新しいのも聴いてはいる [新譜]

GW頃から年寄りの早起きみたいな現象に見舞われ、
そこからどんどん睡眠時間がズレてしまい
ここ数日は20時になるともう眠くて、
うっかりウトウトしてしまおうものなら1時に目が覚めてしまう。
なんなんだこれは?
特に精神的ストレスとか感じるアレもないし、ちょっと困っています。
…我ながらどういう枕よ?



5th Season / 5TH SEASON / 2023
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演奏者名をバンド側の意向に沿って正確に記すなら
5th Season feat. Durga McBroom & Jukka Gustavsonとなりますが、
本作は客演の名前に頼る必要なんかない堂々たる力作だと思います。
Jukka Gustavsonについては同郷の先達(WIGWAM)なのでまぁまぁまぁ、
って感じですがDurga McBroomって言われてもなぁ。
David Gilmour主導のPINK FLOYD(のツアー)で
バックボーカルをやった人って言われても正直あんまりピンと来ませんもの。
あぁ、あの♪ウゥウ~とかアァア~が入ってんだな、くらいのもんで。

-フィンランド内陸部、タンペレ出身の4人組によるデビューアルバム。
影響元としてPINK FLOYD、GENESIS、PROCOL HARUM辺りの名前を挙げており、
概ねそれらの名前から想像されるアウトプットを聴かせます。
自ら'70sスタイルと名乗る通り徹頭徹尾オールドスクールで、
ポストロック的音響なんざ微塵も感じさせません。



全編英語詞なので北欧感も薄く、
耳触りとしてはほぼブリティッシュプログレかなぁ。
しかし沈み込むような内省的主観に支配されている訳でもなく、
総体としてはサウンドに妙な爽やかさがあって
そこがこのバンドの特徴的なところだと思います。
後味のスッキリ感ね。

これは良く出来たアルバムだと思います。
例えば同じタイミングで聴いたRANDOM EARTH PROJECT(未作文)に比して
全くひけを取らない程度の内容であると考えます。
あっちはなんか突然ベタなブルースが混じってきたりするからなぁ。
まぁそれがPINK FLOYDっぽいっちゃそうなんだけどさ。



一方6月中旬にリリースされるのは

Burning Memories / ALTER OF OBLIVION
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デンマークの中堅バンドがレコ社移籍の後に出す5曲入りEP。
フィジカル(レコード)は更に1曲追加があるみたいです。
スローテンポだけに頼らないヨーロピアンドゥームメタルは
勿論僕の大好物でありますからSHADOW KINGDOM RECORDS時代のアルバムも
ざっくりとひと通り聴いてはいましたが…



割と早いテンポのリフを刻むことは以前にもありましたが、
こんなブラックメタルっぽいトレモロピッキングはちょっと記憶にありません。
そしてなによりメロトロンサウンドが高らかに鳴り響いちゃう
ドゥームメタルってのは大変面白い試みだと思います。
いや、これは目(耳)新しくてかなり新鮮ですぞ。
来年発表予定のフルアルバム(4枚目)の前哨ということで、
そちらも含めて実に楽しみじゃありませんか。

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コンパクト作文 [新譜]

う~む…これはなんともはや。

Rites of Percussion / DAVE LOMBARDO / 2023
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SLAYERを出たり入ったりする合間にPhillip BoaやMike Patton、
終いにはJohn Zornと一緒に演奏したりしている訳で
所謂スラッシュメタルの剛腕ドラマーという一面のみで
評価することの能わない人ではあるのです。
他にもPHILM結成に加わったかと思えば
突然SUICIDAL TENDENCIESに入ってみたりと、
もはや支離滅裂と言っても差し支えないよなぁ。

そんなDave Lombardoが初めてソロ名義でアルバムを出しました。
これ、メタルの人には評判悪い
(多分つまらないって言われる)でしょうねぇ。
実に、紛うかたなき「ドラマーのソロアルバム」なんだなコレが。



