人気無きジャンル [新譜]

Reign of the Reaper / SORCERER / 2023
srcr23.jpg

スウェーデン産、欧州ドゥームメタル王道中の王道が放つ最新作。
このバンド、僕は結構昔に聴いていたのに
それをすっかり忘れていてなんともはやって感じです。

結成は'88年とのことで相当な古株ながら
当時はレコーディングの機会に恵まれず、
'95年にやっとリリースされたアルバム“Sorcerer”は
'89年と'92年に録られたデモ音源の編集盤でした。
結局この後バンドは一度解散したようです。
時代を下って'10年、ライブ出演をきっかけとして再結成を果たし
翌'11年には上記“Sorcerer”をリマスター再発します。
僕はこれを聴いていたのですが…ほぼ記憶がありませぬ…。

その後も少し間が空きますがバンドは突然大手metal blade Recordsと契約、
'15年に真正1stアルバムをリリースして以降は順調に作を重ねており
本作は4枚目ってことになります。

で、僕がこのバンドに再度注目するようになったのは2年前、



これをたまたま見つけて、その選曲の渋さ
(え、“Diary of A Madman”じゃなくてこっち!?という驚きがあったの)
に痺れて慌てて他を聴き漁ったのです。
因みに上掲は単曲での発表でしたが同じ'21年には“Gates of Babylon”、
“When Death Calls”、“Crusader”と都合4曲のカバーをリリースしています。
元がどのバンドの曲なのかは面倒なのでいちいち書きません(意地悪)。
因みにこの4曲については欧州限定版デジパックのオマケ盤に収録されている他
bandcampのデジタル版にシークレットで追加されています。
bandcampの方は期間限定とか、なにかしら縛りがあるかも知れないので悪しからず。

あー、なんかそう言えば“Sorcerer”でもRAINBOW(“Stargazer”)やってたよな
なんて思い出して、俄然気にるバンドと化したのです。



歌声は圧倒的にTony Martinを彷彿とさせる訳ですが
なにしろこの血沸き肉躍る高揚感。
ツインギターはややピロピロが過ぎるきらいもありますが
ソロの捻くれたコード進行はMERCYFUL FATE的だったりして、
要するに僕にとっては辛抱堪らん大好物ってことなのです。

まぁこれをドゥームメタルのジャンルに括っちゃうと
日本で話題になることは全く期待できなくなる訳ですが、
勿体ないよなぁ、これ凄くイイのにねぇ。



Glass Future / HOWLING GIANT / 2023
hwlgiant.jpg

一方こちらは以前にイントロダクションを書きましたが
SORCERERと同日無事にリリースされたということで。
これがまた素ん晴らしいのだ。



ふわふわとたゆたうようで、しかし演奏自体は恐ろしくシャープ。
かかか、カッコイイ!

コメント(0) 
共通テーマ:音楽

2人とも70超え [新譜]

遡ること3年前、僕は
この人もそろそろキャリアの総括云々…
なんて書いてしまった訳ですが、いやもうホント申し訳ありませんっ。

i/o / PETER GABRIEL / 2023
ptgbrl23.jpg

今年の頭からポツポツと(概ね月イチで)新曲が発表され、
年末12月にそれ等をまとめて新作アルバムとしてリリースしますよと。
現状まだ発表されていない11、12月分を併せて全12曲。
更に面白い試みとしてSpike Stentによる「ブライトサイドミックス」、
Tchad Blakeによる「ダークサイドミックス」を併売するのですと
(CDは2枚組、DL版も両ミックスをセットで頒布)。
米国の超メジャーどころを数多くプロデュースするSpike Stentと
捻くれマニアックなミュージシャン達に好んで起用される
Tchad Blakeの対比ってのは非常に興味深いですな。

パッと聴いた感じ、やっぱり僕はダークサイドが好みのようです。



しかしなんつうか、どの曲も物凄く良い。
リズムセクションはManu KatcheとTony Levin、
そしてギターがDavid Rhodesだぜ?あ、あとEnoも。
馴染みの凄腕と、ってのがまた僕を興奮させるのだ。
そんなのさぁ、そんなのイイに決まってるわぃな。
いやーコレ2023年の最後に途轍もないのが出ちゃう感じですよ。



