発掘の行方 [日々聴く音楽]

徳間ジャパンのYouTubeチャンネルで
町田康が「メシ喰うな!」について語っているのを見つけました。
これがまぁとても面白くてですね。
町田自身がCANを好んでいたというのもなかなかアレなのですが
ギター北田昌宏の趣味としてFINCH、STATUS QUOの名前を挙げているのが
なんとも興味深い(映像で町田はFINCHをイタリアの…と言っておりますが
これは恐らく勘違いでオランダのFINCHのことだと思われます)。
言われてみれば確かにギターのフレージングには
Francis Rossiっぽいところがあって、これは目から鱗でした。
まぁさすがにINUでシャッフルのブギーをやる訳にはいかなかったんだろうなw



-などという枕からは思いきなりかけ離れて。

4383 / MASQUE / 1986
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これねぇ、これいつどこで買ったのやら全然覚えていないのです。
デモ(?)テープというプロダクトの性質上
多分新宿エジソン辺りでリリース後すぐのタイミングに
入手したのだろうと推測しますが。

パッケージがちょっと凝った作りになっていて
上掲写真の緑色の部分がカセットテープのケースです。
そして7"レコードサイズよりひとまわり小さな外周部は厚みのある箱型形状。
その正面にカセットケースがすっぽりはまるようになっています。
意匠は女性のモノクロ顔写真。目の部分がくり抜かれていて
緑色のカセットインデックス面に目出しマスクが線描されています。
…僕はこのギミックにつられて買っちゃったのではないかと(苦笑)。

箱の裏面には見開きのコピー紙が貼り付けてあり
各種クレジットを確認することが出来ます。
ふーむ、滋賀県出身のバンドなのですね。

5曲入り、全般に捻くれたフュージョン寄りの印象。
楽曲に溶け込むことを良しとせず
やたらと饒舌なフレットレスベースは僕の好みとはちょと違いますが
実は割とオーソドックスなメロディ指向と思われるギターや
時代感溢れるキーボードとの取り合わせは案外面白くて、
どうやらこのバンドは一聴オーソドックスなアンサンブルを演奏しつつも
常に誰かがそれをぶち壊してやろうと暗闘している様が特徴的なのだな。
ただこの手の音楽を当時の僕が聴き込む筈もなく、
恐らく1回2回聴いてしまい込んじゃったのかと。
そりゃあ覚えてないよねぇ。
まぁそのお陰でテープはほぼミントな状態。
保存状況も僕としては珍しく良かったみたいで
(勿論ヒスノイズはあるものの)かなり良好なサウンドで再生できました。

-と、先日これを実家で見つけて、
それで改めて聴いてみてなんだよ全然面白いじゃんって
独り盛り上がっていましたところたまたま中古で

Third Ear - Third Eye / MASQUE / 1997
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こんなのを見つけてしまったので慌てて手に入れた次第。
テープ出してから11年後のリリースってことになりますね。
リズムセクションとギターはそのまま、鍵盤奏者が不在となり
その代わりギターがもう一人とサックス奏者が
メンバーとしてクレジットされています。

アルバムの前半部は上記「ぶち壊し」の側面がぐっと前に出ていて、
これを平たく言えばかなりアヴァン寄りってことになりましょう。
なんか、長閑さの欠如したKILLING TIMEみたいな感じ?
それでもギターのメロディ指向が首の皮一枚踏み止まっているので
僕としてはなんとか許容範囲かな。

後半はテープの頃のアウトプットにやや揺り戻す感じなので
幾らか落ち着いて聴くことができますが、
多分キーボードが居なくなったことで
このバンドは僕の好みから大きく外れてしまったのだと思います。
ボーナストラックは2曲ともテープからの再収録で、
結局これがイイよなってなっちゃうんだもん。

僕はこの人達の別プロジェクトである美笑を
全く聴いていない(聴く気もない)のでなんとも言えませんが、
総体として商業音楽から距離を置き
地下世界に居心地の良さを感じている風情は肌感としてありますよねぇ。
まぁ僕もそういうの嫌いではないのだけれど、
日常的にそこに身を置きたいかと言うとそれは違うんだよな。

結論:テープだけ聴いて満足してりゃあ良かった…。
なんか変な作文になっちゃいましたが、これもいつものことではありますな。
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Fredric Brownは結構タイトルがヤバい [新譜]

ゲーム熱は全然落ち着くことなく2周目に突入しております。
キャラクターのスキルが全然埋まっていないし
1周目でこなせなかった事がアホほど残っているのです。
周回プレイをさせるのに全く違和感のない
バックグラウンドとストーリーはかなり巧妙で、
いやコレ僕は思わず唸っちゃいました。



まぁゲームとしてはスペースオペラ型Falloutに
No Man's Skyの要素が混じった…という乱暴な括りも出来ますが
思いの外ゴリゴリのSFでおぉっ!?てなるんだよね。
僕の世代だとやっぱりFredric Brownの「発狂した宇宙」を
思い出したりします。



While The War Began / I SPY / 2023
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'88年と'91年にアルバムをリリースしたオランダのバンド、
32年振りの3rdアルバムは全20曲(フィジカルは2枚組)の力作です。
…と、言われてもわたしゃ以前のアルバムなんて
聴いたこともないし覚えてもいない。
どうやら概ねプログレとは捉えられていなかったようで、
ざっと浚ってみると'80年代ニューウェイブの残り香漂う
ポップロックって感じですかね。
デビュー作からのシングルカットが
オランダチャートのトップ40に食い込んだのだとか。
一方2枚目の“Kite”('91)は結構PINK FLOYDっぽい感じもあります。