他楽曲の一部にピアノが使われているのを確認できますが
基本はパーカッションオンリーです。
あらゆる打楽器を使ってリズムと同時に音階を作り出し、
その残響音にすら音楽的意味を持たせようと試みる
(ミキサーはDave Lombardoの息子ですって)
ガチガチのシリアスミュージック。
かつて“Chemical Warfare”で狂ったように興奮していた僕は
コレをどういう顔して聴けばいいのだ?って感じですが
困ったことに全然面白いんだよこれが。
各曲がコンパクトにまとまっていてアルバムトータルでも35分と
絶妙な尺が聴き手の集中力を途切れさせないのです。
だらだらと自己満足を垂れ流すことを良しとしない姿勢は
大変素晴らしいと思いました。
実際このGWに聴いた中で
最もプログレッシブだったのが本作だったりして。

…まぁでも、



こんな曲のリズムですら
とんでもなくエクスペリメンタルかつグルーヴィだもんな。
逆に、なんでSLAYERだったのか?という疑問すら湧いてきますことよ。

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力作揃い [新譜]

暫く前から既にバンドの体をなしていない様子ながら
過去イチの完成度を聴かせるのは

All The Dreams / THE ADEKAEM
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Andrzej Bielas(鍵盤)とKrzysztof Wala(ギター)、
それに作詞者であるJakub Bason(1曲フルートも吹いているようですが)が
現在のバンドのメンバーで他は全て客演による演奏とのことですが、
MILLENIUMのリズムセクション(Grzegorz BauerとKrzysztof Wyrwa)に
ボーカルはLIZARDのDaniel Kurtykaと
前作でも歌っていたMarcin Staszekが分け合う形でアルバムは完成しました。
結構ポーリッシュの重要どころが集った感じではありますな。

アウトプットにデビューの頃の素人臭さは微塵もなく、
2ndアルバムと比較してもだいぶ大人びた印象です。
で、前作3枚目よりも各曲の焦点が定まり冗長さが感じられなくなりました。



んー、自身のプログレ自己同一性は明らかながら
この落ち着き振りはなんなんだろう、やっぱりAOR的なアレかしら?
なんて訝りつつ聴き進めるとアルバムの中盤入り口に
丸っきりU2な曲がひょっこり現れて、あぁ、そこだったか、とw
いや、もう僕は全然肯定派ですよ。



バンドの体を…ってことでは一時崩壊危機にあった
AISLESの新譜もほぼ同タイミングで出ていますが
こちらは全9曲中6曲が事前に五月雨式でリリースされていたので
僕としてはちょっと新鮮さに欠けちゃったんだよね。



ということでもう1枚はこれ。

Let Go / MATT DORSEY / 2023
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アメリカ西海岸、Dave Kerzner関連については
正直そんなに積極的に聴こうというアレではないのですが
コレはなんかちょっと引っ掛かるものがあったのだ。
てぇのも、結構ちゃんとRUSHしている曲(“Man”)が耳についたんだよね。
そこからアルバムに拡げてみると
全般になかなか面白いことをやってんなぁ、って感心したのですよ。
アコースティックギターのドライなトーンが実にアメリカンな感じで
ああ、米国プログレをこういうスタイルで主張することも出来るのか、
という発見がありました。これって案外新機軸なんじゃないかなぁ。



これだけ聴くとアルバムの全体像を誤解されてしまいそうですが、
僕はこの曲がかなり好きなので貼っちゃいます。



これからGWにかけてまだ幾つか面白そうなのがあるので
その辺作文していければいいなと思っています。

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驚きの復活 パート2 [新譜]

えっ、またパート2?ってな感じですが。
だってふいにこんなの ↓見つけちゃったんだもんよ。

Hard Case / ROGUE MALE / 2021
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'21年の暮れに出ていたらしく、
僕としたことが1年以上気付かぬままだったと。

-あ、パート1はこちらです。
13年も前の作文なので今とはややスタイルが違いますが。

前作“Nail It”('09)リリース後に
かつての盟友John Fraiser-Binnieと再合流したJim Lyttleですが
バンドとしての活動状況と言えば
'17年のライブ映像がYouTubeで確認できるくらいで
他はほぼほぼ聞こえてきませんでした。

なので新譜って言われても全然ピンと来なかったのですが
長期にわたってコツコツと新しい曲を増やしていたみたいです。
そして…おいこりゃなかなかイイんじゃないかぇ?

