して聴いたのです。
しかしこれがちょと違いまして、



変拍子でグイグイ引っ張るオープニングから、
トーンを落とすとほのかにジャズっぽいノリが顔を出します。
しかも殆どキーボード無し。
こういうのは僕、あんまり聴いたことがないかも知れん…
ってんで途端にのめり込んじゃったのです。
徹底的にアンサンブルを重視している様子で
殊更主メロディを主張することはしないものの、
ギターとベースが目まぐるしく入れ替わるのが滅茶苦茶カッコイイのだ。
もっと直截的に4ビートを主体とした曲もなかなかに瀟洒で、
いやお洒落ドゥームロックってどんなんだよ、と。



全般にまどろむようなサイケ感よりも凝ったリズムを土台に構築される
図太いサウンドのジャズロックというのが正解なんじゃないかと。
いや、ジャズロックとしても相当に異端だとは思うのですが。
んー面白い。これは面白いよ。

近々のリリースではスイスのベテランMONKEY 3が
国内専門店でも取り扱われているようで、
まぁしかしそれにしたって碌々話題にもなっていないしなぁ。
あ、因みにMONKEY 3はもっとスペーシーかつ今どきのサウンドで、
そうかと思えばあからさまにPINK FLOYDだったりもして。
こちらもいまいち想像し辛いかも知れませんが。

どっちにしろこの手の(しかもフルインストゥルメンタル)は厳しいよね。
うん、勿論知ってましたけどね。
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本格的に目が痒い…僕は目薬よりアイボン派 [シリーズ作文]

前回MIDNIGHTとPROFESSOR BLACKの名前を並べたのは、別に



これに誘導したかったからではありません。
'18年リリースの7"シングル。
B面はMOTORHEAD“No Class”のカバー…とか書くからダメなんだよな。



ってな話から本題へ。

シリーズ作文 盤無き好作 その5

Out of Exile / NOTION BLUE / 2024
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米国コネチカット州から、トリオ編成のバンドによる2作目です。
BarbiとChaseという2組の兄弟が高校時代
一緒にライブをやっていたというのが大元だそうで、
しかし当時はパーマネントなバンドではなかったのだと。
で、'18年にBarbiブラザーズの一人が亡くなってしまったのを機に
残った3人がその死を悼んで結成したのがNOTION BLUEで、
最初のアルバム“The Son, The Liar, and The Victor”('20)は
亡くなった兄弟へのトリビュート作だったとのこと。

6年振りの発表となった本作は旧約聖書に題を採った9曲なんだって。
正直個人的には聖書とかはちょっと、いい加減勘弁してぇ…
なんて思ったりもするのですが、聴く前から分かっていれば
ハナから歌詞に注目しないという選択が出来るのでまぁ、それはそれで。
こういう時外国語だといいよね。
無意識にメッセージが脳に届いちゃうということがないから。

全般に硬派なロック成分はLuke Chaseのギターに拠るところが大きく、
曲によってはもっと古臭いブルースやカントリー的な要素が混じる
(ボトルネックギターが出てきてギョっとしたりします)辺り
実にアメリカっぽい感じです。
多分Luke Chaseって人はプログレメタルも有りで、
Max Barbi(キーボード)はあんまり…って感じなのではないかと。
しかしなにしろ総じてこれをプログレとして聴くことに抵抗は少なく、



うむ、これは全然アリな訳です。
レコーディングではギターとベースが兼務となっています。
これ、もしライブやったらもっとロッキンなノリになるんだろうな。



アコギのドライなトーンもやっぱり
なんとなくアメリカって感じよね(偏見)。
しかし3声のコーラスワークを含めて
プログレ的アレンジをよく分かっている人達という印象で、
多少他の要素が混じっても
そんなにブレている感じがしないのはさすがだと思います。

これもまた良く出来ているのは間違いのないところですわ。

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お尻に付けた小ネタは蛇足 [シリーズ作文]

本題は前回に引き続きの2連発です。

シリーズ作文 盤無き好作 その4

Subliminal messages / FOUETTE / 2024
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フィンランド北部の町、ケンペレ出身。これがデビュー作です。
Timo Vuoppolaが詩、曲を書き全ての楽器を演奏しています。
歌のみKimmo Blomが担当していますが、
“RIP”表記があるので録音後に亡くなったってことなのでしょうかね。
ちょっとよく分かりませんが。

前回書いたAPENHEARTより全然普通にプログレなのでその点安心(?)です。
各種キーボードの音色は勿論、
リバーブ深めの歪みギターサウンドが実に'80年代で嬉しくなっちゃいます。
しかし曲の作りはポンプというよりは更にもう少しビンテージな趣で、
そうかと思えばポストロック的な疎密感のあるパートがひょいと出てきたり。
要するに'70年代~現在までの(音響)スタイルを
バランスよくブレンドしているってことで、これは何気に凄いことかも知れん。



