需要無き深堀りパート2 [日々聴く音楽]

先日PALLASの“The Sentinel”について書きました
そこでちょっと勢いがついちゃったのだ。
こりゃ次の“The Wedge”('86)についても同じように作文できそうだぞ、と。
しかし諸々書き進めるうちに
幾つか事実確認しなければいけないことが出てきまして、
これを調べるのに思いの外時間が掛かってしまいました。
未だ答えの出ていないな謎も残りつつ、あんまり間を空けると
これを書いたこと自体忘れてしましそうなので一旦アップちゃいます。
訂正、補遺があればその都度(“The Sentinel”の作文でもやりましたが)
更新するということで。



-Euan Lowsonのパフォーマンスにはやっぱり些か難があったということで
バンドは更なる前進のためにボーカルの交替を企図しつつ
順次新曲を書き溜めています。このプロセスは

The Knightmoves - An Album That Never Was
pallas dl kmv.jpg

で聴くことができます。'13年にbandcampで公開されました(フィジカル無し)。

01.Lighthouse
02.Logo
03.12 String
04.Bring Down the Wall
05.Piper Play Your Tune
06.Celtic Tinge
07.The Knight Moves On
08.Birth of Win or Lose
09.Nightmare
10.Stranger in A Strange Land
11.Timewheel
12.Mad Machine

インストゥルメンタルやEuan Lowsonが歌う曲の後、
お尻の3曲(#10~12)で新任Alan Reedのボーカルが披露されます。
もう、全然モノが違うって感じです。

このうち09と10は3曲入りEP

The Nightmoves / 1985
pallas 12 nv.jpg

の収録曲として後日正式にレコーディングされています。
またこのEPには以降バンドの代表曲の一つとなる
“Sanctuary”も収録されています。



この3曲についてはアルバム“The Wedge”再発CDの
ボーナストラックとして聴くことが可能です(例外については後述)。

“The Knightmoves - An Album That Never Was”に関して
更に特筆しておくべきは11と12のことですね。
この2曲はEP“The Nightmoves”の初回生産分にオマケで付いた7"盤に
そのまま収録されました。この7"以外にフィジカルは存在しない
(正確にはCD-ROM盤で“Mythopoeia”ってのがあるにはある)ので
現在これを聴くなら本デジタル版が一番手軽ということになります。

…ただこれがちょっと問題でして。
Discogsで見てみるとこの7"の収録曲はA面が“Mad Machine”、
B面が“A Stitch In Time”となっています。
いやー、僕の記憶ではA面“Timewheel”、B面“Mad Machine”なんだよね。
これはバンドの解説も同様なのでまず間違いないと思います。
そして僕の友人が今も実物を所有している筈なので
現状未確認ながら検証は可能だと思います。
ただそうなるとDiscogsに載っている7"盤は一体なんなんだ?
ってことになっちゃうんだよね。
“A Stitch In Time”なんて曲、僕知らんもの。



えーと、話を進めます。
新しい歌い手のお披露目を終えたバンドは
その流れから続けてニューアルバムの制作に突入します。
“The Nightmoves”EPと同じくプロデューサーはMick Glossop。
この過程についても

Close to the Wedge
pallas dl cttw.jpg

でその概要を俯瞰することができます。
全64トラックの中にはアルバムリリース後のライブリハーサルや
ツアー最終日の様子なども含まれていて、
それ等を比較的良好な音質で聴けるのが嬉しいところです。
こちらもフィジカルは無し、'20年にbandcampで公開されました。



そして完成したアルバムが

The Wedge / 1986
pallas 3.jpg

A1.Dance Through the Fire
A2.Throwing Stones At the Wind
A3.Win or Lose
A4.The Executioner (Bernie Goetz A Gun)
B1.A Million Miles Away (Imagination)
B2.Ratracing
B3.Just A Memory

概ねの評価としてはポンプロックのどん詰まりとか
メインストリームに寄り過ぎでプログレ感が薄いとか、
まぁあんまり芳しくなかったりするのですが
いやいやいやいやそれはちょっと厳し過ぎでしょ、と。
それがメタルであれプログレであれ商業的成功を目指すに当たって
アウトプットがそっちに向いたのは、
それは時代の必然だったのだからしょうがないじゃん。

本作についてはある種究極的に
(当時の)先端機材を採り入れたサウンドが聴けるプログレとして
きちんと再評価すべき1枚だと思うんだよね。



上掲“Sanctuary”にしても同じなんだけれど、
フェアライトCMIとメロトロン(正確にはノヴァトロン)が
同時に鳴っている音楽なんて他ではちょっと思いつかないもの。
然るに例えばYESの“Big Generator”と並べて聴いてもなんの違和感もない。
しかもこっちの方が先に(“Big Generator”は'87年)出ているんだよね。

2000年に初めてCD化されて以降何度か再発されていますが
その殆どにEP“The Knightmoves”の3曲が追加されているのは上記の通り。
唯一の例外は'15年ワーナーミュージックジャパンがリリースした
国内盤SHM-CD(オリジナルレコード通りの7曲)です。
CDについては

pallas 3-2.jpg

↑ のように黒ベースのジャケットのものがボーナス入りです。
ワーナー国内盤はオリジナルレコードと同じ白ベース。分かりやすい。

で、もう一つ(“The Sentinel”と同様)
Parlophoneのデジタル版ってのがありまして、
これまたややこしいことをしてくれているので付記しておきます。
アルバム7曲にプラスしてボーナスは4曲、
うち3曲は他と同じくEP“The Knightmoves”から。
残る1曲も“Throwing Stones At the Wind”の
7"シングル用ショートサイズなので特にどうってことはないのですが…
問題は本編2曲目の同曲が明らかに他とバージョン違いだってことです。

シングルカットされた

Throwing Stones At the Wind / 1986
pallas 12-2.jpg

の12"用“Extended Mix”とは別モノ
(これ名前だけでアルバムに収録されたのと全く同じなんだよね)だし
“Close to the Wedge”に収められている幾つかの別ミックス版とも
やはり全然違う。
他では聴けない謎バージョンということで、ホントにもう、困ったものです。

あ、因みに“Throwing Stones At the Wind”シングルに
カップリングされているライブ('85年アバディーン公演)も
今のところ同レコードでしか聴けません。ツアー初期の録音で
Euan Lowson時代の旧曲(“Cut and Run”と“Crown of Thorns”)ですが
まだAlan Reed用の新アレンジが固まりきっていないタイミングの演奏なので
結構面白いのですよ。

…結局本作は上記の通り芳しい評価を得ることなく
また商業的成功にも恵まれなかったことからHarvestはバンドとの契約をカット。
次にPALLASの名前が浮上するまでには実に12年の期間を要すこととなります。



-と。
大体書ききったかな。糞ほど長くなっちゃったな。
どうやら僕は“The Wedge”というアルバムが他の人よりかなり好きなので
周辺の音源も狂ったように聴き漁ってきました。
この作文でざっくりと整理できたんじゃないかと思います。
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