Moving Fragments / ACQUA FRAGILE
aqfegl23.jpg

前のアルバムは…'17年だから6年振りということになりますか。
Bernardo Lanzettiとリズム隊は前作同様オリジナルメンバー、
ギターとキーボードが入れ替わっております。
Bernardo Lanzettiがメインで作曲しているのは変わらないと思われますが
新しい鍵盤奏者がそこそこ絡んでいる様子も伺われ、
やはりノスタルジックではあるもののキーボードサウンドの多彩さが
かなり前面に押し出されている印象です。
極々私的な好みとしては前作の素朴なサウンドに
よりイタリアンカンタウトーレとしての魅力を感じますが
プログレ観点ではやはり本作に軍配が上がると思います。

Bernardo Lanzettiはまだまだ張り艶のあるボーカルを唸っており、
やっぱりずっと現役で歌い続けるってのは凄いことだなぁ、と。
コメント(0) 
共通テーマ:音楽

集めて作る [日々聴く音楽]

先日TRILOGYのことを書いた後ふと思ったのです。
もしかして諸々各所から単曲を寄せ集めて来たら

Fire in Harmony / VARIOUS ARTISTS / 1985
va fih.jpg

が出来上がるんじゃないかと。
またも巷間に全く需要の無い話題ですが
我が灰色の脳味噌が思いついちゃったんだものコレ仕方がないやw
さぁ、それじゃあ行ってみよっ!

A1. Fly High Fall Far / PENDRAGON
これは楽ちん。
元々'84年にリリースされたバンドのデビューEPから持って来た曲で、
1stフルアルバム“The Jewel”CD化に際しての
ボーナストラックとして聴くことが可能です。
この1stは結構な回数再発されておりそれぞれ異なるボーナストラックが
収録されていますが本曲についてはどの版にも入っているので問題なし。
敢えて選ぶなら'21年の最新リマスター盤はデビューEPの4曲が
全て収録されている(何気にこれだけだったりするのだ)ので
それがイイですかね。

A2. Shadows / HAZE
PENDRAGONと同様バンドは'84年に自主盤LPでデビューをしていますが
当該曲は未収録。'86年に7”シングルのB面曲として
リリース(録り直しはしていないと思われます)されています。
2ndアルバム“Stoat & Bottle”('87)のCD化再発('08年)に当たって
リミックス版がボーナスで収録されていますが
そんな盤は僕、全く見たことがありませんな。
でもでもしかし、やっぱりbandcampにはちゃんとHAZEも参加していて
(驚いたことに散発的ながらずっと活動は継続しているみたい)
“Stoat & Bottle”もデジタルDL版で簡単に入手可能です。

A3. A Tale of You / LIAISON
'82年から'84年の間に7"シングル2枚とデモテープ2本、
そして当該曲が世に出ているだけだったので
これはなかなか難度が高いなぁ、なんて思っていたら
'18年に上記をまとめた蔵出しCD(10曲)が自主リリースされていました。
うん、てぇことは多分このバンドもbanndcampに居るだろ、
ってことで捜索した結果無事にデジタルDL版を手に入れることが出来ました。
ここはギタリストにGary Mooreの影響が強く感じられて
他にあまり類を見(聴か)ない曲がなかなか面白いです。

A4. Hidden Mysteries / TRILOGY

YouTubeではバンド自身のチャンネルで普通に見れますが
この曲については今のところ音源頒布がなく、今後の蔵出しに期待したいです。

B1. Peace / SOLSTICE
PENDRAGPNとSOLSTICEについてはもう、全く苦労する必要がありません。
'84年のデビューアルバム冒頭に収められたこの曲は
'07年再発の2枚組“The Definitive Edition”で
各デモ版との違いを聴き較べるのが宜しいかと思います。
フィジカルが見つからなければiTunesでもなんでも
メジャーどころに普通にあります。

B2. Unspoken Words / CITIZEN CAIN
当該曲は'96年に伊MELLOW labelがリリースした蔵出し盤
“Ghost Dance”('82~'84年に録音された楽曲集)に再収録されており、
その“Ghost Dance”は'13年英festival musicによって再々発されています。
しかし現状デジタル版の存在は確認出来ませんでした。
これに関して一番問題なのは曲自体が糞ほど詰まらないってことです。

