何かが決壊したような長文で、本当にすみません [生演奏]

いやー、凄く面白かったです、
29日(土)に川崎クラブチッタで開催された
ジャパニーズ・プログレッシヴ・ロック・フェス2014。
どうしても書いておきたいことが色々思い浮かんでしまったので、
いつもの泡沫者的切り口でひとつ。
今日はタイトルの通り、久々に長いよー。



-開場の15時を暫く過ぎたチッタは結構な客入り。
チケットもぎりに並ぶのが嫌だったのでゆっくり目の到着を果たしたのに、
入場列が全く途切れておらずガックシ。
どうでしょう、最終的に600強は入っていたんじゃないですかね?
商業的には大成功と言えるのではないでしょうか。
加齢臭漂う高齢な客層は如何ともし難い感じでしたが、
ちらほらと若い人が混じっていたのも事実で
後追いのファンが少数ながら確実に存在するという事実に
言い知れぬ感慨がありましたねぇ。

早速の一服中、いつものあの人
(某新聞デスク…示し合わせずとも必ず会えるw)と挨拶してから
ゆるゆると自席へ。
フライヤーの束をつらつら眺めて開演を待ちました。
まぁこれ、今年30周年を迎えるバンドの多いこと!
'84年というのは我が国のメタル、プログレシーンの
一大マイルストーンだったのだなぁ、と物思いに耽っておりますと
岩本晃一郎がマイクを持ってステージに出て来ました。
短い喋りで余計な事を言わなかったのは好印象でした。
んがしかし、この時点で客は6バンドの出演順を全く知らされておらず、
それはアナウンスしてくれても良かったかと。


まぁ、そんなこんな。
場内暗転から緞帳が上がると、アナログ鍵盤の要塞に囲まれた厚見玲衣が。
ふへっ!初っ端MOONDANCERなの!?
と、ちょっと面喰らってしまいました。
沢村拓のギターがやや埋もれてしまった以外PAは非常に良く、
しかしこの「ロックな音量」で6つもやられたらちょっと耳がキツイかも…
と戦慄してしまった僕。
なにしろmoogの倍音がかなりやばいレベルで我が耳を攻撃するので、
まぁ、気にならない人は気にならなかったのでしょうけれど。

それにしてもこのバンド、
演奏者それぞれのミュージシャンシップが素晴らしく高い。
ふとした隙間にちゃんとシンバルをミュートする土屋敏寛の几帳面さはもとより、
上物のメロディの邪魔はせず、さりとてアンサンブルの芯を微塵も譲らない
下田展久のベースと併せて、凄く良いリズムセクションだと思いました。
ベースサウンドとしてはここのプレべが間違いなくこの日一番良かったです。
うむ、やっぱり土台が安定しているバンドは強いよなー。

しかし、僕が一番痺れちゃったのは厚見のボーカルなのでした。
若かりし頃のアクが抜けて、純粋に透明感を増した歌声は
'79年録音のスタジオ盤より今の方が断然良い。
いい大人が歌うにはちょっとアレな少女マンガ的歌詞も違和感無く、
聴く側が恥ずかしくなってしまうようなこともありませんでした。
堂々と演り切る姿勢ってやっぱり大事よね。

前座のMOONDANCERです、
というMCの開口一番にそこはかとない嫌味を感じつつ、
まぁ演奏順決定の経緯は伺い知れないものの
確かにこれが一発目というのはかなり勿体ないと感じさせる、
大変優れた演奏でした。


 舞台がひとつしかない会場でのセットチェンジは、
 分かっていてもなかなか厳しい。
 設営側の頑張りを充分に感じられるスムーズさではありましたが、
 それでもやっぱり間がもたないというか、
 客席の盛り上がりの熱量が維持出来ないのは
 バンドと観客双方にとって些か不幸なことだと感じました。
 物販的にはあれでOKだったんでしょうけど。


2番目はSTELLA LEE JONESという大所帯。初見、初聴のバンドです。
総じてジャズっぽいピアノが僕の好みとはちょっと(…かなり)違いましたが、
ロック側からグラデーションしていって一番遠いポジションにある音楽は
この日の6バンドの中にあって勇気のある出演だったと言えましょう。
演奏自体はとても上手でしたし、曲も面白かったです。

しかし、やっぱりフレットレスベースってのは難しい楽器だよなー。

そもそも蝶ちょのマークのベースって時点でかなりイケ好かないのですが、
まぁそれは僕の僻みが80%ってことで(べ、別にFoderaなんか欲しくないもん!)。
楽曲の求めに従ってフレットレスを使っているというのは勿論理解出来ます。
それに見合う技巧もありましたし、このベーシスト自体は何も悪くないのです。

しかしどうしても楽曲のルート感に乏しい印象は否めず、
輪郭がはっきりしないのは聴いていてちょっともどかしかったかなぁ。
事前にCDでも聴いて、曲を知っていれば脳内補完も出来たんでしょうけれど。
このバンドの編成ならアコーディオンが
もう少しコードを強調してもいいような気もしますが、
それはそれでアンサンブルが喧しくなり過ぎるのかも知れません。

