イントロ曲目絶唱癖 [泡沫盤]

かつてGRIM REAPERというNWOBHMバンドに在籍し、
何故かアメリカでスマッシュヒットを飛ばしたSteve Grimmett。
彼はGRIM REAPERの崩壊後、
スラッシュメタルバンドのONSLAUGHTに加入します。
ここではバンドを正統派のパワーメタルに変貌させてしまい、
マニアの顰蹙を買ってアルバム1枚のみですぐに脱退。
そして暫く後、まるでWHITESNAKEのようなバンド、
LIONSHEARTを結成して再起を果たします。
デビューアルバムは日本で好評を得ましたが、
来日公演でぐだぐだな演奏を披露してボロクソに叩かれました。

-僕はこの辺りでこの人のフォローをやめましたな。

その後も散発的にLIONSHEARTや企画プロジェクトものに参加し、
未だ現役で歌っているようです。

この人は確かな歌唱力と特異な風貌でとにかく目立ちます。
しかし僕にとって最も印象深いのはタイトルの通り、
やたらとイントロで曲名を絶唱することなんです。
スタジオ アルバムはまだしも、ライブともなれば
ほぼ全部やってるんじゃないか?ってくらいです。
妙な癖だと思います。いまだにやってんのかな…。

さて、今日の1枚はバンドのファンには悪評芬々の

In Search of Sanity / ONSLAUGHT / 1989
In Search of Sanity (Reis)

In Search of Sanity (Reis)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Candlelight
  • 発売日: 2008/03/11
  • メディア: CD


そりゃそうです。元々はパンクバンドとして出発、
当時は禍々しいスラッシュメタルが売りだった
ONSLAUGHTを普通のメタルバンドにしちゃったんですから。
…でもねぇ。
この変貌について、Steve Grimmett一人を責めるのは
ちょっとかわいそうだと思うんです。

本作はONSLAUGHTにとって3枚目のアルバムなんですが、
なにをトチ狂ったのか英国メジャーのLONDON RECORDSから
リリースされているんです。

この頃イギリスのメタルシーンはほぼ壊滅状態ですから
LONDON RECORDSの選択肢は少なかった。
でも、本家イギリスからMETALLICAの対抗馬は輩出したい。

契約候補に滑り込んだONSLAUGHTは
デモテープのボーカルを力量不足と叩かれました。
そこへアメリカで実績を築いた実力派の歌い手が帰国。
やり手のマネージャーがメジャー契約のために
これを利用しなければ、よっぽどの無能ってもんです。

…結局、みんな上手いことやりたかっただけなんですよ。

出来上がったアルバムも実はそんなに悪くない。
スラッシュメタルさえ期待しなければ、
剛直なメタルを充分に楽しめます。

僕は当時ポリドールから出た国内盤を買いました。
2ndアルバムからの「進化」を強調する有島博志の解説に、
それは全然違うだろっ!
と激しい反発を覚えましたが
GRIM REAPERも好きなバンドだったし、複雑な気分でしたねぇ。

現実的にやっぱり上手く行かなくて、
あっという間にバンドが崩壊してしまったのは悲しかったです。

2007年、Grimmettの前任であるSy Keelerを迎え
かつての突貫スタイルで復活したONSLAUGHTは
僕を清々しい気分にしてくれました。
ああ、この人たちはこれでやっと本来の姿に戻れたんだ…
と思える再結成でしたから。

願わくばSteve Grimmettも幸せな音楽活動が出来ますように。
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