B3. Blood and Roses / LA HOST
今やすっかり界隈におけるベテラン風情で活躍する
Mark Spencerのキャリアはこのバンドからスタートしました。
他の例に漏れず7"シングルとテープ以外残さなかったバンドで、
結果これが一番の鬼門かも知れません。
'92年に仏の超マイナーレーベルUgum Productionが
'84~'85年に録音された13曲からなる編集盤“Erotic Antiques”をリリース。
本曲も収録されていますがこのCD、今となっては全然見つからない。
TWELFTH NIGHT(Brian Devoil)が周辺メンバーを含めた関連作を
細かく拾い続けているのでそこに一縷の望みをかけつつ、
いやこれしかしマジでどこにもブツがありません。

B4. Fire In The Sky / QUASAR
'82年のデビューアルバムに収録されている同曲はPaul Vigrassがボーカル。
しかし本オムニバスのバージョンはSusan Robinsonが歌っているものなので
ちょっとだけ注意が必要です。
まぁ再発CDにはボーナスとしてSusan Robinson版が追加されていますし
'21年にリミックスされたもののデジタル版でも聴くことが出来ます。

-と、言うことでA4とB3以外の6曲はサクっとプレイリスト化出来ちゃった。
うん、なんか、ちょっと拍子抜け。
まぁでも残り2曲はなかなか難しそうです。

いやー、こういう馬鹿馬鹿しいことやってる時が一番楽しいわぁ。
コメント(0) 
共通テーマ:音楽

買うのと、買わないのと [新譜]

Roger Watersの「狂気」録り直し版について、
結論から申し上げれば買っていません。
ちょっと迷うところもあるのですが
オリジナルを超えることは絶望的に無理だろうし、
製作意図についてもなんかごちゃごちゃ言うてますが
僕としてはえっ、何言ってんだコイツ?って感じだし。

僕はPINK FLOYDが“The Wall”から
どんどんおかしくなっていく過程にあって
常にRoger Waters擁護派でありましたし今だってそうです。
Dave GilmourのPINK FLOYDは見に行っていないけれど
Roger Watersはちゃんと生で見ましたしね。

だけどさぁ、だけども今更「狂気」をやり直すってのは
さすがに蛇足なんじゃねぇの?って思っちゃう訳ですよ。
Roger Watersも年食ってヤキがまわっちゃったのかなぁ、なんて。

コロナ禍にあって



色々と過去を振り返っているうちに
じゃあいっそのこと…
って思うのは、それは人情として仕方がないと思うのですよ。
しかしそれにしたって「狂気」をやるってのは、それはどうなんだ?
勿論これを録り直すことで今更この人の晩節が汚れることもないでしょうし
実際はそこそこ持ち上げられたりもするだろうしね。
ただ厳しいこと書いちゃうと、
もうこの人には往年の「怒り」成分が無くなっちゃったんだと思います。
世界に対するシニカルな視線がすっかり弱くなってしまったのはしかし、
年齢を考えればやはり致し方ないところなんだよな。

まぁそういうことなのでコレ僕は聴かないよ、ガッカリしたくないからね…
という決意表明文だったのかこの枕は、と
ここに至って気づいた僕であります(苦笑)。



一方、



なんてこった。実に40年振りの新譜ですって。
…ん?ちょっと待ってくださいよ、Eddy Malm居ないの!?
僕はHEAVYLOADのボーカル持ち回りにおいてRagne Wahlquistの方が好きなので
文句言うのも変なのですが、やっぱりEddy Malmの
思いっきりリキんだ歌声もないとそれはそれで寂しいじゃないか。

Eddy Malmは



こっち一本でやっていくってことなのかしら。
うーん、それにしてもこのセルフカバーは素晴らしいよな。



欧州盤CDが平気で¥3,000を超え始めてうひょ~とか声を出しつつ、
しかし僕が中学生の頃の欧州盤レコードも同じような値段だったよな、
なんて思い出したりもして。