アルバム冒頭曲は14分の長尺でめくるめく展開が聴き手を唸らせます。
些か強引な導入部からよく練られたアレンジで曲の長さを感じさせません。
Gary Mooreが'80年代にCOLOSSEUM IIを続けていたらこんな感じ?
というギターソロが個人的なツボで、
これはアルバム全編を通して僕の耳を惹き捲りました。

-しかしまぁ
トータルとしてはシンフォプログレということで間違いないと思います。
1分ちょいの小曲から20分に近いタイトル曲まで全8曲、
聴き手は意識を変えることなく一貫してシンフォプログレを
楽しむモードで全然問題ありません。
実際本作が好きな人は相当多いんじゃないかと考えます。

クレジット等のインフォメーションが少ないので
バックグラウンドについて書けることがあまり無く、
結果として作文が短くなっちゃうのですが…もう1曲貼っておきましょうか。



これはデビュー作として相当完成度が高いよな。



-引き続きと言えば、
Bernie Tormeを聴き込むのが止まらなくなっております。
ブートのライブを…とはあまり大っぴらに言えないのですが
'82年Reading Festival出演時の演奏(BBC Friday Rock Showの放送用音源)は
翌年アルバム“Electric Gypsies”を録音する面子と同様、
具体的にはEverton Williams(ベース)とFrank Noon(ドラム)です。

そして客演としてオルガンを弾いているのが
なんとTHE ENIDのRobert John Godfreyなんだよね。
上記アルバムでも“Presences”と言う曲に参加していますが、
このライブでは“Wild Thing”のカバー(アンコール)で
ボーカルをBernie Tormeから奪うという大暴挙w
同時期にはENID(THE STAND)のライブでも“Wild Thing”をやっていた訳で、
なんかおかしなところで繋がってるなぁ…と妙に感心したりして。

しかし“Wild Thing”って曲は
例の野球映画に使われて以降おかしなことになったもんよな。

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シリーズ 盤無き好作 その3 [シリーズ作文]

その2、LA HORSA BIANCAとほぼ同時期に聴いていたのですが
こちらについて書くかどうかはちょっと迷うところがありました。

Realizer / APENHEART / 2024
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APENHEARTの頭のA、正確にはリング符号が付いているので
まぁこれ「おーぷんはーと」って読ませたいのでしょう。
米国オレゴン州(ポートランドではなくユージーンみたいです)の
マルチミュージシャンEric Robinsonによるデビュー作。
歌から楽器演奏まで全部を独りでやっています。
管(トランペット)も、ってのはちょっと珍しいかも知れません。

そのアウトプットは本人曰く
'90年代オルタナティブの現代型アップデートだそうで、
この点において僕は作文に迷った訳です。
まぁしかし、僕の個人的感想としては今どきのサウンドスタイルで
プログレ的なものを再構築しているように聴こえ、
それが非常に優れていると感じたので
やっぱりちょっと書いておきたいかな、と。



僕が、こりゃ白眉!と思ったのは6曲目“Not a Human Face”や
8曲目“Rightest Rights”なのですが
この作文を書いている時点でYouTubeには
アルバム前半の4曲しかあがっていないので
ミュートトランペットが印象的に響く2曲目を貼っておきます。

他曲、全般には穏やかなメロディが支配的ですが
何気ない瞬間にマイナーコードを潜ませるのがとても上手いので
生温い感じは全くありません。
これを単純に言えば捻りの効いた曲が凄くイイのだな。
アルバム全10曲(うち短いインストゥルメンタルが2曲)、
トータル約45分をダレずに聴かせる力量は
既に持っているミュージシャンということで間違いありません。

ただ、僕はこれをプログレとして聴くことに全く抵抗ありませんが
そうではない人も居るかも知れませんのでそこは注記しておきます。
これ、フィジカルがあったとして専門店は取り扱うのか否か?
なんて考えるとちょっと興味ありますね。
まぁしかしKYROSの新譜を普通に売っている事実に照らしたら
コレなんか全然プログレだよな。
KYROSはねぇ、近年稀に見る(聴く)問題作ですよありゃ。
好き嫌いで言ったら圧倒的に好きなんだけどさw

本作は1月からbandcampで全編が先行公開、頒布されていますが
4月下旬には他の音楽サブスクリプション/DLサービスにも
載っかるみたいです。
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シリーズ 盤無き好作 その2 [シリーズ作文]