上記John Fraiser-Binnieは勿論のこと、
2ndアルバム“Animal Man”('86)でベースを弾いていたKevin Collier、
そしてドラマーには1stで演奏したSteve Kingsleyと
2ndのDanny Furyの2人を客演に迎えての録音ということで
これをクラシックラインナップの復活と言っても
あながち間違いではないんじゃないかと。
アルバム総体としても概ね“Animal Man”に近い雰囲気で、
こめかみに青筋立ててブチ切れるが如き
あのROGUE MALEが遂に帰って来た!って感じです。

前作に聴かれた横揺れブルース風味も幾らか含みつつ、
全体の印象としてはもっとアグレッシブで、
咬み付くような狂暴さが支配的です。



ややテンポを抑えたブギーであってもあんまり跳ねる感じが無くて、
直線的な演奏と無機質なサウンドが実にROGUE MALEらしい。
あー、考えてみればこのバンドのサウンドメイクって
初期EXCITERに通ずるものがあるよな。

前作に疑問符を浮かべた古株の聴き手もこれならバッチリ楽しめます。
フィジカル含めて完全手売りっぽいので
デジタルDLするのが手っ取り早いかと。



ちょっと量が足りない感じなので
幾つか貼ってお茶を濁しておきましょうかね。



先日貼ったのに続いてTANITHの新曲。
まぁ確かにこの手の曲はSATANではやれないですよね。





-あ、WYTCH HAZELここでは初めてかも。
なんか他の話題で引き合いに名前だけは書いた気もしますが。

NIGHTやHORIZONTといったスウェーデン勢がカジュアルなダサさで
古き良きハードロックを体現しているのとは対照的に
頑固一徹になりきりコスプレスタイルを貫くその姿勢や良し。
まぁこのバンドのアイデンティティだから
今更どうこう言うのも野暮ですが、いやー糞ほどダサいよな。
あ、これ凄く褒めているつもりです。



なんか期せずしてオールドスタイルに偏っちゃいました。

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肌寒し、しかし雨だと花粉が少ないから楽 [新譜]

ギターレスのトリオ編成(いわゆるキーボードトリオってヤツね)で
プログレをやるっつったらまぁ大抵はEL&Pをお手本に、
そうでないとしてもなにがしかの影響は受けていると思うじゃないですか。
ところがどっこい、

Dancing in the Face of Danger / EXPLORING BIRDSONG / 2023
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英国リバプール出身、
'19年に6曲入りEPをリリースしたのに続いて本作は5曲入りEPです。



鍵盤奏者(兼ボーカル)のメインはピアノ、
シンセはベーシストも兼務ってところでもう全然EL&Pとは違う訳ですが、
なんというか若い世代のミュージシャンがプログレに取り組む姿勢の
柔軟さと自由さをまざまざと見(聴か)せつけられているようで
僕はちょっとショックを受けてしまったのだ。
しかも本人たちはEL&Pに影響受けてるって言ってるし、
我が頭の固さには絶望すら感じてしまいますことよ。

パッと聴いて耳を惹くのはやはりピアノサウンドと凝った重層ボーカルワーク。
これライブはどうすんだ?という余計なお世話もありつつ、
初聴から3回連続でリピートしちゃったくらいには魅力的です。
このバンドを4リズム化するとアレンジ過多になっちゃうのかも知れん。
そういう意味で現状のトリオアンサンブルは非常にバランスが良いのだな。
ボーカルはKate Bushも好きみたいですが
声質と唱法にあそこまで強烈な癖がないので
極端なエキセントリックさは感じられず、
僕はこれは(耳馴染みという点で)却って良いところだと思います。