いずれにせよもっと小さなハコで、
PAも小ぢんまりとデッドなサウンドで聴いたら
相当興味深いバンドだろうというのは容易に想像出来ました。
…あー、バンマス(ギター)のグズグズしたMCは人の善さを感じさせつつ
ちょっとイラっと来ましたけどね(笑)。


 この日のPAは全体的に高品質でした。
 各バンドの最終曲でいちいち音量を上げるお約束が
 我が耳に鬱陶しかった事を除けば、
 それぞれの出音に合わせたアウトプットが心地よかったです。
 最初のMOONDANCERで僕が抱いた危惧は杞憂に終わり、
 帰宅後の耳鳴りも全くありませんでした。


続いて3つ目はYUKA & CHRONOSHIP。
僕の周りに居たお客さんにはかなり評判が良かったみたいです。
んー…まぁ、好みは人それぞれだからねぇ。

ピックアップカバーを付けたまんまのRickenbackerを指で弾き、
それどころかスラップまで披露するベースの人は器用だなぁ、
とは思いましたよ、ええ。

なんというか、CDを聴いているのとほぼ変わらない「演奏の巧さ」が
却って仇になっていると思ったのは僕だけでしょうかね?
良くも悪くもスタジオミュージシャン丸出しなカッチリ感が出音に現れていて、
演奏者の立ち居振る舞いはとても楽しそうなのにいまいちこちらに伝わって来ないのです。
その辺、SENCE OF WONDERは見せ方も上手でしたねぇ。

プログレとは言え、そこはロックでありますから
聴き手を巻き込む要素が何かもう一つ欲しいところです。
取り敢えず船越由佳は立って弾くところから始めてみてはどうかと、
…うん、まぁ、余計なお世話ですわね。


 幕間に本日2度目の岩本登場。
 上記3バンドのステージをもって第一部は終了だそうで、
 んー、第一部ってナニよ?
 って感じではありましたが。
 しかしこの人はイベント企画の数を重ねる毎に
 その完成度を着実に高めていて、そこは素直に偉いなぁと感心します。
 今回のコンフォータビリティについてはほぼ文句ナシでした。
 だもんですから余計に(病むない事情とはいえ)
 4月のBANCOが流れてしまったのが残念です。
 別の大手呼び屋がPFMを押さえちゃったりして、
 この先色々とやりにくくなるんじゃないか?
 などと邪推したりする僕ですが、是非今後も頑張って欲しいものです。


-さて。
いよいよ僕がこの日一番楽しみにしていた新月ですが…
正直大いにガッカリしちゃいまして。

まずはサウンド。
ボスボスと妙に不快なバスドラのチューニングがベースに被ってしまって
(Simmonsのチューニングからするとあながちミスとも言えないのですが)
上物のメロディ(こっちの音は良かったです)との乖離が顕著でした。
曲の静かなパートでスナッピーが共振しちゃうのも、
(MOONDANCERを見た後ということもあって)ちょっとナニでしたねぇ。
ベースはベースで、DIを通し忘れてアンプしか鳴っていないんじゃないか?
と訝りたくなるほど絶望的な聴こえなさで、とにかく残念でした。
音とは別に一部演奏が迷子になった場面もあり、
なかなかに聴き苦しかったと言わざるを得ません。

そしてなにより…
北山真の声を失ってしまった事の重大さを痛感せずには居れませんでした。

これは言っちゃいけない事なのかも知れません。
袂を別ってなお表現欲求を諦めないバンドの姿勢には
大いに感銘を受けるものですし、
聴き手としても前向きに捉えたい…とは思うのです。
しかし今回ステージに立った代役達は
誰一人として北山の穴を埋めるには至らなかった。
上野洋子がなんだかふて腐れたような、ぶっきらぼうな歌を聴かせたのは
あからさまに音域の合わない曲を歌わされた事とは無関係なのでしょうか?
いや、僕は上野洋子とか殆ど知らんのですけど、
なんか低い方とか凄く苦しそうで、ちょっと可哀想だったな。
少なくとも僕にはあれが「シリアスな演劇的演出」には見えませんでした。

うーん、駄目だ。このバンドのこの日の演奏は思い出すと色々考えてしまう。

きっと本人達も納得していないのではないかと思います。
出来る事なら次の機会にこの無念を晴らして欲しいものです。
僕は見に行けるかどうか分からんけど。


 ここら辺になると、
 幕間に喫煙所へ向かうのも面倒になるくらいケツが痛かったです。
 幾らなんでも6バンドは欲張り過ぎたんじゃないか?
 なんてぇ勝手な事を考えたりして。


お次、難波弘之(SENCE OF WONDER)はさすがに現役感バリバリで、
この上ない安心感のある演奏は前の新月が気の毒に思えるほど。
そうる透のドラムってやっぱり凄ぇな、と嘆息ちゃった僕です。
この日唯一のジャズベース、松本慎二も良かったですね。
結局こういう音楽にはジャズベースが一番合っているんじゃないかと、
そんな結論めいた感想さえ抱いてしまいました。

