緊張と緩和 [日々聴く音楽]

Forgotten Shrines / SEAORM / 2021
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相当に多作なスペイン人ギタリストAngel Ontalvaと
ロシアVESPEROのリズム隊によるバンド(?)の2作目。
本作では新たにOCTOBER EQUUS(Angel Ontalvaのバンド)のキーボードが加わって
4人編成での録音となりました。
いわゆるRIOの流れにあることは間違いないのですが
インストゥルメントのサウンドテクスチャーがちょっと奇抜で
なかなか興味深い1枚に仕上がっています。

20分、13分、11分の全3曲というのは今どき攻めた感じですが
やっぱり僕は20分のタイトルトラックが一番良かったです。



シンセによるシーケンシャルフレーズの綴れ織りが連続する中
エフェクターを駆使して様々に表情を変えるギターですが
歪んだロングトーンでは何気にRobert Frippっぽさを醸し出したりします。
それを支えるリズムは落ち着いた演奏ながら技巧に優れ、僕は全体的な第一印象として
「上品な(或いは攻撃性の薄い)HELDON」という喩えが思い浮かびました。
Richard Pinhasが思いっきりジャズロックに寄せた感じとでも申しましょうか。

で、そこに絡むキーボードがエレピやオルガンでメロディを充てるというのが独特で、
上掲曲導入部の笛の音も然り、そこここで鳴るアナログな音が
色を成して聴き手の耳を惹きつけるのだな。
いやぁコレかなり面白いんじゃないかなぁ。

基本的にシリアスなトーンが支配的ながら3曲目の“The Garden of Lost Memories”で
緩やかに聴き手の緊張を解こうとするアルバム構成も良く考えられたもので、
まぁあんまり穏やかな気分にはなりませんけれども。

なにしろカタログの多いミュージシャンなのであまり深追いはしませんが
このSEAORMについては前作に遡ることは勿論今後も聴いてみようと思っています。



もう1枚、こちらは最新のアルバムではありませんが先日初めて聴いて印象に残ったので。

Deleted Scenes / ONCE AND FUTURE BAND / 2020
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カリフォルニアはオークランドのトリオ。このアルバムも2枚目だってさ。



あぁ、この人達本当に好きなんだろうなーと思わざるをえない懐古趣味的サウンドとメロディ。
サイケと呼ぶほど危ない感じはしないし(ボワーンとしたエコー処理しても無理なもんは無理)、
ましてやこれをプログレとして聴くってのはなかなかの無理筋でありまして
そういう意味では看板にやや偽りアリだよなぁ、なんてぼやいた僕でありますが
ポップアルバムとして聴く分には全然気持ちのいい1枚です。
まぁもうちょっと露骨に捻くれた感じがあってもいいかななんて思いつつ。

いずれにせよ古き良きAORのエッセンスをここまで自家薬籠中のものとして駆使するのは
相当な好きモノの為せる業であることに間違いなく、異色の1枚だよねこれは。



んー今月はエントリーが少ないまま終わるなぁ。
ちょっと躓いた感があって僕としてはあんまり気持ち良くないです。
心持ちとしてはやる気まんまん
(横山まさみち先生!とか言っても通じる人は少なくなっただろうな…)なんだけれど、
作文するという行為がちょっと億劫な今日この頃であります。
まぁ気合いとかそういうものとは無縁な人生を過ごしてきたので
どの道ゆるゆるやるしかないのですけども。

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