急に春が来た [新譜]

…っても、もう彼岸だもんな。くしゃみ一発で目覚める季節の到来だぁ。



Sapiens- chapitre 3/3 : Actum / JPL / 2022
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25日のリリース予定が2週間繰り上がったので週末にがっつりと聴き込んでみました。
フィジカルもそろそろ届くんじゃないかと思います。

'20年4月21日作文に書いた“1/3 : Exordium”、
'21年3月12日作文の“2/3 : Deus Ex Machina”に続いていよいよ完結編の登場です。
本作にはお馴染みのNEMO勢に加えて幾人かの客演があり、
それ程に力の籠った1枚ということなのでしょう。

先に3枚トータルの話をしちゃいますと
ほぼ1年に1作という規則的なペースを堅守したことで
一貫したサウンドプロダクションを維持出来たことが非常に意義深く、
だって今どきポストロック的な音響に全く接近することなく
プログレの超大作が完成したというのはなにより凄いことだと思うのですよ僕は。
題材については普遍的且つ中庸なものですが
それ故個人の哲学を色濃く反映することが可能であるとも言え、
まぁ僕のような年老いたぼんくらにはやや面倒臭く感じる部分もあるのだけれど。
どっちにしろ仏語はちんぷんかんぷんなのでどうにもならないです(苦笑)。
そしてどんなにシンフォニックでオーケストラルな楽曲であっても
最終的にJean-Pierre Louvetonがロックギタリストであることを
絶対に譲らない姿勢が圧倒的に素晴らしいのだ。

-続いて本作単体について。
アルバムの後半を5パートからなる大曲で占めたのは少し意外でした。
前作に2部構成の曲はあったもののこれまでの流れからすると、
(長尺曲はあっても)単曲の積み重ねで最後まで行くのだろうと勝手に思っていたので。
3部作全体を締めるという意味でも大変に効果的で精緻に練られた良い曲だと思います。
前半4曲に比してややティピカルな嫌いはあれど、
違和感なく聴き進められる程度にグラデーションはスムーズです。

一方前半の4曲はブルースベースのロックな味わいをより多く露出する感じで、
正直Jean-Pierre Louvetonらしさは断然こっちの方にあるよな。



それでもちゃんとプログレなのがこの人の凄いところで、
決してPINK FLOYDスタイルの劣化コピーに陥らないのが、ね。
極々個人的な感想として、アルバム単体としては前作に半歩譲るものの
もの凄く良いアルバムであることに間違いはありません。

都合3年、なにしろこの連作は相当に高いレベルで完結したと思います。
本作を集中して聴いた後、3枚通しでも聴いてみたのですが
安易なテーマメロディみたいなものに頼ることなく、
それでも揺るぎない一貫性をきちんと確立していると思います。
そのベースにあるのは間違いなくロックのダイナミズムであり、
その自覚を持ったミュージシャンってのはやっぱり強いよなぁ。
まぁ、僕の好みによるところは凄く大きいと思いますが。

次はNEMOの新しいのを聴いてみたい気がしますねぇ。



後は唐突にLATTE E MIELEをちょこちょこ聴いたりして。
ディスコグラフィの歯抜け('90年代にMELLOW labelから出たヤツ)を
デジタルで埋めたりしながらLATTE MIELE 2.0まで一通り流してみたのだけれど、
今更ながら僕かなりこのバンド好きだったんだなぁ、という再発見。
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