本作については1~5曲目に“Unforgotten”、6~11曲目には“Fearless”、
12~15曲目に“War”そして17~20曲目に“Odyssey”と
それぞれテーマ設定がされていて、
これは恐らくレコードの各面に対応しているものと思われます。

アルバム冒頭の入りが実にGENESISなので
あぁ、そうねぇwって感じなのですが



なんか突然VOI VODを彷彿とさせるような不穏な歪みギターが爆裂して
僕はギョっとしちゃったのです。
おいおいおいこのバンド一癖あるじゃん、と。



曲毎の表情には相当の振れ幅があります。
アルバム全体の印象としては管(客演)をとり入れたアレンジが
とても上手いと感じました。
さすがメインストリームの曲作りを知っているってところでしょうか。

しかし本アルバムはプログレとして聴くのになんの疑問も無く、
実際相当良く出来ています。
オランダのプログレシーンにまたもや気鋭現るってところですな。

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そぞろに書いてるのがバレバレだぁ [新譜]

相変わらずず~っとゲーム。実に寝不足…いい大人がナニやってんだか。
しかし改めるつもりなんかこれっぽっちもありませぬ。
ハハハ、ざまぁ見ろ(?)。
しかしなんだ、毎度ベセスダのゲームは
セーブデータが度々ぶっ壊れるので遊んでいて非常に緊張します。
まぁこれでもバグは少ない方だとは思いますが、
ちょいちょいおかしな事象が発生するので気ぃ抜けないのよね。



リリースは来月末ながら

Glass Future / HOWLING GIANT / 2023
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BARONESS、ELDERの系譜にまた一つ注目(耳)すべきバンドが。



フルアルバムとしては2枚目、しかし最初のEPは'15年に出ているみたいなので
既にそこそこのキャリアはあるようです。
こんな音出しているのにテネシー州ナッシュビル出身ってのがまずもって異色。
大方の楽曲はSFやファンタジーに題を採っているようで
これはこの手のバンドとしては常套的ではあるものの、
やっぱりナッシュビルって聞いちゃうと、ねぇ。

そしてここのベーシストはSebastian Baltesという人で
'19年の1stアルバムから演奏していますが、
なんとPeter Baltesのご子息だそうでこれまた吃驚ですわ。



せっかくだから新しいの貼っておきましょうか。
父ちゃんもすこぶる元気ってことで。
しかしここも今やボーカルとドラムが親子だもんな。

…話がズレました。
バンドはキーボード奏者も正式メンバーとする4リズム、
そして他の3人は全員歌えるのでバンドアンサンブルがかなり凝っているんだな。
いやー、これはとてもイイですよ。
僕は今慌てて過去作に遡っています。
だって、これは全部聴いておいた方がいいと思うんだ。



一方のプログレ方面、実家でかなり珍なカセットテープ
(買った覚えが全然無い上にに聴いた記憶もまるでないんだなコレが)を
発掘したのです。これが割と面白かったのでなんか書こうと思っていたら
先日同じバンドの中古CDを発見したのでこれをポチって現在到着待ちです。
一通りまとめて聴いて、その上で作文しようかと。
国産、フュージョン寄りですかね。まぁ、そのうちに。

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お察しの通り(?) [新譜]



先週末から ↑コレ始めちゃったので音楽自体あんまり聴いていないのです。
なんつうか、なんつうの?Fallout 3以来、久々にベセスダのゲームに激ハマり。
この、ズブズブと足を取られていくようなぬかるんだ没入感が堪らんのですわ。



ーなどと言うていても詮方ないので短めに。

Hypnagogia / PIXIE NINJA / 2023
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前作で僕を虜にしたノルウェー産バンドの3枚目。
これまた見事に前作を超えてきたので大層嬉しくなっちゃったのです。
前作にあってはやや抑制されていたユーロロック的リリシズムが
幾らか解放されたことで単純に音楽としての分かり易さが増したこと、
一方でサウンドテクスチャーは大幅に現代側に寄せてきており
オールドスクールなインストゥルメント(メロトロンだの管楽器だの)との
ミクスチャーは特異なアウトプットを形成しています。
まぁこれを一言に要約すると「オリジナリティ溢れる」ってことになりましょう。

僕は前作についての作文でGOBLINの名前を書きましたが、
それはPIXIE NINJAがANIMA MORTE辺りの流れに属するものとして
整理できるのではないかと思っていたからですが
もはやそんな単純な解釈では収まらない処へ飛躍していると思います。
或る切り口から見れば今最もプログレッシブな音楽と言い換えても
あながち間違いではないんじゃないかと…んー、まぁそこまでではないかw



しかしこのベクトルを徹底的に突き詰めていけば
いずれこの人達がプログレの特異点たりうる可能性ってのは、
それは否定できないと僕は考えるのです。

なにしろ本作が現代型オカルトロックの
先鋭的ポジションに位置しているのは間違いなく、
僕はそういうのが大好物なのよ。

前作はH.P.Lovecraftから題を採った曲がズラリと並びましたが
本作はそこまで具体的という訳ではないようです。
しかし「半覚醒状態」というアルバムタイトルにはやはり
(メンタルな部分に訴えかける)そこはかとない不気味さが漂っていて、
僕はふと木々高太郎の名前を思い出したりもしました。
勿論この人達が木々高太郎を読んでいる筈もないでしょうが。

フィジカルはレコード、CD共に数は限られているようですが
1stアルバムが暫く間を置いて再生産されている事実に鑑みても
そんなに慌てなくても大丈夫な気はします(勿論断言はいたしませんが)。
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