宵闇がなんとなく寂しい季節 [シリーズ作文]

シリーズ作文は今日のヤツが谷間の1枚だったので
なかなか筆が進まず。
他のもなんかいまいち面白くなくて、
PYMLICOの新譜はかなり良かったのだけれど
それでも作文するなら断然前作じゃね?とか。
んーなにしろなんつうか色々ヤル気が起きんw



'96年の沈黙は実際のところ単なるお休み
(ソロ活動開始以降の激動と毎年のアルバムリリースは
 相当にがむしゃらなものでありましたからねぇ)、
及び新作の制作期間だったようです。
…本当の辛酸はその後やってくる訳ですが。

FISHのソロ その6

Sunsets on Empire / 1997
f6ssoe.jpg

※関連エントリー '19年2月26日
 「大黒堂の鮎焼き(焼きたて)を
  ひたすら食う幸せ(なんだこのタイトル?)」
  
当時(勿論今もそうですが)気鋭のSteven Wilsonを
共作者、及びプロデューサーに迎えての1枚。
まぁ関連エントリーにも書いた通り僕のお気に入りは
(数少ない)Robin Boultとの共作曲だったりするので
Steven Wilsonに対する評価が
些かそっけないものになってしまう点を
お含みおきいただければ幸いです。



〝Suits”からの地続き感と、それを踏まえての一歩前進は
どうしても長く一緒にやっている方が有利ですよね。

もっともFishは更なる飛躍的前進を目論んで
Steven Wilsonの起用に至ったのでしょう。
実際作風については大きく舵が切られていて、
これを大雑把に言えば
「王道ブリティッシュロックへの回帰」。
〝Suits”での思い切った音楽的冒険のあと、
自らのキャリアを振り返る中で
同郷の先達SAHBとの共演を果たすなど
諸々の経験を経て辿り着いた結論として
非常に納得出来る話です。

サウンドエンジニアリングの器用さ、
そしてロックおたく振りからしても
目的到達のためにSteven Wilsonを選んだのは
実にイイ線を突いていたと思います。
しかしそれでもやはり、
一足飛びにゴールするのは難しかったんですね。
Steven Wilsonが根本的にブルース的な音楽とは
噛み合わなかったという不幸もあり、
本作は典型的な「過程の1枚」として
結論付けられるアルバムだと考えます。
本作がなければ次作が生まれなかったであろうことは
間違いなく、決して不要なアルバムではないのですが
単体で聴いた時の地味さは如何ともし難く…
Foss Pattersonのオルガンとか
物凄く頑張っているんだけどねぇ。

結局本作のセールスは振るわず、
ツアーも不入りに終わりました。
Fishは莫大な金銭的損失を背負い
Dick Bros. Record Co.は
存続の危機に瀕する事態となります。
最終的にはROADRUNNERが手を差し伸べ
過去作を含めたカタログの配給権を得ました。
前回までに記したフィジカルのバリエーションが
'98年にROADRUNNERから一斉に再発されているのは
こうした事情によるものです。
名目上はDick Bros.との共同リリースとなっていますが
既にレーベル自体ROADRUNNERに吸収され、
暖簾だけが残った状態かと。

本作についても'97年オリジナルと
'98年ROADRUNNER盤('97年日本盤と同様1曲追加の全11曲)、
そして'15年のChocolate Frog盤(3CD)に大別されます。
Chocolate Frog盤の2枚目はデモ及び
シングル用のショートエディット集、3枚目はライブです。



ビジネス面での破綻は
勿論大きな痛手であったと思われますが
本作で到達できなかった音楽的着地点を目指す
Fishの創作意欲には一点の曇りなく、
次作がソロキャリアにおける頂点となったのは
ある種当然の帰結であったのかも知れません。

次回に続く。
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