今年の梅雨はちょと長い? [新譜]

Sadako E Le Mille Gru Di Carta / LOGOS / 2020
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前作〝L'enigma Della Vita”('14)が
初めてフィジカルリリースされたことで
(アルバムとしては3枚目でした)
一躍注目を浴びたイタリアの4人組。
所謂典型的なイタリアンシンフォニックプログレですが
しっかりしたプロダクションでアウトプットされる
溌溂としたサウンドに古臭さはなく、
良く練られた楽曲の完成度も高かった。
うん、確かに良く出来たアルバムだったのだけれど
丁度その頃に父が亡くなってしまい
バタバタしていたのでちゃんと聴いていなかったのだ。
しかし買うだけは買っていたというのが我ながらなんというかw。

と、そんなバンドの新譜タイトルは「サダコと千羽の折り鶴」。
僕は日本人でありながら、恥ずかしいことに
佐々木禎子についてその表層を舐める程度にしか知りませんでした。
この少女の人生が海外で様々に語られているというのも、
なんだかちょっとピンと来ないんだよね。
まぁそれはともかく、今般LOGOSが題材に採り上げたのは
カナダの児童文学作家、Eleanor Coerrが書いた
〝Sadako and the Thousand Paper Cranes”('77)。
各国の小学校で平和教育に使われているのだそうで、
勿論今回の作文に当たって慌てて調べた訳ですが(苦笑)。
で、この子供向け小説には作者の脚色があって
事実とは異なる部分を含むのだと。
同朋の心情としてそういうところを嫌ったのか、
この本の日本語訳は存在しないとのこと。
まぁ映画で良くある〝based on true story”と思えば
そこまで気にしなくてもいいのかな、
なんて僕個人としては考えておりますです、ハイ。



的外れな5音階が無理から鳴り出すこともなく
徹底的にイタリアンプログレな佇まいは
前作の延長線上にあってより完成度を高めたものという印象。
ふむ、有体に言ってこれはとても良いぞ。
ORMEとBANCOが主な影響元だとありますが、
端正なリズムセクションやクラシカルな上物のアレンジは
確かにLATTE E MIELEを彷彿とさせますね。
ギターレスでツインキーボードの4リズムという編成は
凶暴なロックとはやや距離があって、
このバンドの目指す方向を良く顕していると思います。

あ、あとジャケットのアートワークが折り鶴の展開図であると
パッと見て認識できるのは日本人を除けば
恐らくその数は非常に少ないと思われ、
ブックレットを読んで漸く種明かしされるというのは
(良い発想だけに)ちょっと勿体ない気がしますねぇ。

なにしろ非常に質の高いコンセプトアルバムであることは
間違いないということで。



この夏はイタリアもので良いヤツがポンポンと立て続けだなぁ。
他のは書くかどうか分からんけど。
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