夜はちょっと掛け布団が恋しい [新譜]

暑さ寒さも彼岸までとはよく言ったもので。
これからの季節は(ここ数年の僕の経験上)大概プログレ方面の良作が
ポンポン出てくる筈なのでとても楽しみです。
しかも今年は英国勢がとてもイイんじゃないかって気がするのだ。
前回書いたCOSMOGRAFもそうだし
(多分作文はしないけれど)RED BAZARの新しいヤツも良かったしね。

そんな中僕が最も注目(耳)していたのが

Time Machine / COMEDY OF ERRORS / 2022
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復帰作である2枚目から前作(5th)までは2年毎のリリースでしたが
今作に至るまでは5年の期間を要しました。何か事情があったのでしょうか。
何故か'20年に3rdアルバム録音時のアウトテイク“Time There Was”が
ポロっと配信されたけれどそれっきりだったしね。
まぁナニはともあれ無事に新譜が出て良かった。

4作目“Spirit”('15)で完成したギター×2とキーボード、
そして専任ボーカルが上物を担う6人編成は
由緒正しき英国ポンプロックを21世紀の今に継承します。
当然僕としては毎作聴き逃せない最重要バンドなのですよ。



前作('17年6月19日作文)で導入された
よりクラシカルなプログレ要素はアルバム全編に拡大され、
本編(5曲45分)は10分超えの長尺2曲を軸に展開します。
キーボードの音色選びは勿論、トータルのプロダクション
(2ndから本作まで、全てRob Aubreyがミックスとマスタリングを担当)が
非常にこなれているので耳に届くサウンドの安心感たるや、
これぞシンフォニックロックと膝を打つ出来栄え。

“Time Machine”というタイトルは本作のコンセプトを明快に示していて、
このバンドの良いところの一つは変に小難しいレトリックを弄さないところだよな。
いや、中二病的なアレも勿論大好きな僕ではありますが。

2曲目“Lost Demigods”のイントロはベートーベンの第5番から
PINK DLOYDの「狂ったダイアモンド」へ繋げるという小技から始まり
曲中にも第9番をまぶすという引用を駆使しています。
ちょっと面白い試みで、勿論僕は嫌いじゃないです。
ただアルバムタイトルからしたらここは「狂ったダイアモンド」じゃなくて
「ようこそマシーンへ」じゃないの?と、余計な突っ込みを入れたくはなりますがw

本編最後を飾る長尺5曲目“Time Machine”では
バンドが得意とする素朴なメロディがだだ洩れ、
中間部では6/8拍子のクラシカルなインストパートが疾走します。
そして後半オクターブを下げ朴訥に語るようなボーカル(フランス語?)には
枯れたイタリアンカンタウトーレ(フランス語なのに?)のような味わいもあって、
これもバンドが試みたちょっとした新機軸だと思います。

前作からの流れである種集大成的なアルバムとなった本作は大変充実した1枚となりました。
ただ、正直次が難しくなった気もするんだよね。まぁ余計なお世話なんだけどね。

あ、オマケのライブ(6曲目)はまぁ、うん、飽くまでボーナストラックということで。
えーと、英国モノで言うと次はJohn Holdenですかね。書くかどうか分からんけど。



それから素朴と言えばメタル方面でも



デビュー時は素人っぽい田舎臭さが芬々と漂うバンドでしたが
3枚目以降歌い手が固定し、プロフェッショナルなサウンドをばんばん繰り出す
良いバンドになりました。
振り返ってみたら'12年3月15日に2ndアルバムのことを少しだけ書いていましたな。
今作は'20年に出た5枚目に続く5曲入りEPですが、まぁこれは間違いないわ。
これぞブリティッシュメタルの醍醐味、ってところでしょうか。

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