控え目に言って、僕コレかなり好きです。



Clive Nolanが様々なバンドのメンバーとして活動するのとは別に
ソロプロジェクト的なスタイルで標榜した音楽スタイルは
恐らく'90年のSTRANGERS ON A TRAINで
既にその芽生えを見(聴か)せていたと考えます。
そして'98年、AYREONの“Into the Electric Castle”に客演したことで
そのアイディアをより良い形で具現化する方法を体得し、
'08年遂ににCAAMORAとして結実したのです。

まぁ今どき大仰なロックオペラ(ほぼ死語ですかねぇ)に
どれほどの関心が集まるのか?って疑問はあります。
聴いていて疲れちゃうし、集中力がもたないのは僕だけじゃない筈。
しかしそんなこたぁお構いなしとばかり

The Rise Of Medici / IMAGINAERIUM / 2022
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今回の名義はIMAGINAERIUM、僕これ当初はスルーの構えだったのですが
先日オマケ盤付き2枚組が出たというので詳細を確認したところ
なんとAndy Searsが(本編含めて)参加しているじゃありませんか。
そりゃあ聴かない訳にはいかん!ってんで慌ててポチったのです。



どれがAndy Searsの歌声か、分からん人には全然分からんわな。
まぁ健在を確認出来て良かったですよ。
これを機に音楽活動を本格的に再開してくれればいいなぁ。
ソロアルバムを制作中ってアナウンスからもう12年も経ってるし(苦笑)。

あ、うん、IMAGINAERIUMね。はい、まぁその、一通り聴きました。
えーと、そんなところですw
いや、もうちょっと真面目に書くとさ、
Clive Nolanって人はオーケストラに対する憧れがきっと物凄く強くて
それを如何にして己がロックに取り込むのかってことに
ずっと腐心しているように感じられるのよ。
で、その本格度が増せば増すほどサンプリング音源のちゃちさが
悪目立ちしちゃうので聴いている方がやるせなくなっちゃうのです。
あぁ、本物のオケで録ったら絶対もっといいのに…って。
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気付けばタラリと… [新譜]

僕の花粉症は鼻水メイン。
ドバドバ出る訳ではなくてふとしたタイミングでスーッと垂れてくるんだよね。
結構予測が難しいので気を抜いていると
マジでハナ垂れおじさんになってしまうのだ。
だからマスクしているほうが安心だったりするのです。



Overlords / WE CAME FROM SPACE / 2023
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およそプログレと称される音楽のエッセンスを全て詰め込んだかのような1枚。
物凄く良く出来たアルバムですぞよこれは。

ペンシルバニア州ピッツバーグから出て来た4リズムバンド、
アルバムとしてはこれが2作目ということですが
本作を含めてフィジカルリリースがないので情報を拾うのが難しかったんだな。
しかしピッツバーグねぇ…鉄鋼会社とアメフトチームくらいしか思いつかないので
プログレってのは物凄く意外な気がします。



冒頭のオケサンプルからメロトロンへ繋げる流れだけでも既にゾクゾク来ちゃう。
各楽器の演奏は技巧に富んでいて手の込んだアンサンブルを易々とこなします。
しかし一方でこのバンドの楽曲はどれもシリアスになり過ぎることを
意識的に避けていて、歌メロは徹底的にポップ寄りなのが面白いところ。
この大らかな感じは確かにアメリカっぽいと言えるかも知れません。
然るに10分超えの長尺曲が間延びするようなこともなく、
がっつり練り込まれた構成は大変素晴らしい。

録音は'19年から'22年にかけて行われたようですが
厚みのあるプロダクションできっちり今様のサウンドをアウトプットしています。
同時に各楽器の音色選びが'70~'80年代のノスタルジーを決して忘れていないのも
嬉しいところで、これは恐らく若いバンドじゃないよなぁ…と思って調べてみたら
キーボードのBill HubauerはNeal Morseと長いこと一緒にやってる人じゃないか。
他のメンバーについては特に目立ったキャリアはないようですが皆かなりの手練れで、
ギターのDave BuzardとBill Hubauerがバンドの主導的役割を担っているみたい。

