そりゃまぁ2回くらいはねぇ [シリーズ作文]

前回の続きです。今のところ1作文につき1枚で書いていますが、
以降何作かまとめて書くパターンが出てくると思います。
なんか言い訳めいてしまって我ながら情けない限り(苦笑)。

-あ、それから本シリーズ作文の切っ掛けとなった
Fishの新譜〝Weltschmerz”は去る10日、
無事に英国より我が家に到着しています。
旧譜を聴き聴き作文しつつ合間に新譜を挟むという、
なかなか忙しい事態となっておりますw



FISHのソロ その2

EMIとの紛争を主なモチベーションとして(?)
ソロ2作目の〝Internal Exile”は'91年に発表されました。
幸か不幸かFishのビジネスバリューは未だ高く、
出奔先となったPolydorとの契約は
前作同様ワールドワイドでのリリースを実現しました。

Internal Exile / 1991
f2itnlexle.jpg

プロダクション面での注目点はなんと言っても
プロデューサーにChris Kimseyを起用したことでしょう。
MARILLIONの〝Misplaced Childhood”('85)と
〝Clutching at Straws”('87)以来3度目のタッグは
FishとPolydorの思惑(EMIを出し抜いてMARILLIONより売る)が
合致してのことかと邪推されますが
手馴れた人とアルバムを作り急いだ感もあり、
実際'95年に録り直された本作の楽曲が
大体オリジナルより良い出来だったのは
たまたまって訳ではないように思うのですよ僕は。

主な演奏メンバーについては前回書いた
Mickey Simmonds(鍵盤)、Frank Usher(ギター)に加えて
本作からもうひとりのギタリストとして
Robin Boultが加わりました。
そしてブリティッシュロックマニアの
琴線に触れそうなところとしてDavid Paton(ベース)の
名前を挙げておきます。
PILOTやTHE ALAN PARSONS PROJECTといった、
どちらかと言えば歌モノ絡みでの活躍が思い浮かぶ人ですが
本作ではなかなかに技巧的なベースプレイを披露しています。



アルバム中あまり目立たない曲ですが
僕は相当気に入っています。
勿論David Patonのフレットレスベースが、ね。

アルバムのテーマとしてはEMIとの諍いを根に持ちつつ
SEX PISTOLS的アウトプットとは異なる表現の発露を
〝Internal Exile”というタイトルに集約しています。
「内部亡命」或いは「国内逃亡」とは
即ちスコットランドの独立問題を指し示すものであり、
スコティッシュである自らの立脚点を歌いつつも
同時にレコ社移籍のことを臭わせている訳ですな。
ここ数年のブレグジット騒動、そしてそれに付随する
スコットランド独運動の再燃がニュースになる度
僕の頭の中では本作タイトル曲が鳴り響いたのです。

音楽面についても前作以上に
スコットランドのトラディショナルを意識した
メロディやフレーズを配し、
これが本作の大きな特徴と言えましょう。
全般に外向きの発散傾向が強い印象です。
なんだかヤケクソの躁状態って気もしますが。

それから前回作文で〝Internal Exile”の客演について
触れたので本作のバージョンについても記しておきます。
こちらのバイオリン等は全て
CAPERCAILLIEのメンバーによる演奏で、
Aly BainやPhil Cunninghamに較べると
やや若手の気鋭(当時)って感じみたいです。
すみません、良く分かりません。

本作も前作同様大まかに2つのバリエーションが存在します。
一つは'91年のオリジナル(日本での発売は翌'92年でした)、
そして'98年のROADRUNNER RECORDSとDick Bros. Record Co.による
リマスター再発版(ボーナス2曲)です。
最新は'98盤をベースにした
'06年のChocolate Frog/Snapper盤となります。



レコ社の異動を果たし、前作には及ばないものの
そこそこのセールス実績を残した本作に続いて
Fishは念願だったカバーアルバムの制作を企図します。
しかしこれがまた新たなトラブルの種となるのです…。

次回に続く。
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