ロシアがウクライナに攻め入ってもうすぐ2年。
未だ終結の気配すら感じられない中この国ではあまり報道もされなくなり、
実際のところどうなってんだ?
という疑問と不安はありつつも
やはり我がこととして捉え続ける難しさはあるよなぁ、と。

普段こういう話からは意図的に距離を置く僕が
なんでこんな話を書き始めたのかと言えば

Polemosophy / LA HORSA BIANCA / 2024
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ウクライナのバンドで、'18年頃から活動しているようです。
本作は「戦時下における(一時的な)空想による逃避」のための
組曲とのことで、僕はコレをどういう気持ちで聴いたらいいのか
分からなくてちょっと困ったのです。
まぁでも、結局単純に音楽として面白がれるかどうかしかないんだよね。



まどろむようなサイケデリアは
徐々に凶悪な歪みサウンドに取って代わられ、
その狂騒も突如元の静けさに飲み込まれてしまう。
うーん、これ、やっぱり気軽に聴けるもんじゃないなぁ…
と、冒頭から僕の脳味噌は色々考えちゃうのだけれど
音楽そのものへの没入度は高く、なかなかの混乱状態に陥ります。
しかしこのふわふわとした落ち着かなさ、
腰の据わらない気持ちの悪さこそが本作の肝であり
バンドの創作意図に沿ったアウトプットなのだな。

他の幾つかの曲ではバンドのかつての姿
(スラヴの薫り漂う快活なプログレサウンド)を垣間見せつつも
やはりどこか閉塞した感覚があって
過去作とは一線を隔しているように思うのです。
しかしなにしろ聴くのを止められないのは
この緊張と弛緩の繰り返し(のサイクル)に
底知れない魅力を感じているからなのでしょうねぇ。



安易に安寧へ向かうことなく徹底的にもがきながら
それでもどこか出口に向かおうとする姿勢を
アルバムの最後に示したのは非常に現実的で、
バンドが本作を「空想による逃避」としつつも
「厳然たるリアル」から逃げない(逃げられない)様子が伺えます。
これはまさに時代と並走する音楽であり、
そこから聴き手が何を思考するのかが試されているような気がします。

僕は…この人達には過去作のような曲をまたやって欲しいと、
そんなことを思ったりした訳ですが本作を入り口としたことについて
なんら後悔はなく、およそ優れたミュージシャンってのは
いかなる状況下にあっても優れた音楽をやるものですね。

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新シリーズ 盤無き好作 その1 [シリーズ作文]

bandcampってのは本当の底なし沼なので
深みにはまるとかなりヤバいのですが、
まぁ僕のような者にとっては大変居心地の良い処でございます。
で、日々アレやコレやと探っていますと
時々おっ!と声を上げるようなアルバムにぶつかることがあります。
今までもそういうヤツについて書いてきましたが、
そうした中でもフィジカルの無いものについて
シリーズ化してみたらどうだろう、と思いついちゃったのです。

物理盤が無いということは
当然ながらレコ屋というチャンネルが使えないということなので、
これは(特に我が国では)広く知ってもらうことに対しての
大きなディスアドバンテージに他なりません。
まぁ広く知らせるということについて
このブログが果たす役割は完全なる「無」でありますが、
捻くれ者の好事家がこのネットの最果てにおいて
こんなイイのがあるのにどうせ皆聴いたことないんだろwとほくそ笑む、
そんな底意地の悪いシリーズになればいいな…なんて思っています。

-では、いってみよう。

Sense Reversed / MASTER KEY / 2013
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ギリシャの2人プロジェクト。
ドラマーのNikos Tavalionとそれ以外全部担当のTakis Tavalionは
名字が同じなのでやっぱり親族の類なのだろうと推測します。
こちら現状での唯一作となりますが、これCDがあったら
国内の各専門店は絶対放っておかなかったと思います。

ド頭から滂沱の如く流れ出すメロトロン、
そしてこれでもか!とガンガンに泣き叫ぶギター(ちょっと喧しい)。
歪んだオルガンが間を繋いだ後は次々と表情を変えつつ展開する
王道ド真ん中のクラシックなシンフォニックプログレ。

こころして聴くべし ↓



フェードアウトは個人的にちょっと気に入らないけれど
今どきこれを正面から思いっきりぶつけてくるのが凄いよな。
完成度はすこぶる高く9分半がアッという間。
他の3曲もそれぞれ長尺(一番短くて7分ちょい)で、
トータル全4曲33分のオールインストゥルメンタルが
グイグイと聴き手の耳を惹き付けます。

マルチ奏者のメインがギターであることは間違いないと思われ、
一部にメタル由来の歪みサウンドが散見(聴)されますが
それとてがっつりオールドスクール(せいぜい'80年代)なので
あまり気になりません。
キーボードの音色についてもアナログ時代に拘っているのが
一目(聴)瞭然で、実に徹底しています。
逆に申せば、
これを(シンフォ)プログレと言わずしてなんとする?
という固い信念がアウトプットを明瞭化しているんだな。