断然このバンドはもっと世間の耳目を集めるべきだと思います。
例えばINSIDE OUT MUSICからリリースされてもなんら不自然さはないよコレは。

単発ネタで短文でしたがなんか早いトコアップしておきたかったので。

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毒っ気たっぷり [新譜]

今日のはある種コキ下ろしかも。

Tubular Bells - 50th Anniversary Celebration /
ROYAL PHILHARMONIC ORCHESTRA / 2022
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これはさぁ、これはどうなのぉ?と
大きな疑問符を頭に浮かべながらも一応買って聴く訳ですよ。
だって“Tubular Bells”ってそういうもんじゃん(?)。
…あ、いやブラスバンド版とかはさすがにスルーしましたけれども。

オケ版の“Tubular Bells”と言えば
'75年にDavid Bedfordがプロデュースと指揮を務め
同じくロイヤルフィルが演奏した“The Orchestral Tubular Bells”という
アルバムが既に存在するのでなんか蛇足感は拭えないよなぁ。
'75年盤はMike Oldfield本人もギターを演奏してるしね。

本作の「オリジナルリリース50周年記念('23年)」というのは
なんか無理繰りこじつけた企画の臭いが芬々と漂っていて
(コンサートもやったんだってさ)僕の印象はあんまり良くないです。
Mike Oldfieldがどう関わっているのかも分からないし。
Simon Dobsonという人が指揮していますがそもそもこの人が何者なのか。
なんか吹奏楽の方面ではそこそこ有名なの?ふーん、てなもんで。
David Bedfordのように本家と所縁がある訳でもなければ
ロイヤルフィルの人でもないとなると、ちょっとどう理解したらいいのか…。

と、なんだかんだ文句を垂れつつ聴いてみたところ
まぁこれがまた。
ベースとギターはエレキが堂々と混じってくるし、
アレンジもそんなに工夫された感じがしないし。
オーケストラの演奏を楽しみたいなら圧倒的に'75年版の方がいいです。
ただクラシックの様式に則っている分演奏のテンポがもっさりしているので
聴いていてちょっと焦れったいかも知れません。
その点本作はオリジナルのテンポ感を損なっておらず
違和感なく聴けるのはとても良いと思いました。

それから“Part 1”終盤の重奏部分で楽器名をアナウンスするアレですが、
なんでBrian Blessedを起用したんだろ?
大仰でうるせぇことこの上なく、そりゃそうだよね、Brian Blessedだもん。
本人にしてみりゃ期待された自分のスタイルを示したに過ぎず、
これはキャスティング側の大いなるミスだと思います。

-と。なんか凄く悪し様ですがそんなに嫌いじゃないんですよ、いやマジで。
“Part 2”と“Sailor's Hornpipe”を切り分ける拘りとか
“Hergest Ridge”や“Ommadawn”も(一部)やっちゃうサービス精神とか。



で、終いにゃコレだものw
このアレンジも大概無芸なのだけれど終わり方以外は全然好き。
やや感情過多の歌い上げ系ボーカルは断然いけ好かないけど。
しかしやっぱり取り上げるのは“Shadow on the Wall”じゃなくて
“Moonlight Shadow”なのね。

と、まぁ結局この手のヤツは
どんなに頑張ってもオリジナルを超えるものにはなり得ない訳で、
そこを割り引いて楽しめるかどうかに尽きるのです。
で、僕はあーだこーだ文句を言う事も含めてそこそこ楽しめましたよ、
って話。

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わなわなと震えつつ [新譜]

眉間に皺を寄せう~むと唸り…そして狂ったようにリピートして聴いています。
予想していたこととは言え、いやこれは物凄ぇのが出ちゃったな。

Innate Passage / ELDER / 2022
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10月25日のメモ書き作文より1か月、全編の音が届きましたよ。

