こけつまろびつなんとかゴール [シリーズ作文]

Fishのシリーズ(本編)最終回です。
最終作が我が家に届いてから2カ月も経ってしまい
新譜の話題としてはだいぶ遅くなっちゃいました。
もう少し早く辿り着いている筈だったのですが、
そんな予測の甘さもまぁ、僕のやることだから仕方がない。



FISHのソロ その12

※関連エントリー '18年11月1日
 「PayPalが大活躍する'18年晩秋」

※関連エントリー '20年1月15日
 「今や華麗でなく、そして虚飾もなく」

※関連エントリー '20年3月24日
 「マスクするとメガネ曇るから外して、そんで目ぇが痒くて堪らない」

※関連エントリー '20年7月28日
 「久し振りにサブウェイ食ったら美味かったのでまた行こうっと」

※関連エントリー '20年7月31日
 「えー、もうお盆!?」

アナウンスからリリースまでが長かったので
待ってる間にちょこちょこ書いた作文が多いのです。

僕がFishの引退意向を知ったのは'18年の11月、
ニューアルバムからの先行EP〝A Parley With Angels”を
手に入れた頃のことです。
勿論物凄く残念だったけれど
あまり驚かなかったのは我ながら意外でした。
遂にこの人は自ら追求した音楽をやり尽くしたんだなぁ、
という納得感があったのね。
これ迄のシリーズ作文に記した通り
Fishが辿った音楽(と商業的闘争)の旅路は
大層波瀾に満ちたもので、しかしながらその時々に
標榜した目的地には毎回見事に到達していたのです。
特に前作で叙事に至ったのは聴き手が思うよりも
大きかったのではないかと想像します。
あれ、俺が歌いたいのはなんだったっけ?
という自問は確実にあった筈で、
その疑問が浮かんだ時点で
辞め時を意識したんじゃないかなぁ。

Weltschmerz / FISH / 2020
fishwltsmrz.jpg

アルバムの制作期間は都合3年を超え、
全10曲84分を2枚のCDに分けて収録する大作となりました。
お馴染みSteve VantsisとRobin Boultを主な共作者として、
Foss PatersonとJohn Mitchellもそれぞれ1曲づつ。
Calum Malcolmのプロデュースは〝13th Star”から3枚連続、
今回はSteve Vantsisと連名になっています。

スコットランド室内管弦楽団の演奏や
Mikey Owersのブラスアレンジ、
そしてDavid Jackson等の客演を交えつつ繰り広げられる
本作の音楽、歌詞はまさしく「集大成」と呼ぶにふさわしく
それぞれの楽曲に旧作のエッセンスが封じ込まれています。
それでも総体の音楽的ベクトルがバラけることはなく、
通底するのはやはり骨太のブリティッシュロック。

僕が特に好きなのは先行EPにも収録された
〝Waverley Steps (End of The Line) ”。
Fishはこれを叙事詩だと言いますが
僕にはそういう風には聴こえませんでした。
相変わらず解釈の難しい詩ですが
多分これは表面上ブレグジットのことを歌っていて、
だけれどもその裏に潜んでいるのは
「勝者なき闘争の果て」なのだと思います。

そしてもう1曲。



本作タイトル曲であり
アルバムの終わりを飾る曲でもあります。
自らのソロ活動(の動機と顛末)を
振り返ったと思しき歌詞には一縷の情緒もなく、
驚いたことに(それが具体的に誰かは定かでないものの)
未だ闘うべき相手に向かって牙を剥いているんだよね。
今は昔、〝Market Square Heroes”から始まって
ぐるーーーっと1周周ってこの曲に戻ってくるってのは、
ちょっとカッコ良すぎる気もしつつ
詩人、音楽家としてこれ以上ない見事な帰結だよなぁ。

フィジカルは通常版(CD2枚組)と
DX版(+Blu-ray)の2種類。
Fish最初で最後のBlu-rayメディアは盛りだくさん。
インタビューやPV(と、そのメイキング)、
'18年のイギリスツアーから抜粋された
本作収録曲(4曲)の映像。
そしてHD5.1chのオーディオトラックなどが
がっつり収録されていて見応え聴き応え充分です。
またDX版はトールサイズのハードカバー仕様で、
Mark Wilkinsonのアートワークも
たっぷり堪能できますから、
どっちかと問われれば断然DX版推しです。

本作に伴うフェアウェルツアーは
コロナによって全て吹き飛び、
しかしたった1度だけ、3月13日に行われた
ウォームアップギグの様子が去る12月4日から
YouTubeで配信(オーディオのみ)されています。
〝A Fish in the Lemon Tree”で検索してみて下さい。
Fishは「いま暫くの間」再びツアーに戻る可能性は
低いだろうと言っているので、状況が落ち着いたら
再開するんじゃないかと期待はしているのですが。
まぁどの道日本じゃ見れないだろうから、
指を咥えて地団駄踏むしかないんだけどさ(苦笑)。



-さて。以上でシリーズ本編は終わりです。
そして前回書いた通り、余談と総括でもう1作文しようと思います。
年内でなんとか完結すべく…いやぁ、約束はしませんけれどもw
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