いやこれ10年前の一作ですが大変見事なアルバムですよ。
正味の話、好作どころか間違いのない傑作でしょう。
これが見逃されていたというのは実に勿体ない話。
願わくばこのMASTER KEYが新たな創作に向かってくれれば…
と、そんな風に思う僕です。

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アフターサービスもバッチリなのだ [シリーズ作文]

という訳(どういう訳?)で今日は

FISHのソロ その後

まぁいうてもガッツリ書くって感じでもなくて、
ちょっとした補遺みたいなものですが。

まずはお浚い。
FISHのソロ その1
FISHのソロ その2
FISHのソロ その3
FISHのソロ その4
FISHのソロ その5
FISHのソロ その6
FISHのソロ その7
FISHのソロ その8
FISHのソロ その9
FISHのソロ その10
FISHのソロ その11
FISHのソロ その12
FISHのソロ 番外(余談)と総括

これに加えて幾つかの関連作文があるので、我ながらなかなかの大作。



Fishのフェアウェルツアーがコロナで中止の憂き目にあったことは
「その12」でも軽く触れていますが、
やはりやり残した仕事という気持ちは本人の中に燻っていたようです。
そうした背景からコロナが一応の落ち着きを見せた'21年の終わりに
7日間の英国ショートツアーを行い、
これをもって真の区切りを付けることになったのです。
そのうち11月24日のロイヤルレミントンスパ公演はメディア化されており、
しかしこれについては今日は省きます。
というのもFishの実況録音盤については別途書いた方がいいかもと思い、
現在別文をまとめ始めたところです
(結構面倒臭いのでちょと時間掛かると思います)。

現在はYouTubeでだらだらと日常を喋る
“Fish on Friday”(概ね月イチ更新)で
その元気な姿を確認することが出来ますが
当然英語なのでやっぱり何言ってるか全然分かんないし(苦笑)。

んー、じゃ結局なんの話?と問われれば「その10」に追加です。
昨年来Fishは“13th Star”と“A Feast of Consequences”の
2タイトルをアナログ化して再発することを計画し、
これに際して“13th Star”については新規リミックスを施しました。
そしてレコードのリリースに先行してDigital Deluxe 2023 Remix版を
各音楽ストリーミング/DLサービスで頒布したのです。

本編リミックスについては僕のような者が聴く分には
そこここに違いを見つけることが出来ますが
全編の印象が一変するようなものではないので
どちらか一方だけを聴いても全然問題ないと思います。

そしてボーナスは全部で10曲。
'07年に録音されたものを中心にデモが9曲と
Fish Head Clubツアー('10)から1曲(幾つかの重複曲アリ)。
これがどれもなかなか興味深くて、
デモとは言えミキシングまでそれなりにちゃんとやっているので
単純に別バージョンとして楽しめるのがイイんだな。



-で、ですね。
レコードについてつい先日Fishからアナウンスがありまして、
なにやら製造業者から送られて来たサンプル盤に擦れやら傷があるのだと。
しかも一部ではなく全てのサンプルに同様の問題があったのだそうで、
更に追加で取り寄せたサンプルでも改善されておらず
こんなもん売れるかぁ!と久し振りに怒髪天を突いたらしいです。
結果レコード2タイトルについては一旦リリースを中止し
予約者には返金処理をするとのこと。
完全手売りだから結構大変みたいでなんとも気の毒です。

結局“13th Star”のフィジカルについて
今もなかなか手に入れにくい状況は元の作文時から変わっていないのですが、
デジタル版であれ新しいリミックスが出ているという情報は
是非書き足しておきたかったのです。



※以下2023年7月28日に加筆しました。

13th Star 2023 Remix / FISH
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CDが出ました。まぁそりゃそうだよな。
本編10曲の単体Standard Editionと
CD×3+Blu-rayの限定Deluxe Editionの2フォーマットです。

デラックス版のCD2枚目は“Demos and Acoustics”と
題されている通りの中身で13曲、
3枚目は'08年6月Nearfest出演時の演奏を中心に3公演のライブを編集した12曲。
そしてBlu-rayには本編5.1chミックスと'08年Nearfest公演の全編
(勿論映像アリ)が収録されています。
更にデラックス版のみオプションでFishのサイン付き
(+£20.00をどう思うかはそれぞれでしょうねぇ)を選べるそうです。

いつもの通り完全手売りのみなので国内各店に並ぶことはほぼないでしょう。
僕はDX版(サイン無しw)をポチっと行きました…改めて円安が厳しいねぇ。

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