コアなメタル側からプログレ方面へアプローチするに当たっては
'80年代の半ばくらいからMEKONG DELTA等の先達が試行錯誤し
最終的にOPETHがその最適解を示したということで概ね間違いないと考えますが、
このバンドはそれとは全く違うもう一つの答えを導き出しちゃった。



さりげなく、しかし聴き手を酩酊させるが如き
7-7-7-8拍のスピーディなイントロを落ち着かせるようにメロトロンが絡み、
'70年代宇宙サイケなギターが浮遊します。
歌い出しまでほぼ4分もあるのに冗長さは微塵もなく、
その後のぬるぬるした場面転換の連続は
聴き手の意識をひとつ処に留まらせることを徹底的に阻害します。
で、こちらがなんだこれ、なんだこれ、ってあたふたしてるといつの間にか
イントロのリズム(+アナログシンセ)に帰結していて、
あぁ、普通の楽曲構成だったんだと安堵するのです。

こんなの5曲も続けて聴いていたら頭おかしくなっちゃうよ(嬉々として)。

結局本人たちは別に小難しいことをやってやろうなんて全然考えておらず
ポピュラーミュージックとしてのロックの範疇からは決してハミ出さない。
で、それがイイんだよね。
いわゆるプログメタル(ほれ、「レ」を抜いてやったぞw)ってのは
概ねメタルの聴き手が最初に飛びつくイメージですが
このELDERに関してはまずプログレリスナーが反応しないと駄目な気がします。
あーいや、わが国では結局黙殺されるのか…。

6枚目にしてひとつの頂点(しかも相当高い)に達したバンドは
米マサチューセッツから独ベルリンに拠点を移していたようで
多分ELDOVAR録音の頃からなのでしょうが何故欧州へ渡ったんでしょうね。
特に言及されていないようですがちょっと興味の沸くポイントです。

なにしろこれ、2022年の終わりに燦然と輝く1枚が登場したことは非常に喜ばしく、
僕としてはロック史上においても相当重要なアルバムだと言いたいくらいですが。



あ、それと10月31日に書いたCELESTEについても補足を入れておきましょうか。
僕の予想通り、アルバムの正式なアートワークが上がってきました。

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clstso2.jpg

うん、だからって2種類も要らんw
Mellow labelは後者(下)を採用したみたいなのでフィジカル化される時には
(まだアナウンスされていませんが)そっちで出るんじゃないでしょうか。
考えてみれば前作もデジタル版が'20年の12月だったのに対して
CDは明けて'21年の春頃リリースだったので今回もそれくらいのタイムラグかも知れません。

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凄く好きなバンド×2 [新譜]

Distorting Everything / JESTERS OF DESTINY / 2022
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31年振りに2枚目が出た時は大いに度肝を抜かれた訳ですが('17年7月19日作文)
その後もBruce DuffとRay Violetは活動を共にしたようで ('21年11月30日作文)
なんとJODの3枚目がサクッと出てしまいました。

しかし本作はアウトプットの様子が今までとはやや違います。
いつも通りの不穏さではあるものの奇怪さという点でちょっと物足りない。
これは本人達が意図したことのようで、本作は製作プロセスの早い段階において
JOD流ヘヴィロックに特化させるという方向づけがされたのですと。
なのでアコースティックやエレクトロニックな要素は極力除外され
(完全に無くなった訳じゃないんだなこれが)、
全編でRay Violetのファズギターが唸りを上げる怒涛のアルバムとなったのです。



確かに凄く重たいのだけれどいわゆるHM/HRの文脈上に居ないことは明白で、
やっぱりもっとサイケデリック且つスペーシーなところで鳴っている音楽だよな。
例えば人間椅子を好む外国人とかはこれをどう聴くんだろう?
なんて考えるとちょっと興味深い気がしますね。

前作ほど入れ込む感じではありませんが、僕好みの良いアルバムであることは間違いなく。

そしてJESTERS OF DESTINYについては'87年にリリースされた5曲入りEP(全曲カバー)
“In A Nostalgic Mood”が'18年にデジタル配信されていて、
僕これ最近まで知らなかったのね。



