全音源ではないのだけれど [日々聴く音楽]

-あ、今日の作文は長いです。
いつも通り興味のある人はあんまり多くないのでしょうが。

Slam Anthems / PHIL LYNOTT'S GRAND SLAM
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米CLEOPATRA RecordsがGRAND SLAMの小箱(6枚セット)を出すということで
なんかまたこれ蛇足的なリリースなんだろうなぁ、と。
僕はこのバンドの(出処の怪しい)盤を散々買い漁ってきたので
各CDの収録曲を見れば大体内容が分かっちゃうのだ。
だもんで概ね予想の範疇ではありつつそれでも幾つか気になる点があり、
まぁ今更ケチってスルーする理由もないのでポチっといきました。

こ れ は す ば ら し い。

Phil LynottがTHIN LIZZY解散後、人生の末期に向かって行くさなか
僅か1年に満たない短期間に眩い輝きを放ったGRAND SLAMというバンドの、
その概観を俯瞰する優秀なセットと言うことで間違いありません。
当面GRAND SLAMはこれだけ持ってりゃ事足りる決定版です。
実際これ以上の音源が今後出てくるとは思えないしね。

以下各盤について。

Disc 1:2022 REMIXES
スタジオ録音されたデモをリミックスした音源集。13曲収録。
マニアにとっては聴きなれたものも多いのですが
“Dedication”のスタジオデモはこれ、僕は初めて聴くバージョンです。
リフのコードアレンジがライブ演奏のそれとは異なり、
恐らくかなり早期に録られたものではないかと推測しますが
Laurence Archerのギターソロは既に大体固まっています。
更に4曲もの初出(だと思います)曲。
いやーこれ、好事家の皆さんはこの1枚の為に
本セットを買わざるを得ないのではないかと。

リミックス効果は控え目で聴感上物凄く変わった感じはしませんが
割と丁寧なノイズ除去が施してあり、
アウトプットレベルも中低域がふくよかになっているので
デモ特有の安っぽさがあまり感じられないのがイイですね。



Disc 2:OREBRO 1983
'02年にzoom CLUB RECORDSがリリースした
Phil Lynott名義の“Live in Sweden 1983”、そのDisc 1と同じ内容です。
まだGRAND SLAMを名乗る前の'83年8月5日、
スウェーデン中部の都市エーレブルーでのライブ録音。
ギターはJohn Sykes、ドラムはBrian Downeyということで
THIN LIZZY解散からの流れを引き摺るタイミングの演奏です。
Phil Lynottのソロ収録曲をメインにしたセットで
THIN LIZZYの曲は古めのものばかり、
John Sykesは自分の書いた曲を1曲もやらせて貰えず不満だったろうなぁ。
全11曲。

Disc 3:LIFFORD 1984
同じくzoom CLUB RECORDSが'03年にリリースした
“Live 1984 / Galway / Castlebar / Lifford”(GRAND SLAM名義)と同内容。
GRAND SLAMとしての初ライブはPhil Lynottの地元アイルランドで、
'84年3月30日のゴールウェー、31日のカスルバー、そして4月1日のリフォードの
3公演を編集した全10曲。バンドの新曲が3曲、
そしてLaurence Archerには“Cold Sweat”を弾かせちゃうのだ。

Disc 4:LONDON 1984
全5曲は全てバンドのオリジナル、BBCの放送用音源。
これについては前にちょっと書いていますね。
ブートにあった冒頭のMCはカットされており即“Nineteen”が始まります。
そして最後の“Dedication”はフェードアウトせず最後まで収録されています。
つまりこれ、エアチェックしたテープではなく大元のライブソースなのだ。
これは相当な快挙なんじゃないかと思います。
“Nineteen”のイントロでテープが少しよれる感じが残念ですが
従来のブートに較べて音質も確実に良く、いやーこれはイイぞ!

Disc 5:GREAT YARMOUTH 1984
Kerrang! Wooargh Weekender 1984(10月12日)出演時の9曲を収録。
これもDisc 4と同様散々ブート化されている放送用音源。
どうやらこちらはライブソースではなく
他のブートと同じ音源を使っている模様。
まぁ、GRAND SLAMのライブと言えばこれが定番ってことになりましょうか。

Disc 6:DEMOS 1983/1984
Disc 1の元となったデモやスタジオセッション集。全15曲。
zoom CLUB RECORDSの“The Studio Sessions”('02)から
Phil Lynottのラジオインタビューを省いて
その分何曲か足したもの、と考えれば良いかと思います。

-と、まぁ、なんだ。
これまで幾度となく散発的にリリースされてきた代表的音源が
スッキリと整理された形でまとめられているのは大変にありがたい。
そしてDisc 1とDisc 4は好事家を唸らせるに充分な内容で、
こいつはマジで凄ぇ箱が出たもんだ。
まさかCLEOPATRA Recordsが
突然こんなものを出してくるとは思わなかったので、
これは嬉しい驚きでしたねぇ。
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