母ちゃんの息子たち [日々聴く音楽]

前回作文でちょっと勢いがついてしまい…
なので書いてしまいましょうか、トリオ時代のMAMA'S BOYSについて。
'85年の来日をピークとして我が国でもそこそこの認知を得たバンドなのに
その後あんまり語られることのない人達で、
遡ってその出自についても未だ不正確な情報がまかり通っていたりするので。



アイリッシュトラッドの演奏を生業とするMcManus家は
北アイルランド南西部、アイルランド共和国と国境を接する
ファーマナ州デリーリンに居を構え、
そこで6人の子供に恵まれたのだそうです。
そのうちの3人、PatとJohn、そしてTommyは幼少の頃から
様々な楽器に親しみその演奏技術を磨いたようです。
Pat McManusは齢7歳でテレビ出演を果たし
14歳の時には全アイルランドのフィドルチャンピオンになっているのですと。
その後ロックバンドHORSLIPSとの邂逅によって
ケルトの伝統楽器をエレキに持ち替えた3人は最初PULSEと名乗りましたが、
ラジオのインタビューでDJが若い彼らをMAMA'S BOYSと呼んだことから
その名をそのまま頂戴したんだって。

-と、いうことで。
MAMA'S BOYSは正確にはアイルランド(共和国)のバンドではなく
北アイルランド(英国)出身のバンドなのです。



ベルファストやダブリンでサポートアクトとしてライブをこなしつつ、
バンドは'80年に自主製作で初のレコーディングを行います。
“Official Album”と題されたレコードはライブで手売りされ
最初の1,000枚(10曲収録)が売り切れた後“Official Bootleg”として
何回か再プレスされました。再プレスの度に収録曲数が減っていったようで、
最終的には8曲になっちゃったらしいです。

この“Official Album”は'20年、PROGAORレーベルが大元の10曲に
'81年リリースのシングル“High Energy Weekend”の2曲をプラスして
CD化再発していますが500枚限定だったため現在ほぼ市場には見当たりません。

Official Bootleg Album 1980('20年再発盤)
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'81年にHAWKWINDと英国をツアーしたバンドは
翌'82年にまたも自主制作で2枚目のアルバムを録音します。
この“Plug it In”からシングルカットされた
“Needle in the Groove”がヒットし、
アルバムは英ULTRA! NOISEからリパッケージされて再リリースされます。

Plug it In('82年ULTRA! NOISE盤)
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翌'83年にはビクターレコードが本作を国内配給しています。
このリリースはどういった経緯だったんでしょうね。結構謎だよね。

若き電撃三銃士(Plug it In 日本盤)
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因みにこのアルバムの最新リリースは'88年、
ドイツAlbion Recordsから12曲を収録したCDが出ています。
まぁ今探してもなかなか出てきませんね。



続く3rdアルバム“Turn It Up”('83)は英Spartan Recordsから。
これがカタログ一番の鬼門でありまして、
本日に至るまで一度も正規再発されていないんだよね。
僕もこれは持ってない。
いやほんと、これマジでどこか出してくれませんかねぇ。



なにしろオリジナルを聴いたことがないからこのセルフカバーについても
なんも言えねぇのよ。

Turn It Up
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そして'84年,大手レーベルJiveとの契約を得たバンドは
セルフタイトルの4枚目で本格的に米国進出を図ります。
このアルバムは2ndから3曲、3rdから4曲をチョイスし再録音、
更にインストゥルメンタル1曲と
カバー(SWEETの“Mama We're All Crazee Now”)を加えた変則盤でありましたが
国内盤をSONYが配給したこともあって我が国での認知は一気に高まりました。
伊藤政則がラジオで“Runaway Dreams”(オリジナルは2nd収録)を
プッシュしたことも大きかったと思われます。



やっぱりこういうのはバイオリンじゃなくてフィドルって言いたくなるよね。
勿論Pat McManusによる演奏ですよ。
“Mama We're All Crazee Now”のカバーが
QUIET RIOTと競作のような形になったことも話題となって
バンドはRUSH,RATTとのツアーで初の米国上陸を果たします。

戦慄の王子(Mama's Boys 日本盤)
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これも非常に入手難度の高い1枚で、日本盤のCDが'87年に出たっきりです。
Jiveは今もSony傘下らしいので出そうと思えば出せる筈なんですけど。



勢いに乗ったバンドは'85年に勝負をかけた5枚目
“Power and Passion”をリリースします。
英国限定盤にはオマケで12"ピクチャー盤が付くなど
かなり気合いが入っていましたな。
3度目の録音となった“Straight Forward, No Looking Back”、
上記した初期のヒットシングル“Needle in the Groove”の再録音を含む
このアルバムは前作以上の評判を得ます。
Pat Mcmanusはこの頃Samantha Foxなどのレコーディングに
手を貸したりもしていて、かなりの大活躍でありました。

Power and Passion
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これは'09年に英BGO RecordsがCD化しており、
比較的最近(言うても13年前ですが)なのでまだ探せば見つかるかも知れません。
聴くだけならデジタル配信版があるので楽勝です。



しかし好事魔多し、バンドが欧米に跨ってに忙しくツアーをこなす最中
ドラマーのTommy Mcmanusが病に倒れます。9歳で白血病と診断された彼は
度々その症状を再発させていたのだそうです。
バンドはそこで活動を休止、
2年を経て専任ボーカルを加えた4人編成で復帰しますが
すっかり勢いを失くしてしまいます。
音楽性も変わっちゃったしね(まぁそれはそれで興味深い点があるんだけど)。



はい、そんなところで僕の作文はおしまいですかね。
バンドの後期~末期については他で調べていただくとして(不親切)、
結局Tommy Mcmanusは'94年に亡くなっていることだけ付記しておきます。
大変に残念です。

そしてバンドのディスコグラフィが現在どれも手に入れにくいというのを
改めて再確認しました。
これさぁ、ワールドワイドで結構需要あると思うんだけどねぇ。

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