このEPについては'10年5月5日にちょっとだけ触れていますが
やっとその全貌を知ることが出来て感激したのですよ僕は。



そして11月はELDERの新譜が出ます。

Innate Passage / ELDER / 2022
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前作“Omens”('20)で飛躍的ブレイクスルーを果たしたバンドは
KADAVARとの共作('21年12月6日作文)を経て
その音楽スタイルの独創性を更に確固たるものとしました。
僕の独断においては今現在最も進歩的なロックバンド(のひとつ)が
このELDERであると考えます。



10分の尺を圧倒的説得力でもって有無をも言わせずに聴かせきるもんな。
上掲曲以外の詳細は今のところ不明ながらアルバム収録は5曲ということなので
(毎度のことではありますが)めくるめく長尺曲がバンバン繰り出されることは
まず間違いないと思われます。

いずれにせよELDERをドゥーム、ストーナーの範疇で捉えることはもはや全く不可能であり、
全くとんでもないバンドだよコレ、いやほんとに。

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プログレ続き(少しだけメタル) [新譜]

前回書くかどうか分からんとか言いましたが、
うん、これはやっぱりちょっと書いておきたいかな。

Kintsugi / JOHN HOLDEN / 2022
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英国マルチミュージシャンの新譜。僕は去年出た3枚目で初めて聴きました。
割と良い印象ではあった筈なのですが、何か他のヤツに持っていかれた
(多分BEND THE FUTUREとかそっち方面を傾聴していた)のでしょう。

軸足はシンフォニックロックに刺しつつ
ちょっとお洒落なAORの歌モノ(ボーカルは客演による)を挟む構成は前作と変わらず。
客演陣も引き続きって感じで、
あ、Robin Armstrongは自分のアルバム(前々回作文のCOSMOGRAF)を
作るので忙しかったのか今回は不参加です。
フルオケサイズでドカン!と派手に行く感じではなく
チェンバーミュージック+α的な朴訥さが特徴的で、
このスケール感にSally Minnearの声がドンピシャリとハマるのです。



アルバムのダイジェストじゃなくてSally Minnearの歌う曲をフルで1曲貼りたかった…。

タイトルの“Kintsugi”はそのまんま「金継ぎ」だそうで
ホント、外人てそういうの好きだよねぇ。
ジャケットのアートワークを見れば分かる通りの拡大解釈で
日本の「勿体ない」という考えから産まれた芸術(の宇宙観)とは
やや趣を異にするというか、いや、言いたいことはわからんではないのだけれども
些かしっくり来ない感じがします。

などというおっさんのイヤミはさておき
今回これを書こうと思ったのは前作よりも俄然印象深かったからで、
しかし改めて前作と聴き較べてみるとそんなに大差無いというか
根っ子の部分はほぼ同じなのね。
じゃなんだ?と問われれば恐らくアルバムの構成(曲順やら各曲のスタイル、尺)が
奇麗に「収まっている」感じがするのです。
聴いていて途中気が散ることなくアルバムを完走出来る。
前作では早い段階(2曲目)にAORが出てきちゃうので
あれ?なんだこれ!?ってなっちゃうのね。
…まぁなんつうか、細っけぇ話で申し訳ありません。

-と、COSMOGRAF、COMEDY OF ERRORS、John Holdenと英国モノを3連発で書きましたが
どれもこれも全部良かったです。イギリス勢に元気があるとなんとなく嬉しいよね。



ところで今月末は



3年振りにIan Wilsonの剛直なメタルが爆発します。
なんだかんだこのバンドも20年近くやっている訳で
いい加減もっとがっつり注目されて欲しいところです。



地元の橋の下で爆音を轟かせている場合ではない気もしつつ、
これはこれで滅茶苦茶カッコイイ生き方な気もするな。
しヵし路上メタルってのは、我が国でやったら大変なことになるだろうなw

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