今月は徹頭徹尾小ネタのみ [日々聴く音楽]

さて、前回のBernie Tormeの話から繋げていきましょうか。
何気なく、ふとbandcampを見やれば

A's and B's 1977-81 / Bernie Torme
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なんだこれ!?ってなことで即注文。
程なくペラのスリーブに直で突っ込まれたCD-Rが届きました。
どうやらこれ、元々はアルバム“Shadowland”('18)の特典盤
(クラウドファンディングで製作費を募ったとかそんな感じっぽい)
だったみたいです。
元盤がCDだったのかCD-Rだったのかは分かりませんが、
どうせすぐリッピングしちゃうので僕としてはRで充分ですが。

タイトルの通り'77年から'82年までの録音をまとめたもので、
一部楽曲は'98年リリースのアーカイブ“Punk or What”と重複するものの
これがあればこつこつと7"盤を探す手間が省けるので大変助かります。



パンク…と言うにはちょっと巧すぎますかね、やっぱり。
因みにこれ、ベース弾いているのはPhil Spaldingなんだよね。
Mike OldfieldだGTRだっつって、割とプログレ畑の人と思われていたり
数々の大物に呼ばれて録音を残したりしていますが、
キャリアの極初期はBernie Tormeとロッケンロールをやっていたのだ。
残念ながら去年亡くなりました-合掌。



A Moment of Peace / LOST WORLD BAND / 2024
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間に蔵出しやライブのリリースはあったものの
新規スタジオ作としては'19年以来5年ぶりの新作。
LOST WORLD BAND名義ではありますが
Andy Didorenko以外は全て客演ということで、これはどうなんだ?と。
よくよく見てみると拠点がニューヨークとなっていて、
要するに少なくともAndy Didorenkoは今ロシアに居ないってことなのでしょう。
収録曲の内2曲(“A Moment of Peace”と“Still Love Now”)は
初期('93年)に書かれた曲を元にしているとのことですが
それ以外はAndy Didorenkoが独りで書いたもののようで、
結構背景の複雑なアルバムだよな。
因みに“A Moment of Peace”は反戦歌であると言い切っていますね。

サウンドのアウトプットはギターオリエンテッドであることを意識しているようで、
Andy Didorenko曰く「クロマチック ギター ロック」とのこと。
確かにクロマチックスケールが多用されています。
3分弱の曲が多く、しかしワンフレーズを即興でふくらませた感じは皆無で
楽曲構成が凝っているので各曲そんなに短いという印象はありません。

KING CRIMSONっぽさを楽しむ、或いは現代音楽風味を感じたり
ジャズロック的に嗜むことも可能で、
この切り口の多様さが本作の面白さなのだろうと思います。
不思議と取っ散らかってる感じがしないのも良い点かと。



Ronnie James Dioの威光が大きいとはいえ
“Dehumanizer”('92)はサクッと再発出来たんだから
他のI.R.S. Records在籍時のアルバムもリマスターして出し直して欲しい訳よ。
…と、唐突に書いてみたりして。



“Headless Cross”('89)や“Tyr”('90)に比して
話題になりにくいアルバムですが
Geezer Butlerがやたらといい演奏をしているのだ。
これなぁ、このアルバム、CozyPowellがドラムを叩いていたら
どうなっていたんだろう?とつい妄想してしまいます。
いや、Bobby Rondinelliだって全然悪くないのです。
しかし、Cozy+Geezerのリズムセクションってなったらこれ、
やっぱり夢の共演じゃないですか。

CozyPowellもなぁ、
プロデューサーのせいで糞ほど詰まらん次作“Forbidden”('95)よりも
断然こっちやった方が良かったと思うのですよ僕は。

いや、“Dehumanizer”のリハーサル音源で一緒にやってるじゃん、
というのはまぁ、確かにそうなのですけれど
正式なアルバムとして残らなかったのはやっぱり残念です。
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退院日は温暖で助かった [日々聴く音楽]

大晦日にバッタバタで入院してから五十と余日、
先日母が退院し施設に戻りました。
だいぶ体力が落ちてしまっている様子で、まぁこれ仕方ないのですが。
取り敢えずこちらの気持ち的にはひと段落ついた感じです。
しかしなんでしょうねぇ、我が意識下に不安があったのかなんなのか、
食事量が増えてしまってデブに磨きがかかっちゃったので
今日から量を減らそうと思います。



そしてここのところやる気のない小ネタ積みが続いております。
いや、色々聴いてはいるんだけどさぁ…
'97年以降のBernie Tormeを集中的に、とかね。
ただ、あんまり書くことが思い浮かばなかったりして。