つーか、案の定枕の方が長かったw

コメント(0) 
共通テーマ:音楽

蔵出し大爆発 [日々聴く音楽]

なんか急にノーフィジカルのお蔵出しが立て続けに…
なかなか賑やかなことになっておりますよ(嬉)。



The Weirdest Collection of Tunes -The 35th Anniversary Celebration /
UNICORN
unicorn5.jpg

久々にDan Swanoの名前を書くような気がします。
去年



これで暫く振りに歌声を聴きましたが
プロデュースついでに1曲客演しただけなので僕としては全然物足りず、
そもそもこのバンド自体いまいち好みに合わなかったのだ。

一方今般のUNICORNの音源は6曲のスタジオ録音+'89年のライブ6曲。
スタジオ録音のうち3曲は“The Weirdest of Tales”より。
そして2曲が“A Collection of Worlds Pt.I”
(オリジナルテープ版)からの選曲。
残り1曲は曲というよりも声入りのSEみたいな感じで、
これは出処が分かりませんでした。
いずれも'22年にDan Swanoによってリミックスされており、
なんか同年にチャリティ目的で10枚のみ
ピクチャーレコード化されていたようです。

目玉はやはり“A Collection of Worlds Pt.I”からの2曲
ということになりましょう。



それから

nowwherewerewe / PALLAS
pallas nwww.jpg

全63曲トータル8時間超えの狂ったボリュームw
'99年、'01年、'06年のライブ(全てフルセット)と
3枚のアルバム“Beat the Drum”('98)
“The Cross and The Crucible”('01)
“The Dreams of Men”('05)のデモ、
更にこの時期の楽曲を'20年にリミックスしたものが幾つか。
おまけに新譜から“A Message”の短い(1分ちょい)抜粋。
Alan Reedの脱退前、後期の活動をまとめてお蔵出しということで
初出し音源が多く聴き処も盛りだくさんです。

ライブについてはオーディエンスのテープ音源っぽくて
サウンドの質はあまりよろしくありませんが
後修正ナシの生々しい演奏は実に達者で、
あ、この人達上手いんじゃん、と今更ながらに思ったりして。

そしてこれとは別に

No Sleep 'Til Rotherham / PALLAS
pallas nstr.jpg

ラインソースのフルライブが同時に頒布されています。
こちらクレジットが無いのでいつのライブかは判然としませんが
演奏曲目からして“The Dreams of Men”の
リリースに絡めたツアーなんじゃないかと思われます。

本音を言えば早く新譜出せよ、ってところですが
11月に予約開始、12月にリリース予定とのことなので
もうちょっとの辛抱です。
まぁ今年中に聴ければラッキーくらいの気持ちでいる方が
精神衛生上も良さそうですな。

コメント(0) 
共通テーマ:音楽

病み上がり [日々聴く音楽]

いやー、体調崩しちゃって。
と言っても感染症の類ではなくて、お腹の調子が悪かったのです。
年齢が年齢なので色々検査してみたけれど
特にどこかが悪いって訳でもなく、
単純に腸の調子が良くなかったということみたい。
整腸剤処方してもらってだいぶ落ち着いてきた感じです。

んで、ゲームやったりトイレ行ったりして忙しかったので(?)
やっぱり音楽に触れる時間が少なくてですね…。



Live at the Actor's House / SEAORM / 2022
soaml.jpg

去年の夏の終わりに発表されていたライブ(フィジカル無し)。
1stと2ndアルバムそれぞれの冒頭曲と10分弱の即興による新曲を収録。
徐々に熱を帯びていく即興演奏もかなりカッコイイのだけれど
やはり2枚目からの選曲“Forgotten Shrines”は別格だと思います。
僕はこれ、近年のプログレ界隈で聴かれた名曲の一つであると
勝手に決めているのですが
サクッと生演奏をキメちゃう辺りの凄味がもう、なんというか。

相変わらず異常な精力で活動を続けるAngel Ontalvaですが、
僕はSEAORMに限って聴くことで飽きずに済んでいます。
やっぱり多作なミュージシャンに対しては
こっちの付き合い方にも工夫が必要だよな。



すんごい短くてアレなのですがリハビリがてらということで。
コメント(0) 
共通テーマ:音楽