歌ナシ2枚 [日々聴く音楽]

前回作文からの流れで。せっかく聴いたし。

Let Them Say / NOTTURNO CONCERTANTE / 2020
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結成は'84年と古く、
まぁこれ英ポンプムーブメントの隆盛に直撃されたバンドってことで間違いないかと。
自主制作のカセットテープ作を幾つか残した後'90年に仏Museaよりデビュー。
'93年セカンドから'02年の5枚目までを地元イタリアのMELLOW labelからリリース。
僕は嘗てこの2~4枚目を聴いていたのです。
変な言い方になっちゃうかも知れませんがちゃんとしたポンプロックで割と好きだったのよ。

で、多分'94年の4枚目から'02年5th迄の8年間に何かがあったのでしょうねぇ。
“Riscrivere il Passato”('02)では突然アコースティックメインの地中海サウンド
(ちょっとしたジャズも色あり)に変貌しています。
僕これ当時聴いていたらかなり驚いたと思います。今聴いたって吃驚だもの。
以降も寡作ながら活動を続け'12年に“Canzoni Allo Specchio”、
そして'20年に本作を発表しています。

バンドは現在Lucio LazzaruoloとRaffaele Villanovaの2人がメイン、
適所に客演を迎えて演奏しているようです。
本作のクレジットにはクラリネットで瀬戸信行なる日本人の名前も見受けられました。

前作からの明確な相違点としては全編で歌を排したこと、
そしてエレクトロニクスの積極的導入とそれに伴うサウンドデザイン。
先達の示したチェンバーな密接感とは耳触りを大きく異にする解放感は大変に新鮮で、
これはかなり面白いアウトプットだと思います。
しかもそれが既に試みの域を大きく超えてすっかり完成されているのが素晴らしい。



実にプログレじゃないか。これはもっと注目(耳)されてもいい筈だよな。
どうやら自主レーベルっぽいし流通も弱いのでしょうけれど、
聴き手はデジタルリリースを簡単に手にすることが出来ます。
まぁ純粋に地中海の民族音楽スタイルを楽しみたいなら断然前作でしょうが
僕としては本作の手法を称えたいですね。
いやこれはマジで、相当斬新な切り口なんじゃないかと思うのですよ。
あまりにも良いのでもう1曲貼っちゃうもんね。





インストもう1枚。

Molya in Novum / WHITE MOLYA / 2022
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アルバム冒頭曲。
Robert Frippっぽい歪みギターにオルガンという
ちょっと珍しい組み合わせで聴き手の注意を惹き付けます。
あ、コレは面白いかも、って思っちゃうよね。

楽曲はジャズ方向に向かいたい部分を多分に内包しつつギターは大概狂暴だし
キーボードの選ぶ音色はどれもオールドスクールなプログレを譲りません。
ポーランドの4リズムバンド(管の客演アリ)ですが全般にスラブっぽい感じは希薄です。
やや現代的な音響を採り入れつつもこれは正統派のジャズロックと言っていいでしょう。
ズバリ、同郷THE SEGUE('19年12月30日作文)と比肩しうるレベルであると思います。

これが1枚目ということですがアンサンブルは実にこなれており
目指す方向性に迷いは感じられません。要するにばっちり仕上がっちゃってると。
この完成度の高さはやや面白味に欠けるという見方も出来ちゃうので
良し悪しだよなぁと思いつつ。
なにしろ掴みは凄く良いところを突いたので
次も聴いてみたいと思わせるには充分なデビュー作でありました。

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