とりあえずこのアルバムは相当な傑作だよな、なんて思いつつ。
(当時)50歳に手が届こうかというおっさんが
俺ぁもっぺん虹を追っ掛けンぜっ!
て言い切る(ダサ)かっこ良さに痺れたんだよね。





わー!CASTLEが帰って来たよ!!
今年の9月から欧州ツアーをするのだそうで、
それに先駆けて'17年ニューヨーク公演をライブアルバムとしてリリースです。
'17年と言えば4枚目の“Welcome to the Graveyard”が出た年ですな。
フィジカルはレコードのみっぽいので我が国では余計に厳しいと思われますが。
4月頭予定。聴かないという選択は勿論ねぇのです。



昨日はTHE DAMNEDの〝Anything”('86)を聴いていました。
前作〝Phantasmagoria”('85)からの流れを汲む
ゴシックロック路線という認識でしたが、
いやこれはもっと古いサイケ、R&Rの影響が大きいアルバムでもあったんだなぁ。
冒頭Dave Vanianのボーカルはまんまプレスリーだし、
続く2曲目はLOVEのカバーだもんな。

因みに僕がこの曲を初めて聴いたのは…



DAMNEDのカバーは案外このUFO版のリズムを
参考にしているんじゃないかという気もしたりして。
しかしこれ、当然ながらMichael Schenkerがギターを弾いている訳で
なんか、凄いよねw
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ちょっと先の話と凄く昔の話 [日々聴く音楽]



やけにいいペースで新譜出してくるじゃん
…と思ったらコレ、蔵出し音源の総浚え盤なのね。
概ね'78年から'83年の間に録音された
未発表デモやリハをデジタイズ(AIによるトラック分離も)して
一部を再録音の上ミックスし直したものらしいです。
1曲だけ新しめの(言うても'16年の録音でBEATLESのカバー)がありますが
それ以外は当然Bouchard兄弟や故Allen Lanier在籍時の演奏で、
今般の蔵出しに当たってはBouchard兄弟もオーバーダブに参加しているのですと。
一方Richie Castellanoはプロダクション面で大いに貢献しているようで、
新旧メンバーが一様に関わっているというのはとてもイイ感じですな。

スタジオ盤で言えば“Mirrors”('79)から
“The Revölution by Night”('83)の時期と言うことで、
これは僕にとってのBOC黄金期なので当然愉しみだよね。

4月中旬リリース予定。
国内配給レコ社の宣伝を読むと
なんか純然たる新譜と思っているのかな?
BEATLESのカバーを特記していますが、いやそこはMC5
(“Kick Out the Jams”のスタジオ録音)を挙げておくべきじゃないのかぇ?
-と、まぁ、きっとBOCのこと良く知らないんだろうな…
というのがバレバレの商売でちょっと悲しいですよ僕は。



なんて言う話から一足飛びに

Killing Time / MASSACRE / 1981
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昨夜無性に聴きたくなりましたが、
あれ?俺これ持ってたっけ??
とCD棚を漁ること暫し。
'05年の紙ジャケ再発盤が端っこの方にひっそりと鎮座しておりました。

これはねぇ、リアルタイムではもう、全く興味の湧かなかったアルバムですよね。
大体においてHENRY COWを聴いた時点で
こんなの訳わかんねぇよ…
って言ってた中学生にRiOの敷居はやっぱり、相当高かったのだ。

当時出来たばかりのdisk union国立店、
「反対派ロック」のエサ箱に新譜として堂々と刺さっていた1枚は
Fred Flithが米国の気鋭ミュージシャンと組んだ新バンドということで
かなり話題のアルバムだったのですが、僕は勿論スルーしました。

で、そんな僕がこのアルバムを聴いた切っ掛けは



4人編成当初の迷走期、本作をプロデュースしたのがBill Laswellなんですね。
Bill Laswellと言えばTHE STALINの“Fish Inn”('84)だろ!?
ってなもんで、そこから更に遡ってみたら
あっ!MASSACREのベースってBill Laswellだったのね、という事実。
これ、中古盤LPがそこそこ高かった記憶があります。

結果、丸っきり普通に聴けちゃいましたよね。
更にはHENRY COWもMASSACREに較べたら全然聴き易いじゃん、とw
まぁ好き嫌いで言えばそこまで好んで聴く類のものではなかったですが。
実際カンタベリーミュージックを好んで聴き込むようになるのは
更に後のことなので何かを偉そうに語れるものではございませんです、はい。

なんで急にこれ聴きたくなったのかなぁ。
レコードで言うところのB面は俺、実はあんまり聴いていなかったのかも…
という再発見はありましたが。
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トースト専用ブラックサンダーをそのまま… [日々聴く音楽]

