マジで他のを聴く時間がない [シリーズ作文]

今日は前置きナシで-

FISHのソロ その3

1993年。
Fishの宿願だったカバーアルバムは
前作と同じくPolydorからリリースされました。
そして同年、Battleside Ltd.なる謎のレーベルから
数多くのライブ音源が乱発されています。
当時ブートと思われたこれ等のCDはしかし、
何故か当然の如く大手輸入盤店に並んでいたりして
僕を大層混乱させたのです。

Songs from the Mirror / 1993
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David Bowieの〝Pin Ups”('73)を手本として
自らが親しみ、影響を受けた曲を歌う
アルバムの制作を目論んだFish。
しかしこのアイディアは当初Polydorによって拒否されます。
楽曲使用料の支払いによって収益が目減りする商売は
やりたくなかったってことでしょうか。
いまいち良く分かりませんが。
その後どういうプロセスを経たのかは不明ながら
最終的にPolydorが折れたようで結局本作は
無事に発表されました。
ただ、やっぱりなにかしら揉めたんでしょうね。
結論としてこのアルバムがFishのソロ活動における
最後のメジャーリリースとなりました。
当時国内盤リリースが見送られ、
つまり我が国においてはメジャーもなんも
全然関係なかったというのはまた別の話。

演奏陣については前作よりギターのふたりとベースが留任。
そしてキーボードがMickey Simmondsから
Foster Patersonに交代しています。
この人も以降のアウトプットに大きな影響を及ぼす人物で、
Fishのソロキャリアにおける最重要ミュージシャン
(キーボードとギターそれぞれふたり)の名前が
ここに出揃ったということになります。

今回は(やや蛇足っぽいですが)
曲目とそのオリジナルについて記しておきましょうか。
僕にしちゃやけに丁寧だ。

1.Question
THE MOODY BLUES
A Question of Balance('70)

2.Boston Tea Party
THE SENSATIONAL ALEX HARVEY BAND
SAHB Stories('76)

3.Fearless
PINK FLOYD
Meddle('71)

4.Apeman
THE KINKS
Lola Versus Powerman and the Moneygoround('70)

5.Hold Your Head Up
ARGENT
All Together Now('72)

6.Solo
SANDY DENNY
Like An Old Fashioned Waltz('74)

7.I Know What I Like
GENESIS
Selling England by the Pound('73)

8.Jeepster
T.REX
Electric Warrior('71)

9.Five Years
DAVID BOWIE
The Rise and Fall of Ziggy Stardust
and the Spiders from Mars('72)

パッと見やっぱり選曲が古い(笑)。
なにしろ一番新しいのがSAHBの'76年です。
まぁ若かりしDerek Willian Dick(今更ですがFishの本名)が
鏡の前で真似した人達ってことなので当然っちゃ当然なのですが。
なんたってコレ〝Songs from the Mirror”だもの、
実に良い題名を付けたもんだよな。



僕のお気に入りはこれ。
オリジナルは意外にもエレキギターが目立つ
(おセンチではあるのだけれど)割と元気のいいアレンジですが
本作のバージョンはティンホイッスルが効いていて
なんとも素朴でゆったりとした感じが素晴らしい。

プロダクションの話題としては
ジャケットにMark Wilkinsonのアートワークを
採用していない点が挙げられましょう。
Fishによればこれは意図的にそうしたのだそうで、
本作が通常のオリジナルアルバムとは違うことを
示したかったのだと。
うん、まぁ、実に細やかな拘り。

このアルバムのバリエーションは大きく3種類。
'93年のオリジナルは上掲全9曲の収録。
一方'98年のリマスター再発版
(2ndと同様ROADRUNNER/Dick Bros.によるリリース)は
一部収録曲が変更されています。
具体的には〝Jeepster”が外され
代わりにYESの〝Time and a Word”(Steve Howe客演)と
THE WHOの〝The Seeker”が加えられています(収録全10曲)。

そして'17年のChocolate Frog Records盤は
2CD+DVDのデラックスな決定版です。
本編1枚目は上記抜け無しの11曲に
ALAN ROBERTS & DOUGIE MACLEANの
〝Caledonia”(元は純然たるフォークソングですね)が
追加されトータル12曲。
2枚目ボーナスCDはライブ/デモ集。勿論全てカバーです。
こちらは本作以外でとりあげられた楽曲も含む13曲。
DVDには本編収録曲を振り返る'17年のロングインタビューと
幾つかのライブ映像(オフィシャルブート盤〝Sushi”の音源含む)、
更には〝Hold Your Head Up”のPVを収録。
有難いことにNTSC Region0ですが
当然字幕がないので何を語っているのかはサッパリです(苦笑)。
手売りのみなのでちょっとだけ入手が面倒ですが、
とにかくコレを買っておけばまず間違いありません。




Fishは本作リリースの後Polydoとの契約を終え、
以降は大手レコ社の力を借りず自らの手でビジネスを切り盛りすべく
試行錯誤を開始します。
そしてDick Bros. Record Co.を設立し次作の発表に漕ぎ着ける訳です。
以下お得意の邪推となりますが、冒頭に記したBattleside Ltd.は
Dick Bros.の設立前にFishが行ったプロダクションと流通の
実験だったんじゃないかと思うのです。
だってBattleside Ltd.をDiscogsで調べてみても
Fish以外のカタログが全く存在しないんだよね。
この件については僕の知る限り未だ解明されていないようなので
誰かFishに聞いてくんねぇかなぁ。

次回に続く。
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