書くことが思い浮かばないのでDEMONの話でもする? [日々聴く音楽]

過日新曲を聴いてからチミチミと過去作へ遡っていたのです。
で、やっぱり1985年の2枚が強烈な印象でもって
僕の耳に迫ってくる訳ですよ。
これは'13年6月28日に書いた〝The Plague”('83)に続く
4、5枚目ってことになりますが、
この時期バンドが迎えた曲折とアウトプットの関係が
大変興味深いのです。

British Standard Approved / DEMON / 1985
dmnbrstdapr.jpg

Mike Oldfieldの〝QE2”('80)を
グッとロングに引いたようなジャケットですが
(こっちはQE2じゃなくてタイタニック号のようです)、
それにしてもこの仄暗さよ。
バンドは前作で取り組んだストーリーアルバムから
更に一歩踏み込んたものを制作しようと試みました。
直接的にはPINK FLOYDみたいなヤツが作りたかったみたいです
(結論としては大分違うけどね)。

しかしこのレコーディングの終盤('84年10月)に
Dave Hillの相棒Mal Spoonerが病死してしまい、
詰まり先行シングル〝Wonderland”('84)から
アルバムリリースまで間が空いたのは
このことが大きく影響していたのですな。

だからって訳でもないでしょうが
このアルバムは全体的に物凄く沈鬱で、
その点については確かにPINK FLOYDっぽいです。
上述シングルカットされた〝Wonderland”という曲だけは
妙な躁状態なので誤解されがちですが、
まぁこれ物凄くシニカルなことばかり歌っているんだよね。

現行の最新盤は
'02年にSpaced Out Musicから再発されたCDですが、
これを聴いて
え、別にそんな暗くないじゃん?
と思われる方もいらっしゃいましょう。
…はい、正解です。
この版については大幅なリミックスがされていて
サウンド全般に抜けが良く、且つメリハリが増しているので
雰囲気がだいぶ明るくなっています。
しかし僕のような者からすると
このリミックスは本作の本質を
やや分かりにくくしてしまっているのではないか?
という疑問もあります。
'92年ZYX Musicからの再発CD及びそれ以前の盤で
本作のオリジナルミックスを聴くことが出来ますので
もの好きな方は両者を比較していただければ
僕の言いたいことが分かると思います。





Heart of Our Time / DEMON / 1985
dmnhrtootm.jpg

Dave HillはMal Spoonerの死という悲劇を振り払うように
短いスパンでアルバムを制作、リリースします。
バンドにとっての僥倖はMal Spoonerが亡くなる前に
鍵盤奏者のSteven Wattsをメンバーに加えていたことでした。
コンセプトアルバムを作るにはキーボードが必要だという
判断からだったようですが、
結果このSteven WattsがMal Spoonerの死後
DEMONのメインソングライターとなったのです。

で、この人の書く曲がややメインストリーム寄りだったのね。



アルバム冒頭がこれ ↑で、
ぐえぇ、まさか〝Wonderland”方向に振ってきたの!?
と僕は戦慄したのです。
しかしよくよく聴き込むにつけやはり英国産らしい、
潔く産業ロック側に突き抜けることが出来ない捻くれ感と
こちらも新任のJohn WaterhouseがMal Spoonerと同様
割と古臭いブルースハードロックなギターを聴かせたため
全般に独特の暗さがあって、それがとても良いのです。



これとかもう、紛うかたなき名曲だもの。

しかし巷間本作の受けは悪く、
バンドは次作〝Breakout”('87)で軌道修正を図り
'89年には〝Taking the World by Storm”という(半ば焼け糞のような)傑作
('16年9月23日エントリー)をものすこととなります。

-要するに。ここのブログでは毎度お馴染み、
バンドの過渡期に作られたアルバムなのですよ、2枚とも。
当然僕の好物、しかもバンド自体が大好きだから余計に、ね。

さて、そして最後に付け加えておきたいことが。
僕にとってこの2作の肝はちょっとメロディアスで
良いラインを弾くベースなのですが、
これを演奏しているのはGavin Sutherlandという人です。
ベーシストとしてはそれ程目立ったキャリアはないのですが…



なんとこの曲を書いた人だそうです。
なんか物凄く意外で、しかしDEMONはその周辺に
思いもよらぬ名前が当たり前のように出てくるので
妙に納得するところもあり、
いや、本当に興味深いバンドですよねぇ。

確信。この作文はあまり読まれない(笑)。
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