食ってみた。口溶けが良くて、これはこれでアリ。



前回作文はちょっと暗い感じだったので今回は弾けるようなヤツから。

もはやmetal blade Recordsの看板(のひとつ)
と言っても過言ではない(?)Midnight。
3月予定の新譜から先行で公開されたのは…


※年齢制限の警告は初めて見ましたな。まぁこれYouTubeで見てください。

なにしろ最初のドーン!で両手中指をガッツリおっ立てますからw
しかしこの曲に込められているメッセージは
世間からハミ出した者の祈りにも似た叫びに相違なく、
しかもF.O.A.D.を更に突き詰めた先に出てくる言葉が
F.O.A.L.という発想はちょっと凄いよな。

そしてライブではヘルプを仰いでバンド編成なのに
スタジオ録音は相変わらず全部一人でやるというw

まぁなんだ、これは今から超楽しみな1枚ですよ。



あー…今日も小ネタでいいかなぁ…。



Petofi Felho Projekt / YESTERDAYS / 2024
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昨年ライブ盤“A Moonlit Night in Budapest”を
リリースしたYESTERDAYSですが、
その後間髪入れずに3曲のライブ録音を公開しています(フィジカル無し)。
前者が'07年と、ちょっと古いライブであったのに較べて
こちらは“Saint-Exupery alma”('22)からの選曲もあり、
最新の実況録音だと思われます。

-で、年が明けてつい先日、今度は5曲のスタジオ録音をEPとして
(こちらもノーフィジカルで)公開しました。実に精力的ですな。



2023年は19世紀ハンガリー革命のキーパーソンであり
詩人でもあったPetofi Sandorの生誕200周年だったのだそうで、
その功績を若い世代に今一度認知させるために
Petofi Sandorの詩に基づいてポップソング化するという
コンテストが行われたのですと。

YESTERDAYSはそのコンテストのために4曲を録音して
そのうち3曲が入賞したんだってさ。
プログレバンドが書いたポップソングであるからして、という理由で
正規作とは一線を隔すためにEPでデジタルリリースしたってことみたいですが
いやこれは、我が国専門店のためにも盤出せばいいのに…
と思っちゃうくらいに出来は良いです。
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シリーズ 盤無き好作 その2 [シリーズ作文]

ロシアがウクライナに攻め入ってもうすぐ2年。
未だ終結の気配すら感じられない中この国ではあまり報道もされなくなり、
実際のところどうなってんだ?
という疑問と不安はありつつも
やはり我がこととして捉え続ける難しさはあるよなぁ、と。

普段こういう話からは意図的に距離を置く僕が
なんでこんな話を書き始めたのかと言えば

Polemosophy / LA HORSA BIANCA / 2024
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ウクライナのバンドで、'18年頃から活動しているようです。
本作は「戦時下における(一時的な)空想による逃避」のための
組曲とのことで、僕はコレをどういう気持ちで聴いたらいいのか
分からなくてちょっと困ったのです。
まぁでも、結局単純に音楽として面白がれるかどうかしかないんだよね。



まどろむようなサイケデリアは
徐々に凶悪な歪みサウンドに取って代わられ、
その狂騒も突如元の静けさに飲み込まれてしまう。
うーん、これ、やっぱり気軽に聴けるもんじゃないなぁ…
と、冒頭から僕の脳味噌は色々考えちゃうのだけれど
音楽そのものへの没入度は高く、なかなかの混乱状態に陥ります。
しかしこのふわふわとした落ち着かなさ、
腰の据わらない気持ちの悪さこそが本作の肝であり
バンドの創作意図に沿ったアウトプットなのだな。

他の幾つかの曲ではバンドのかつての姿
(スラヴの薫り漂う快活なプログレサウンド)を垣間見せつつも
やはりどこか閉塞した感覚があって
過去作とは一線を隔しているように思うのです。
しかしなにしろ聴くのを止められないのは
この緊張と弛緩の繰り返し(のサイクル)に
底知れない魅力を感じているからなのでしょうねぇ。



安易に安寧へ向かうことなく徹底的にもがきながら
それでもどこか出口に向かおうとする姿勢を
アルバムの最後に示したのは非常に現実的で、
バンドが本作を「空想による逃避」としつつも
「厳然たるリアル」から逃げない(逃げられない)様子が伺えます。
これはまさに時代と並走する音楽であり、
そこから聴き手が何を思考するのかが試されているような気がします。

僕は…この人達には過去作のような曲をまたやって欲しいと、
そんなことを思ったりした訳ですが本作を入り口としたことについて
なんら後悔はなく、およそ優れたミュージシャンってのは
いかなる状況下にあっても優れた音楽をやるものですね。

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