昨年リリースされた難波のソロ名義作
「幼年期の終わり」('13年5月22日エントリー)からの曲をメインとした
構成も悪くなかったと思います。
プログレ的にどうなの?という声も(会場で)耳にしましたが、
今回のお祭りステージという性格に鑑みても間違ってはいないんじゃないかと。

そしてやっぱり、難波はお喋りが上手ですね。
そこかしこでチクリとやりつつ、柔和で穏やかな雰囲気を決して壊さないのは
本当に人柄のなせる業なのでしょう。
曲間、シンセサイザーの音色変更でひとくさり笑いを取るなんて真似は
他の人にはなかなか出来ないよ(笑)。


 大トリを残して既に時刻は21時過ぎ。開演が16時でしたから、
 トータル6時間超えのマラソンイベントとなるのは必至の情勢。
 …は、腹減った。
 翌日は天候が荒れるとの予報もあって、この日の午前中早起きして
 家族と近所を花見がてら散歩したのも地味に効いておりましたねぇ。


さあさあ、遂に問題の(?)NOVELAですよ。
なんつっても平山が居ないのです。新月で2曲唸った五十嵐の歌も心配です。
あぁ、一体どうなっちゃうんだろう?
なんてドキドキしていますとステージの幕が上がりました
(書き漏らしていましたが、この日はセットチェンジの度に
物理的な幕の上げ下げを行っていたのです)。

永川鍵盤城の後方、
当たり前のようにLeslieが回転しているのを見て
恥ずかしながらいきなりグッとこみ上げちゃった(笑)。

イントロから間髪入れず、
初手からキーの高い曲が始まったので半ば観念したのですが、
ど、どど、どうした五十嵐!?全っ然歌えているじゃありませんか。
蝋燭が消える寸前に一瞬激しく燃え盛るという絵が我が脳に浮かびましたが、
2曲目3曲目と続いてもあの特徴的な怪鳥音は全く衰える気配ナシ。
こっここ、これは参った。全くもって素晴らしい!!

単発のイベント故、
コンディションのピーク設定が容易であったと考える事も出来ますが、
実際にそれを果たすプロフェッショナリズムにはただただ感服します。
年齢的に言っても相当に驚異的な事ではありますまいか。

加えて楽器隊の演奏も大変良かった。永川の鍵盤は言うに及ばず、
この日のドラマーはリズムキープにちょっと難のある人でしたが
(翻ってロック感溢れる元気さは満点)、周りのベテラン勢が何事も無いかの如く
自然に合わせてくれるので、聴いていて気になる事はほぼありませんでした。

そして僕は寺沢功一って初めてナマで見たのですが、いいベーシストですね。
G&Lなんてぇ難物をブラ下げていたのでちょっと不安になったのですが、
あのハイゲインな楽器をきちんとコントロールしているサマは立派なものでした。
笹井りゅうじのベースラインは…あれはプロがなぞっても難しいのだなー…。

平山のオリジナルメロディを遵守しつつ、
そこここで我慢し切れず弾き捲ってしまう日下部のギターは、
まぁ、あれはあれで微笑ましかったからOKです。
良い意味で記名性の高いギターサウンドは、
バンド名に“2014”を付け加えた所以と解釈しました。

と に か く 。
事前の様々なネガティブ案件を全て受け止めて、
それを見事に投げ飛ばしたような横綱相撲は至極痛快でありました。
一時代を築いた人気バンドの底力を思い知らされたとでも申しましょうか。
その場に居合わる事が出来た我が身の僥倖を感じたのは実に久し振りの事で、
そういう気分を味わえただけでもこのイベントは大当たりだったと思います。


 終演後は痛む腰をさすりつつとっとと帰宅しましたが、
 暫くは独り余韻に浸れるであろう良い体験をしました。
 ビジネスとしても阿漕な部分は感じられず、
 とても誠実に運営されたコンサートでしたね。
 エントリーの頭に書いた、ちらほら見掛けた若いお客の感激は
 僕のようなおっさんの比ではないでしょう。


簡単な事ではないと思いますが、こういう機会を今後も続けていければ
岩本が開演前のMCで宣言した「ジャパニーズプログレ復活の狼煙」として
このイベントが果たした役割が改めて評価されるのではないかと、
珍しくそんな事を考えた僕でありました。


余りにも作文が長くて後半推敲するのが面倒になっちゃいました。
いつにも増しての乱文をお詫びします。
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コメント 3

makimaki

読みました
by makimaki (2014-03-31 23:07) 

shinmei_t

長いねー。でも楽しく読めました!プログレはわかんないけどねw。
by shinmei_t (2014-04-01 07:51) 

ターこう

>shinmei_t
実はこれでも端折った方なの。
なんか迸ってしまって、我ながらみっともない…
by ターこう (2014-04-01 20:44) 

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