なんとなく続いている話 [新譜]

ロックやポップスの楽曲をオーケストラアレンジでやり直すのって難しいですよね。
失敗すると、目も(耳も)当てられない惨状を呈することになってしまう。
それなのに、何故か多くのミュージシャンがやりたがるという。

Michael Kamen(そう言えばこの人も死んだんですよね)のような商業音楽家や
それこそDavid Bedfordみたいなロックに理解のある現代音楽家と組むならまだしも、
ガチガチのオケ屋さんと演るのは相当大変なんじゃないでしょうか?

METALLICAの“S&M”('99-ズバリMichael Kamen)は
オケ側が一歩下がることで無難にまとまったけれど、
SCORPIONSとベルリンフィルの“Moment of Glory”('00)は
生オケとエレキ楽器の双方がお互い一歩も譲らず終始主張を繰り広げるので
物凄くガチャガチャした仕上がりになってしまった。

…もっとも、世間的にはSCORPIONSの方が割と評判いいみたいで、
僕のような泡沫者にはよく分かりません。
大体、リリース年が近いので比較し易かったとはいえ
メタルを引き合いに出してる時点で知れてるっちゃ知れてますが(苦笑)。

んー、前置きで自虐してる場合ではないな…

New Blood / PETER GABRIEL / 2011
New Blood

New Blood

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Real World Prod. Ltd
  • 発売日: 2011/10/11
  • メディア: CD


“Us”('92)以降、この人の音楽からは遠ざかっていました。
前作“So”('86)の時点でも既に顕著ではありましたが
“IV”('82)迄のアルバムでは欠くべからざる要素であった
ある種の「不気味さ」が決定的に不足してしまったのが
僕としては不満だったのです。

-然るに。
去年の秋頃からオケと一緒にツアーをしていて、
スタジオ新作も旧曲のオケアレンジになるとの情報が。
むむむ、こりゃ選曲次第じゃ結構面白いかも知れないぞ
と、慌ててYouTubeを見てみると…
うわー、凄くいいんじゃないのコレ!?

エレクトリックインストゥルメントを完全に排して、バックはオケのみ。
これはかなり勇気の要るアレンジだと思います。
誰が譜面書いたんだろう?
と思って調べてみると、THE DURUTTI COLUMNに居た人(John Metcalfe)ですと。
ははー、さもありなん。いいとこに目をつけたものです。

そして、Peter Gabrielの声に
殆ど衰えが感じられないというのにも驚きを隠せません。
方やPhil Collinsも引退宣言とかしてる場合じゃないでしょ。

とまぁ、そんな訳で。
このスタジオ盤の到着がとても待ち遠しかった僕です。

いやもう全く、見事期待に応える好盤です。

ツアーでは演っていた“Biko”が収録されていないことと、
“Don't Give Up”に客演したAne Brunという人
(ノルウェーのシンガーソングライターだそうです)の
歌声がどうにも好きになれなかったという点は残念ですが、
オケ版の“Rhythm of the Heat”や“San Jacinto”はゾゾ毛立つほどのでき栄え。
僕、今週末はこのアルバムを集中して聴くんだもんね。

…ライブの映像版(こっちには“Biko”も入ってるし)もいかないと駄目臭いな…。
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