生演奏を見に行くなんて、実に何年振りか [生演奏]

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独りで行ってきました。
僕にとって川崎が遠い地ではなくなって久しいものの、
やっぱり都内会場は移動が楽でいいよなぁ。特に平日は。

えーと、客層の話とかはもういい加減いいですよね(笑)。
現在コンサートは非常に高額な娯楽なので
若い人達が気軽に足を運べないのはなんだか気の毒であります。
バンドの頭数で割安感を創出出来る
フェスティバル形式はまだなんとか成立していますが、
今年は遂にLOUD PARKも無くなっちゃったもんな。
来年は是非再開を…なんていう希望的観測も散見されますが、
いやー、そんなに簡単じゃないと思いますよ。
大口のスポンサー企業が現れないと無理なんじゃないですかねぇ。
もう大規模興業はフジロックとサマソニ以外厳しいでしょ、正直。



-盛大に脱線しました。話を戻します。

実に久しぶりのコンサート、
そして出演の2バンドは共に僕の大好物ゆえ今回はお大尽席を奮発しました。
オミヤゲにはあまり期待せず、しかしバルコニーからの俯瞰は
機材のセッティングや演奏の仔細を見るのにうってつけでした。

で、先にATOLLが出てきましたよ。
え、そうなの?と思いましたがこれは結果的に正解でしたねぇ。
はい。うん、なんと言えばいいか…
Andre BalzerとChristian Beyaが同じ舞台に並び立っている絵は
とても感慨深かったです。今回僕が見たかったのはまさにこれでしたので。
しかし、それ以外は特になーんもなかったという…
音楽的な話をどうこう出来るレベルの演奏とは言い難かったのです。
今回は恐らくChristian Beyaのバンド+Andrr Balzerという
建て付けだっだと思われますが、このバンドが相当アレだったのよ。

それぞれ気づいたことを記しますれば(まずはドラム)、
ATOLLの曲ってハイハットの代わりに
ライドでビートを刻むことが多いんだなぁ、という再発見がありました。
しかしこのライドは穴無しでマイクもオフ気味だったため
(なんだかこのドラマーは総体的に右手が弱かったようにも思います)
大きなリズムしか聞こえない場面が多かったのは非常に残念でした。

多分モニターに返っていたのも同じ音だったのでしょう、
キーボードがタイミングを探ってしまい
なんとも不安な演奏になっていたのはちょっと可哀想でしたが、
正直あれはいただけないわねぇ。
これはクリックを使わないデメリットが如実に現れてしまった感じです。

ベースはアンサンブルの必要に応じて手数を増減させる器用さがあり、
またローB弦を効果的に織り交ぜた演奏はかなり新鮮でした。
リズム感が最も安定していたのもこのベースで、
これがなかったら聴感上の演奏崩壊度は更に増したのではないでしょうか。

Christian Beyaは前屈みにO脚という余りカッコよくないポーズで
ピックアップのたくさん付いたCharvelをガチャガチャと速弾きしてました。
ステージ規模からするとHiwattからのアウトプットが大きすぎて
全体のバランスがややおかしなことになっており(これはベースも同様)
うーん、PA屋さんもアンプのボリュームをもっと下げてくれとは
きっと言いづらかったのでしょう。

Andre Balzerはとにかく練習不足。音程がどうこう以前に
(昔のように歌えるとはこっちも思っていない)声が出ていないんだもの。
アンコールで「疲れた」と言い放ちステージを降りたのは
些か腹立たしくさえありましたよ、ええ。

あともう一人、2ndボーカルとフルートを兼務する人がいましたが、
レコードの女声スキャットをフルートに置き換えたのは良かったです。
歌はあんまり上手くなかったな。

と、まぁこんな有様で……それでも!
それでも「トンネル パートII」と「夢魔」の2曲は聴けて良かったと
半ば無理やり書いておきます。もう、ホントに精一杯持ち上げて、ですが。



セットチェンジはぴったり30分。
Atollとは対照的に弦楽器隊はそれぞれ小さなキャビネットが1個。
こりゃあPAもやり易そう…とぼんやり考えていると
ステージの左右後方に大きな立方体が一つづつ。
ええっ、Leslie2発もブン回すの!?
凄ぇな、こんなの見たことないぞ!と独り興奮してしまった僕。
これは本番でもちゃんと機能していて
実はこの日のPAがとても良いことが判明、
翻ってATOLLのお粗末さが露呈するという、あの、その、なんですわ。



結論、Mario Millo Band最高。もうねぇ、圧倒的ですよ。
全ての客が期待したであろう“Four Moments”の再現も
非常に完成度が高く、いやぁ大変素晴らしかったです。

ブラックトップのLes Paulは物凄く良い音で鳴っており、
Mario Milloが場面毎にあれこれエフェクターを駆使して
サウンドを切り替えるのも良かったのですが
ナチュラルな歪みがもう、これぞLes Paulって感じで最高でしたな。
いやー、Mario Millo、ギターくっそ巧いわ。
左手親指がネックの上側から殆ど顔を出さない美しいフォームで
丁寧に丁寧に演奏する様は見事であります。
トリルと手許ボリューム奏法の多用は今時逆に珍しいと思いつつ、
しかしボリュームペダルを使えばもっと楽なんじゃないかという
老婆心も(笑)。

そしてベースと交互に歌ったボーカルにも張りがあって
きちんとメロディを追えている。
ミュージシャンとして当たり前のことが
当たり前に出来ているだけのような気もしますが、
ATOLLと較べて際立っちゃったのです。

ベーシストが弾いていたのは5弦のジャズベース。
その柔らかいトーンは曲調に良く合っていて
アンサンブルへの溶け込み方が絶妙でありました。
加えてやはりノークリックのドラムはシンプルなセットで
ダイナミクスに富んだ演奏を披露、
この若いリズム隊は相当な手練れでしたね。
オルガンをメインにしながらメロトロン(サンプリング)を含む
多彩な音色を的確に繰り出す鍵盤奏者も
凄く上手かったです。

ギターメインのフォーリズムの場合
ギターソロのバックはどうしても薄くなりがちですが
SEBASTIAN HARDIEは元曲の段階で
ちゃんとそれを踏まえた編曲になっているんですね。
これも生演奏を目で見ての再発見でありました。

なにしろ観客の反応は大変に正直で
(それでもブーイングをしない我が国の聴衆は本当に優しい)、
こちらはもう大喝采ですよ。
Mario Milloもかなり気分が良かったらしく
「ミスター山崎(尚洋)、呼んでくれてありがとう。
 来年も呼んで。来年も来るよ!」
としきりに再来日をアピールしておりました。
確かに見聴きする価値アリの演奏でしたし
今回の評判によって呼ぶ方のハードルも下がるのではないかと。



帰り道、演奏順が逆でなくて本当に良かったなぁと思いながら
汗を拭き拭き電車に乗った僕でありました。
そして帰宅後におみやげを確認。
Tシャツは単色刷りでまぁ、ねぇと嘆息しつつ、
7"レコードが思いの外良く出来ていて笑いました。

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ジャケット裏面に歌詞の記載があればもっと完璧だったけど。
そしてうちにはプレイヤーが無いのです。
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